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【Live Report】 LUNA SEA – 2021年3月28日(日)/さいたまスーパーアリーナ

  • Report:Kengo Nakamura
  • Photo:Keiko Tanabe、Masato Yokoyama

LUNA SEA
BASSIST:J
●2021年3月28日(日)●さいたまスーパーアリーナ

最強ライヴ・アクトの実力を改めて誇示した、異例の構成による特別公演

LUNA SEAが約13ヵ月ぶりのライヴとなる“LUNA SEA –RELOAD-”を、3月27日および28日の2日間、さいたまスーパーアリーナで開催した。本公演は、昨年12月に実施される予定だったが、真矢(d)の新型コロナウイルス感染により延期されていたとあって、まさに待望の公演となった。

荘厳なオープニングBGMのあと、美しいギターのアルペジオとドラム・ロールが折り重なり「LUCA」でライヴがスタート。Jのグリスからの重心が低いルート弾きで楽曲が躍動を始める。続く「Déjàvu」は独特の音価調整で刻まれるランニング・ベースが体を揺らす初期からの人気曲。エンディング前ではいつもは観客とRYUICHI(vo)のコール&レスポンスのようなコーラスの掛け合いがなされるが、今回はRYUICHIの“心の声を聴かせてくれ”というシャウトに、観客も無言の熱気で応える。

今回のライヴは感染防止対策が徹底され、換気のためのインターバル休憩を挟む2部構成という彼らのライヴでも初の試みということで、このあと、1部は2019年12月にリリースされた現時点での最新アルバム『CROSS』を中心に据えていた。グリス感のあるプレイが90年代のJを彷彿させる「Closer」。ミディアム・テンポでとぐろを巻くようなグルーヴのなか、RYUICHIがマイクをふたつ使ってクリーン・ヴォイスとディストーション・ヴォイスを使い分け、SUGIZO(g,violin)のフレットレス・ギターがまるで動物の鳴き声のように叫び、どんどん熱量が高まる「You’re knocking at my door」。そして、休符を生かしたダンサブルなビートと、メロディアスなライン、そして骨太なルート弾きというコントラストが鮮やかなベース・ラインで構成された「PHILIA」では、ギター・ソロ後のパートとエンディングでJがドラム・セットの横に設置されたピアノを、立ったままベースを背中に回してプレイ。プログレッシブ・ロックにも通じる組曲のような壮大な展開を持つ楽曲を盛り上げた。

1部の後半は、キャッチーかつ広がりのある「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」から複雑なリズム構成を持つ「静寂」へ。RYUICHIの歌のうしろでのJによる英語の語りも印象的だったが、メロディの合間に差し込まれる速弾きも含んだオブリは、Jとしても珍しいタイプのアプローチで、その熱量の高さに圧倒された。開放的な「Hold You Down」を挟んで、1部最後の曲は「THE BEYOND」。この曲でJはピックを持ちながらの指弾きも織り交ぜて優しく温かなサウンドを奏でた。『CROSS』を携えて行なうはずだった全国ツアーは、新型コロナウイルスの影響により4公演を除いて延期を余儀なくされたわけだが、その断片を凝縮した1部は、最高傑作と称されている『CROSS』のポテンシャルの高さを証明するに充分で、『CROSS』をフルでフィーチャーしたライヴの開催にも改めて期待が高まった。

  • LUNA SEA – 2021年3月28日(日)/さいたまスーパーアリーナ

インターバルを挟んだ2部は、おなじみの「月光」に打ち込みのビートを加えたSEが鳴らされ、彼らのライヴのオープニング曲として印象深い「LOVELESS」でスタート。INORAN(g)の12弦とSUGIZOのフレットレスの演奏を突き破る、Jのシーケンス・ラインがサウンドの底でうねる。Jはラメが入ったシャンパンゴールドの新たなシグネイチャー・モデルのプレシジョン・ベースを手にしていた。以降、プレベのゴリっとしたサウンドが無骨に疾走する「BELIEVE」、グリスを活用した激しくうねるシグネイチャー・リックがいまだ鮮烈な「DESIRE」、J、INORAN、SUGIZOの3声コーラスもキャッチーな「SHINE」、INORANのアルペジオが美しく浮遊し、ベースが16分で刻みつつ息継ぎをするようにハイ・ポジションへグリス・アップしてうねる「gravity」と、90年代の代表曲が続く。「SHINE」のギター・ソロ前では4人がドラム・セット前に集結して仲睦まじく間奏のリフをプレイするなど、2部は非常にリラックスした雰囲気も感じられた。続く「I for You」では、SUGIZOがエピフォン・カジノ、Jがオリジナル・プレシジョン・ベース、INORANがフェンダーのAmerican Acoustasonic Jazzmasterという、楽器好きならば“おっ!”と声をあげるチョイスでプレイ。Jは弾力にあふれた音色を聴かせ、エンディング前のスタッカートを効かせたプレイなど、シンプルながらもバンドのグルーヴを先導した。

“精神的にハミ出していこう!”というRYUICHIのMCのあと、いよいよライヴも終盤戦。恒例であるJの“マイク・スタンド・ブレーンバスター”も決まった「ROSIER」は、ブチブチとしたプレベ独特の粗野な音色がより強調されているように聴こえ、そのサウンドが観客のテンションを上げる。本篇ラストは、INORANのコード・ストローク・リフにJのシャウトが重なって始まる「TONIGHT」。シンプルながらも強く高揚感を煽る本曲では、質実剛健なルート弾きの、その音の分厚さがググッと胸に迫ってくる。同曲ではおなじみの、INORANの“再スタート・リフ”の前には真矢とINORANのリズムの掛け合いが行なわれ、曲の入りでトリッキーな試し合いを仕掛けたINORAN、反応する真矢、そのやり合いに苦笑いするSUGIZOという微笑ましい場面も見られた。

  • LUNA SEA – 2021年3月28日(日)/さいたまスーパーアリーナ

メンバーの再登場を待つ観客が、事前に配られた青い半透明シールを使ってスマホで光をステージに向け、その光を受け止めながら奏でられたアンコール1曲目は「Make a vow」。緩急のついたベース・ラインが図太く抜けてきて、バンド・サウンドのなかで一番気持ちいいところにハマっているという感覚を誘う。

メンバー紹介では、それぞれが、このコロナ禍を経たからこその真摯な感情を吐露。Jは“止まっていた時間をみんなとともに進めることができた感じがします。明るい未来に向かってみんなと一緒にロックしていきたいと思ってますので、ここからまた少しずつ俺たちの日常をみんなで取り戻しにいきましょう!”と熱いメッセージを発した。

ライヴの締め曲として定番の「WISH」を経て、SUGIZOのヴァイオリンの響きも優美な「so tender…」でライヴは幕を閉じた。INORANがアコギを奏でた本曲では、ベースがよりむき出しになり、後半でSUGIZOがエレキ・ギターへスイッチしても、そのベースの存在感は変わらず分厚くボトムに鎮座。絶妙な関係で成り立っているバンド・サウンドの力強さを改めて見せつけられた。

終演後、ドラム・セットを降りた真矢が男泣き。それを優しく囲む4人。コロナ禍での公演、そして二部構成ということもあり、真矢のドラム・ソロやJのベース・ソロがないといった異例の構成で行なわれたライヴであったが、改めてライヴ・アクトとしての彼らの実力を見せつけられ、また、メンバー同士、そしてファンたちとの絆が一層深まったと感じさせられたライヴだった。

  • LUNA SEA – 2021年3月28日(日)/さいたまスーパーアリーナ

■2021年3月28日(日)@さいたまスーパーアリーナ
セットリスト
【第1部】
01.LUCA
02.Déjàvu
03.Closer
04.You’re knocking at my door
05.PHILIA
06.宇宙の詩〜Higher and Higher〜
07.静寂
08.Hold You Down
09.THE BEYOND
【第2部】
10.LOVELESS
11.BELIEVE
12.DESIRE
13.SHINE
14.gravity
15.I for You
16.ROSIER
17.TONIGHT
アンコール
18.Make a vow
19.WISH
20.so tender…

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