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BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – Mav[For Tracy Hyde]

  • Interview:Koji Kano
  • Live Photo:Weekendcycler

“インディー・オルタナ”と“アニソン/J-pop”
僕のルーツの二面性がそのまま反映されている。

——Mavさんのプレイには、“忠実にルートで支えることに徹する面”と、“メロディアスなフレーズでグルーヴにうねりを生む”二面性が見受けられます。楽曲ごとにどういった部分でプレイの方向性を変えているのですか?

 うちのバンドは各曲に何かしらのリファレンスがあるので、その曲やそのバンド、そのジャンルのほかのバンドのフレージングを参考にすることが多いんです。楽曲ごとのバリエーションに最も寄与しているのはそこかと。二面性っていう意味だと、“インディー・オルタナ”と“アニソン/J-pop”という僕のルーツの二面性がそのまま反映された結果なのではないでしょうか。メロディやほかの楽器のフレーズ、楽曲構成を踏まえつつ“ここはルートのほうが説得力が出る”と思ったところでは勇気を持ってルートに徹する、という意識でモードを分けています。

——Mavさんの持ち味でもある、“力強いピック弾き”のニュアンスも音源から鮮明に伝わってきます。ほかのピック弾きのベーシストにはない個性も感じますが、やはりこだわりもあるのでは?

 草稿(d)と一緒にナンバーガールのコピーに熱中したので、中尾憲太郎さんのピッキングのやり方を意識しているところが大きいかと。中尾さんは速い曲ではピッキングを「↓↑↓↓」で弾いているんですけど、僕はそれの亜流で「↓↓↓↑」でピッキングしていることが多いんです。これによって、曲中全体で疲れずに勢いを保ちつつダウン・ピッキング感を強調できていると思います。

——ピック選びも重要になってきそうですね。

 ピックは大きくて硬くて滑り止めがついたものを使ってます。あと腕を振り下ろし気味にして弾いていることもポイント。Dinosaur. Jrのルー・バーロウへの憧れと、もともとギター出身であることが反映されてるのかもしれませんね。

——今作で使用したメイン・ベースを教えてください。

 フジゲン製のJBタイプです。僕が初めてちゃんと買ったベースで、強くピッキングしたときのアタック感がかなりがっちり出るベースなので、僕のプレイに合っているのではと思っています。お気に入りポイントは、以前ペグの羽根が全部取れてしまったので、ケースに入れてもペグが回らないのでチューニングが勝手に変わらないところかと(笑)。

——最後に今後の目標を教えてください。

 僕にとってCoaltar Of The DeepersやFlipper’s Guitarがそうであるように、若いリスナー/プレイヤーがより多くの音楽に触れられるためのディスク・ガイドになれたらと思ってるんです。あと前作発売以降、アジア5カ国でライヴさせてもらったので、ゆくゆくはさらに世界各国でライヴできるようになりたいですね。

Mavのメイン器のフジゲン製JBタイプ。Mavが初めて購入したベースで、アルダー・ボディにメイプル・ネック、ローズウッド指板という材構成だ。

MY ROOTS ALBUM

「踊る赤ちゃん人間
大槻ケンヂと橘高文彦

 ただのおたくをやっていた中学生の頃、好きだった作品『NHKにようこそ!』がアニメ化されたんですけど、EDのこの曲にかつてない衝撃を受けました。ここから筋肉少女帯→特撮→Coaltar Of The Deepersと辿っていった結果、シューゲイズをはじめとした多くの音楽を知るようになって今の活動につながっています。大槻ケンヂさんのソロ・プロジェクト“UNDERGROUND SEARCHLIE”に関わったバンドにも影響されています。

『No Thank You
Coaltar Of The Deepers

 極端な話、おれはNARASAKI氏になりたかった。

シブヤROCKTRANSFORMED状態
ナンバーガール

 スタジオ音源も好きですが、一昨年〜昨年の逆噴射ツアーを観て思ったのは“ナンバーガールは最強のライヴ・バンドだ”ということ。ただ、よくよく考えてみると、自分がナンバーガールを初めて知ったのは「鉄風鋭くなって」とアイドルマスター「GO MY WAY!!」のマッシュアップ [1][2]をニコニコ動画で観たことだったような気が……。そのマッシュアップの着想はこのライヴの“俺はやよいちゃんが好き、やよいちゃんに捧げます”のMCだったのではないかと思っているのですが、考えすぎかもしれません。

Profile
まぶ●シューゲイズ/ドリーム・ポップをベースとした5人組ロック・バンド、For Tracy Hydeのベーシストであり、一部楽曲では作曲も務める。バンドは2012年に夏bot(g,vo)のソロ・プロジェクトとして始動し、2014年にバンド形態となる。その後2016年に1stアルバム『Film Bleu』にてデビューし、翌年には2ndアルバム『he(r)art』をリリース。さらに2019年に3rdアルバム『New Young City』をリリースすると、台湾、シンガポール、フィリピン、インドネシアのアジア4か国を回る初の海外ツアーを実施し、各国でも支持を獲得した。2021年2月17日に待望の4thアルバム『Ethernity』をリリースした。

◎Information
For Tracy Hyde:Official HP Twitter
Mav:Twitter