NOTES
今回はウォーミング・アップのフレーズをひとつ紹介します。
主に左手を鍛えるエクササイズですが、もちろん右手の鍛錬にもなるし、右手と左手のコンビネーションの質を高める練習にもなります。運指の上下行を組み合わせたメカニカルなパターンなので、そのまま実際の曲のなかで直接生かせるような練習ではなくて、スポーツで言うと準備体操とか柔軟体操とか筋トレ的なエクササイズですね。
上行と下行の2パターンあって、まず上行パターンは
1-2-1-2-3-2-1-2-3-4-3-2-1-2-3-4
という運指です(1=人差指 2=中指 3=薬指 4=小指)。
ややこしそうに見えますが、フレーズの構造がわかると意外とシンプルです。
まず1→2と上がります。
1-2-1-2-3-2-1-2-3-4-3-2-1-2-3-4
また1に戻って、今度は1→2→3と3まで上がったら、逆行して2に戻ります。
1-2-1-2-3-2-1-2-3-4-3-2-1-2-3-4
また1に戻って、今度は1→2→3→4と上がって、3→2と降ります。
1-2-1-2-3-2-1-2-3-4-3-2-1-2-3-4
最後に1→2→3→4と上がって1サイクル終了です。
1-2-1-2-3-2-1-2-3-4-3-2-1-2-3-4
パターンに慣れるまで、ひとつの弦・ひとつのポジションで練習します。
そして下行パターンは、鏡に移したように1と4の指が反転して、4から始まります。
4-3-4-3-2-3-4-3-2-1-2-3-4-3-2-1
慣れてきたら、ふたとおりの進め方があります。
進め方1
ひとつの弦を使って、まずは上行パターンでロー・ポジションからハイ・ポジションまで1フレットずつ上がっていきます。ハイ・ポジションをどこまで上がるかは、やりやすいところまででいいです。ハイ・ポジションの弾きやすさ・弾きにくさは、 楽器の形とか楽器の位置(ストラップの長さ)などで違うし、1弦なら一番上まで行けても別の弦だと難しかったりもするので。行けるところまで行ったら、折り返して、下行パターンで下がってきます。ほかの弦でも同じようにやります。
進め方2
まずロー・ポジションの4弦で上行パターンを1サイクル弾きます。次に3弦、2弦、1弦と順番に弦を替えて行き、今度は1弦で下行パターンを弾いて、そのあと順番に4弦まで戻ってきます。そのあとはフレットごとに同じことを繰り返してハイ・ポジションに向かってもいいし、最初のパターンが1フレット〜4フレットをカバーしているので、1巡したら次は5フレット〜8フ レット、次は9フレットから12フレット、という風に上がっていってもいいです。
焦ってスピードを速くするよりも、丁寧にやりましょう。ゆっくりでもいいから、リキまずに、リズムを正確に、ひとつひとつの音価を意識して、音量を一定に、音のつなぎをなめらかに、という風に“質”を大事にしたほうが、ウォーミング・アップとして効果的です。ぜひ、毎日の練習の最初の方に取り入れてみてください! 石村順でした。
石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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