NOTES
UP
【ウエノコウジのBorn to Lose】 – 第05回後篇 with 古市コータロー&藤井一彦
- Interview : Ryutaro Akima
- Main Photo : Miyoshi Tsukasa
ベース・マガジン本誌にて今年から始まったウエノコウジの連載。インタビュー形式で、近況、音楽談義、ロックンロール界の秘話(?)などを“酒場”からお届けしているが、同連載がBM webにも進出! 旧知のTHE COLLECTORSから古市コータローがゲストに駆けつけた、2020年8月号掲載第05回の後篇をお届けする。ウエノと古市のふたりで飲み進めるうち、翌日に人生初のソロ配信ライヴを控えて弦を替えていた藤井一彦(THE GROOVERS)が呼び出されたのは、場所はもちろん池袋、店は“いつものやきとん屋”。ざっくばらんな音楽放談、ベーシストが思うギタリストの不思議……絶妙のグルーヴを放つほろ酔いトークをご堪能あれ!
本インタビューの“前篇”は、
ベース・マガジン2020年8月号に掲載!
やるしかないよ。
とにかくスタートしないと話にならん、どんな状況でも。
──あ、藤井一彦さんが来ましたね。
古市コータロー 来ちゃったよ(笑)。
ウエノコウジ あんた弦張り替えてる場合じゃないよ。
コータロー 前の日に替えてるのえらいと思った。俺は当日だから。
藤井一彦 何を言っとんの(笑)。ここの店、憧れとってさあ。
コータロー ホント?
ウエノ 一彦が池袋におるだけで笑うね。しかし7月にワンマンってどういうことやねん!(編注:取材は6月。THE GROOVERSは7月18日、吉祥寺ROCK JOINT GBにてワンマン・ライヴを開催する予定だったが、直前で無観客配信ライヴに変更された)
一彦 やるよ(笑)。
コータロー 今、7月のライヴを発表かよって衝撃だった(笑)。
ウエノ 一彦は体制に対するアンチテーゼを持っとるけえ。
一彦 そこまでじゃないけど(笑)。まあ、ライヴやらないとさ。
ウエノ うん、みんな溜まっとるんじゃけえ。
一彦 ライヴハウスや、店も厳しいよ。そっちもヤバイっしょ?
コータロー もうツアーが全部飛んだから。どうせい!っていう話。
一彦 ホントだよ。
コータロー みんなそうだから、自分たちだけが大変ですとも言えないしさ。自分もだけど、人のことも心配するもんね。
ウエノ 武藤ウエノ(武藤昭平withウエノコウジ)みたいな感じじゃったらできるとは思うんじゃけど、やってえらいことになったらいけん。みんなに申し訳ない。そこのジレンマよね。
一彦 先の話はしてる?
コータロー もやっとはしてるよ。
ウエノ わし今月末からやる。百々も含めて。
コータロー 来年1月からツアーなんだけど、でもできんの?ってムードはある。だから武藤ウエノみたいな少人数スタイルから様子を見ないと。
ウエノ できる人がまずやってみんとわからんけえね。今月末に百々とやろうとしてるのは(編注:6月27日@長野)、どデカいところを借りて、チケットは30人。
コータロー それ採算取れるの?
ウエノ 赤はないと思う。3,800円で売ったら約10万円。呑んで、ひとり2万円ぐらい残ればぐらいの。
コータロー そっから始めるしかねえよなあ。
ウエノ でも数を打っていけば。配信もいいけど、わしはやっぱり地方に行きたいわけよ。もうやらんかったら、自分が保てんぐらいまで精神的にキテて。
コータロー やるしかないよ。とにかくスタートしないと話にならん、どんな状況でも。俺ら長老ががんばんなきゃ。
一彦 ホントそう。
コータロー クラスターって言ったってさ、今いる飲食店だってリスクは一緒じゃん。でも営業しないとやっていけないんだから。俺、9月はライヴやるよ。バイク買わなきゃいけないんだもん(編注:ベース・マガジン2020年8月号参照)
ウエノ コータローさん、教習所通いながらバイク予約したっつーんだから。
一彦 マジで!?
コータロー 大型の免許取っててさ。
ウエノ しかも給付金でよ? これが真のロック・スターじゃ!
一彦 中免持ってたら大型は楽?
コータロー いやそうでもない。感じで言ったら、“一彦、明日からメイン・ギターはスタインバーガーでよろしく!”って言われてるようなもん。
ウエノ スタインバーガーでブルース弾けるんね?
一彦 ヤバイね(笑)。
コータロー あれでクォーター・チョークなんかできないよ俺(笑)。
ウエノ ルー・リードも持ったんだよ?
コータロー ゴシゴシ弾いてたね。
ウエノ ベースで言うとビル・ワイマンも。
一彦 持った持った。
コータロー ビル・ワイマンは似合うね。あいつ新しいもの好きだから。
ウエノ 若い女も好きだし。
コータロー そうだよ。ムッシュ(かまやつひろし)も使ってた。
ウエノ ムッシュは最後のほうまで使ってましたね。
一彦 ……けっこう80年代の機材とか音楽好きよね?
コータロー 好きだよ。
一彦 AORとか。
コータロー 大好き。
ウエノ 言っとくけど、わしもいけるクチよ?
コータロー 家だと、ギターが重要なアルバムはあんまり聴きたくないんだよ。
一彦 ああ!
コータロー もちろん聴くんだけど。そういう意味でAORは一番心地いい。
ウエノ わしカフェ系はあんまいかんのよ、例えばスティーヴン・ビショップ。でもAORAORしてるのはけっこういけますよ。
コータロー 俺もそうだよ。
ウエノ けっこうメールしますよね、何でしたっけ、ヤシの木のアルバム。
コータロー ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス(『WEST END COAST』)。家で聴いてて、ギターを持ちたくならないからいいの。ボズ・スキャッグスとかもまだいい。でもさ、レーナード・スキナードまでいっちゃうと違うなってなる。
ウエノ わかる。
コータロー 俺、2009年にハワイのホノルル・マラソンに出たのね。ランナーへのサービスかわかんないけど、途中で生バンドが演奏してるんだよ。で、レーナード・スキナードのさ、「スウィート・ホーム・アラバマ」をやってるバンドがいて。
ウエノ ドゥンットゥートゥルー♪
コータロー そう。でも、コピー間違ってる!と思って(笑)。言おうかすげえ迷ったけど、走ってるからそれどころじゃなかった。
全員 ハッハッハ!
ウエノ 「オール・サマー・ロング」って曲知ってます?
コータロー 知ってますよ。
一彦 キッド・ロック?
ウエノ そう、「スウィート・ホーム・アラバマ」じゃないのあれ?
コータロー そうだよ(編注:サンプリング使用)。
▼ 続きは次ページへ ▼