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【第6回】生音禁止!/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

BASS MAGAZINE Webの『石村順の低音よろず相談所 ~Jun’s Bass Clinic~』、第6回です。

自宅だとアンプなしの生音で練習しがちって人、いますよね。

“夜遅いから音を出せない”とか“アンプにつなぐのが面倒くさい”とか……。

それもわかりますが、もしうまくなりたいのなら、絶対にアンプを使ってください

しかも小さい音ではなくて、細かいニュアンスも聴こえるくらいの音量でやってください

それはなぜかというと、エレベって、本体だけじゃ未完成なんですよ。

例えばコントラバスやアコギは、そのまま弾けばその楽器の音が鳴ります。共鳴胴などで弦の音が増幅されますからね。

エレベについても、アンプがなくても音は鳴りますが、とても小さいし、そもそもそれ、“エレベの音”じゃないし……。弦をハジくと、ピックアップで電流が起きます。そして、本体のコントロールやケーブル、それからプリアンプ/パワー・アンプ、スピーカー・ケーブル、そしてスピーカー……というこの流れは、言うまでもなくすべて電気信号です。最後にスピーカーが空気を振動させることで、やっと音になります。その結果が“エレベの音”なのです。

つまり、ベース本体からスピーカーまでがひとつの楽器なんです。ケーブルやアンプなど、交換できる部分も含めて、ひとつの楽器なのです。

一方、楽器の演奏で一番大事なのは、超絶テクニックなどではなくて、音色とリズム・フィールです。どんなジャンルのどんな曲でも、音色とフィールが曲に合っていれば、シンプルなフレーズでもかっこいいし、どんだけ速弾きしても、音色とフィールがイマイチだとかっこ悪い。

そこで“音色を追求しよう!”ってなると、“どっちのピックアップを使うか”とか“トーンの具合”、さらに“ケーブルの種類”や“アンプでの音作り”……みたいに、ハード面も研究しないといけませんし、ピッキングのニュアンスやピッキング・ノイズを抑えた弾き方、余計な開放弦を鳴らさない方法、といったスキルも身につけなければいけません。こういった大事なディテールはたくさんありますが、すべて、アンプで音を出さないとわからないんですよね。

あと、生音や小さい音で練習してる人って、結構力任せに弾いちゃってることが多いです。そりゃ聴こえづらいと強く弾いちゃうよね。でも、力任せで弾くといい音色は出ないです。あくまでリラックスして弾かないといけません。そして、アンプを使えば、余計な力はいらないはずです。

ですので、少しでも音色のことを気にしているなら、普段からある程度の音量でアンプを使いましょう

とはいえ、日本だと家でがっつり音を出して練習することってなかなか難しいですよね。しかし、最近の自宅用アンプやマルチ・エフェクターには、ヘッドフォン・アウトがついていることが多いので、ぜひヘッドフォンを使いましょう。スピーカーから出てくる音とは異なりますが、生音よりは全然いいです。あとはMacとかPC、スマホ、タブレットとオーディオ・インターフェースの組み合わせでもいいです。

ただ、毎日じゃなくても、やっぱり定期的にスタジオなどでしっかりと音を出して練習したほうがいい。というのは、アンプで音を出すと、部屋のサイズやアンプを置く場所によって、低音の回り具合などが変わるんですよ。それをアンプで調節しないといけないんですが、そういったことって、ヘッドフォンだとわからないんですよね。

ということで、アンプやヘッドフォンを使って、ディテールを大事にし、一緒にうまくなりましょう!

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ではまた~! 石村順でした!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

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