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    【第53回】弦を“指”で押さえてはいけない/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    レッスンなどでよく相談される内容のひとつに“左手がすぐ疲れる”“左手の親指の付け根が痛くなる”などの押弦に関する悩みがあります。そういう人は、押弦するときに“指だけ”で弦を押さえている場合が多いのです

    実は、指だけじゃなく、腕全体をうまく使って押さえるのがめちゃくちゃ大事なんです。なぜかというと、指だけで押さえるのは効率が悪いから。結果的に、すぐ指が疲れたり痛くなったりしがちです。特に小指・薬指や、親指の付け根あたりですね。

    “指だけで弦を押さえるのがどれだけ効率が悪いか”というのは、例えば机の上にすごく硬いスイッチがあって、それを指で押すところを想像するとわかりやすいです。

    横から指を伸ばして指先だけで押すと、けっこう力が必要です。

    指をアーチ型にして指全体で押すと、ちょっと楽になります。

    手首も立てて腕全体の重さで押すと、だいぶ楽です。

    立ち上がって体重をかけて押すと、ほぼ力は必要ありません。

    弦を押さえるときも同じで、指のほかに手首+肘+肩を使って押さえたほうが、効率が良くて楽なんです。
    ということで、自分の演奏を鏡で見たり動画に撮って、次のような押さえ方をしていないかチェックしましょう。

    ポイント①
    指の第一関節や根元の関節が逆に反っている。

    指の根元の関節を逆反らせる力の方向は、弦を押さえる力の方向と逆なので良くありません。

    これは、例えば手で何かを前に押そうとしてるのに上半身はのけ反ってる、みたいな力の使い方と同じで、無理があります。これだと手に余計な力を入れなきゃいけない。上半身も前傾させて手に体重をかければ、手の力はそんなにいらないですよね。それと同じで、指の根元はできるだけ逆反りさせずにアーチ型で使いましょう

    また、第一関節が逆反りしてると、そこに力が集中して負担が大きくなります。第一関節をアーチ型にして使えば力が分散するので、1ヵ所に大きな負担がかからずに済みます

    ポイント②
    弦が変わるときに、手首の角度が同じまま固定されている。

    弦を移動するとき手首を固定していると、例えば3弦を押さえるときは良くても、その角度のまま指だけを2弦や1弦に動かすと、ポイント①みたいに指の根本が逆反りしがちです。これを防ぐために、弦ごとに手首の角度を変えます。結果的に肘が前後に動きます

    ポイント③
    指が変わるときに、肘の角度が同じまま固定されている。

    指が変わるとき、手首を固定してると、例えば1の指から4の指に変わるときに、4の指の力だけで押さえることになりますよね。1とか2は強いからいいとしても、4の指の力は弱いから大変なのと、ネックを親指と4の指で無理に挟むような力の使い方をしようとすると親指の付け根が痛くなったりします。これを防ぐために、手首ごと動かして指をサポートしましょう。肩から動かす感じで、結果的に肘が左右に動きます

    ポイント④
    力が入りすぎている。

    ポイント①②③のような押さえ方をすると、必要以上に力が入ってしまいます。リキんでいる、すぐ疲れる、痛くなる、というのは、無理のある押さえ方をしているサインなので気をつけましょう。

    ということで、こういうポイントを中心にフォームを見直すといいと思います。手首や肘を固めたまま弾かないで、指、手首、肘、肩を柔軟に使って弦を押さえましょう。石村順でした!

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライヴや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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