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INTERVIEW – ネイト・メンデル[フー・ファイターズ]

  • Interpretation:Tommy Morley

25年間バンドを続けられたのは良いバンドだからだよ。
シンプルだけど、本当にこのひと言に尽きる。

━━「メディスン・アット・ミッドナイト」は哀愁感もある1980年代風ダンス・チューンで、フー・ファイターズとして非常に新しい曲調だと思います。どのように取り組んだ曲ですか?

 このインタビューの冒頭でデヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』の話をしただろう? この曲はまさしくそれをダイレクトに意識したものなんだ。クリス(シフレット/g)は曲の真ん中でスティーヴィー・レイ・ヴォーンっぽいことをしてくれているし、デイヴのヴォーカルもボウイっぽい。サビはグルーヴィでダークでありつつも、バックグラウンドにコーラスがたっぷりと入っていて1980年代のポップのプロダクションとなっている。この曲はアルバム全体の方向性を強く打ち出してくれた気がするよ。

━━この曲調はデイヴのアイディアだったんですか?

 今回のアルバムの曲のほとんどは、実は俺らがスタジオにバンドとして集まって作っているんだ。普段はあまりやらないやり方なんだよね。ゲストハウスみたいなところにジャムるための部屋を作って、その場でリハーサルから録音も行なっている。いつもだと先に曲をしっかりと聴き、練習してからレコーディングという流れだから、そういった点ではかなり異なっているね。アルバムの曲で最初にできたのが「メイキング・ア・ファイア」で、その次が「ノー・サン・オブ・マイン」だったと思う。これらができたあたりから、断片的なアイディアの状態だったこの「メディスン・アット・ミッドナイト」を完成させようという流れになった。デイヴがギター・リフを持ってきてテイラーと一緒に曲の全体像を作り始め、そこからみんなで曲へと発展させていったんだ。全部の楽器がしっかりと重ねられるまで、どんなサウンドになるのか俺にはまったく見当がつかなかったよ。

━━今作での使用機材で覚えているものを教えてください。

 今回のアルバムは本当にたくさんのベースを用意したよ。新しいことにトライしたくて、ここ数年でけっこうな数のベースを俺は購入していた。そのなかには韓国製のMoollonというメーカーのベースが何本かあって、ぜひトライしたいと思っていた。ほかにはドイツ製のフレイマスのオールドの美しいホロウ・ボディのモデル、最近購入したギブソンのレス・ポール・シグネイチャーというホロウ・ボディのモデル、あとはデューゼンバーグも用意していたよ。ジャズ・ベースは何本か持って行ったけど、結局は使わなかったね。それから『イン・ユア・オナー』(2005年)のときに手に入れてからずっとプレイしてきた、1970年代中盤のブロンドでメイプル・ネックのプレシジョン・ベースもプレイした。この時代のプレシジョン・ベースって素晴らしいものばかりで、なぜかマジカルな音が得られるんだよね。

Times Like Those | Foo Fighters 25th Anniversary

━━フー・ファイターズは2020年に25周年を迎えました。あなたはデイヴ同様、唯一、バンドを離れたことがない存在です。25年間バンドを続けられた理由とは?

 良いバンドだからだよ。シンプルだけど、本当にこのひと言に尽きるよ。それに俺らはさまざまな幸運にも恵まれてきた。デイヴは一緒にバンドをやるには最高の男だし、才能もあればエネルギーにも満ち溢れている。それにバンドをやっていくうえでしっかりとしたメソッドを持っているし、実験をしたり楽しむこと、そしてあまり真剣になり過ぎないことも最初から理解していて、そこにさまざまな人がついてきてくれるんだ。バンドの結束を強くしてくれる要因のひとつにライヴ・パフォーマンスの場があって、そこにはオーディエンスも参加してくれる。俺らはみんなリラックスして3時間を楽しむんだ。それって実は大切なことでね。俺らはステージに上がって、オーディエンスの皆がどう振る舞うべきか強制することはしない。皆に好きに自由に過ごしてもらい、それでいてその場の皆が協力し合えているというのが、俺らがこうやって今でも続けられている理由なんじゃないのかな。

━━これまで残した10作のアルバムのうち、転機になった作品、思い入れの深い作品というと?

 4枚目の『ワン・バイ・ワン』(2002年)は確実に大きなターニング・ポイントとなったアルバムだね。そしてこのアルバムから「オール・マイ・ライフ」がリリースされたとき、この曲は最も人気のある曲というわけではないけれどもバンドに変化を与え、どういうわけか俺らを次のレベルに押し上げてくれた気がするよ。あの曲も含め、アルバムは一度レコーディングをしたあとに納得いかなくて再びレコーディングを行なった難しいアルバムだった。けれどその甲斐もあってなのか、強力なアルバムとなった。あのアルバムによってバンドが新境地を開拓したような気がするよ。あのアルバム以降も俺らは実験を重ね続け、『ウェイスティング・ライト』(2011年)もかなりのターニング・ポイントとなった気がするね。顔面に迫り来るような迫力や生々しさのあるアルバムとなり、素晴らしい曲をたくさん収めることができた。これら2枚のアルバムで俺らはかなり高い場所に到達できた気がするよ。

━━本日はありがとうございました。あなたたちの来日公演が実現するか話をするのはこういう状況ですので今の時点ではとても難しいですが、ぜひ来日公演の際はまたインタビューの続きをさせてください。

 もちろんさ! 俺らも近いうちに日本でプレイしたいと思っている。君たちも体に気をつけて過ごしてくれよ!

◎Profile
ねいと・めんでる●1968年12月2日生まれ、米国ワシントン州リッチランド出身。1992年にエモ/ポスト・ハードコア・バンドであるサニー・デイ・リアル・エステイトを結成し、後進のバンドに多大な影響を与える。1995年に元ニルヴァーナのドラマーであったデイヴ・グロールがフロントマンへと転身したフー・ファイターズへ加入し、グラミー賞を始めとした音楽賞の数々を受賞するなど米国を代表するロック・バンドとなる。メンバー・チェンジを経ながらも不動のベーシストとしてこれまでに9枚のオリジナル・アルバムを残し、2021年2月に10枚目のアルバムとなる『メディスン・アット・ミッドナイト』を発表した。ネイトは、フー・ファイターズと並行して、2003年にサニー・デイ・リアル・エステイトのウィリアム・ゴールドスミス(d)らとザ・ファイア・セフトを結成したほか、2015年3月にはソロ・プロジェクトのルーテナントのデビュー・アルバム『イフ・アイ・キル・ディス・シング・ウィ・アー・オール・ゴーイング・トゥ・イート・フォー・ア・ウィーク』をリリースしている。

◎Information
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