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【第62回】耳コピ成功7つのコツ/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

 耳コピが苦手な人向けに、いくつかコツを紹介します。前回は“耳コピ+α”の+αの作業が大事だという話をしました。今回は耳コピそのものがテーマです。

 まず、耳コピに慣れてない人はどんな曲を耳コピしたらいいかという話をします。

■ 簡単な曲、シンプルな曲

 当たり前ですけど、初めのうちは簡単な曲、シンプルな曲でやってください。速過ぎない/遅過ぎない曲、フレーズの音があまり細かく動かない曲、リズムがシンプルな曲がいいです。

■ コード進行がわかっている曲

 もし手元に、何かの曲のコードだけが書いてある譜面、いわゆるコード譜があるなら、その曲のフレーズを耳コピするのもいいです。コード進行がわかっていれば、耳コピのハードルはずいぶん下がります。ベースは基本的にコードの変わり目でルートを弾くので、コードがわかっているということは1音目は耳コピしなくてもほぼ確定しているわけですよね。しかもコードがわかっているので、ルート以外の音も可能性が限定されます。当てずっぽうで音を探るよりも簡単です。

■ ベース・マガジンに載っている曲

 ベース・マガジンとかバンド・スコアに載っている曲を耳コピするのもアリです。“いや、耳コピする意味ないでしょ”と思うかもしれませんが、その譜面を全部見ずに、最初の1小節のフレーズだけ五線譜に書き写して、その先は自分で耳コピするという風にやります。やっぱり、何もわからない状態から始めるより、最初のフレーズが一節でもわかっていたほうがハードルが下がりますよね。あと、この場合は耳コピが終わったあとに答え合わせができるのがいいかなと思います。

 では、実際に耳コピするときに役立つポイントを紹介します。

■ 口ずさむ

 まず音源を短く聴いたら止めて、聴こえたフレーズを口ずさみます。音程はちゃんと合っていなくてもいいです。これを何度かやって、まずフレーズの雰囲気を掴みます。

■ まずリズムの形を知る

 次に音程は無視してリズムの形だけを聴き取って書きます。フレーズのリズムの形がわかれば、そのフレーズの半分はわかったことになります。ただやみくもに1音ずつ音程と音の長さを同時に聴き取ろうとするよりも、まずリズムの形だけ把握しちゃうといいです。

 普通、1曲のなかで同じリズムの形が繰り返し使われます。たとえば1小節目と2小節目でコードが変われば音程は変わるけど、リズムの形はまったく同じだったり、バリエーションだったりする可能性が高い。リズムがわかれば、次の小節も同じリズムの形かな、と予想ができるので効率的です。

■ 取りたい音で音源を止める

 音程を聴き取るにあたって、聴き取りたい音が聴こえたところで音源を止めます。ある意味、耳コピ用のスキルとしてはこれが一番重要かもしれません。そして、最後に聴こえた音と同じ音程をロング・トーンで口ずさんで、その音を指板上で探します
 
 その音の次の音が鳴っちゃってから音源を止めると、やっぱり最後に聴こえた音の余韻や印象が強いので、聴き取りたかった音がなんだったわからなくなりがちです。

■ わからなければ飛ばす

 ある音がわからなかったら、わかるまで頑張るのもありですが、ある程度やってもわからなかったら、その音は飛ばして次の音に移っていいです。ディテールが多少欠けてても、全体像を掴むほうが大事です。

 それに、次の音がもしわかれば、そこからさかのぼって“”さっきのはこの音かな?”って推測することもできますしね。

■ 耳コピ用のアプリは使ってもいいか

 音源のピッチは変えずにテンポだけを落としてくれる耳コピ用アプリもありますよね。慣れないうちは使っていいと思います。慣れてきたら、元のテンポで聴き取る訓練をしましょう。耳が鍛えられます。

■ 理論は時短

 コードやスケールや譜面の書き方を知ってると、1音ずつ手探りで見つけるんじゃなくて、理論を元に予想できるので時短になります。コードとかスケール、覚えていきましょう。

■ 最初のうちは質より量

 最初のうちは音程やリズムが間違っててもいいので、とにかく量をこなすといいです。経験を積むうちに、音を聴き取って指板上で見つけるスピードも上がっていくし、精度も上がっていきます。

 ということで、どんどん耳コピしていきましょう~、石村順でした!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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