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【第17回】 指弾きで弦跳びするときの、右手親指の使い方 1/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜
- Text:Jun Ishimura
BASS MAGAZINE Web『石村順の低音よろず相談所 ~Jun’s Bass Clinic~』。
第17回となる今回は、指弾きの右手のフォーム・シリーズ第4弾!
指弾きといえば、右手親指をどこかに置いて弾く人がほとんどだと思います。そのなかで、弦を移動するときに親指をどうするか?というのが今回のテーマです。
そもそも、親指を置くのは、“手とボディの位置関係を安定させるため”というのが主な理由です。加えて、親指の使い方によっては不要な開放弦をミュートすることもできます。その際、親指はピックアップや弦に軽く触れているだけでかまいません。たまに、力をグッと入れて押しつけている人がいますが、そんな力はまったく必要ないのです。極端に言うと、“親指を浮かせていても演奏できるけど、それだと不安定なときもあるから軽く添えておく”みたいなイメージです。
では、弦を移動するときに親指をどうするか? ざっくり分けると、一般的には次のふたつのやり方があります。
① 親指ごと手全体を動かす親指移動式
② 親指を同じ場所に残す親指ステイ式
① の親指移動式は、ボディに対する手のひらの角度を保ったまま移動できるため、どの弦も同じフォームで弾くことができます。
また、高音弦を弾くときに、親指を低音弦に置くことで低音側の開放弦をミュートできるのも利点です。
しかし、素早くオクターブを行き来するような、大きな弦跳びを含むフレーズには向いていません。
②親指ステイ式は、大きな弦跳びを含むフレーズに向いています。ただし、手首を固定したまま弾くと手首が疲れるし、特に低音側の弦を弾くのがキツくなるので注意が必要です。
ですので、このようにボディに乗せる前腕を滑らせて、弦ごとに手首の角度を変えたほうがいいです。
ところが、そうやったとしても“弦ごとにフォームが変わってしまう”というデメリットはありますね。それに、特に高音弦に行くに従って手首の角度がキツくなりすぎる場合があるのも難点です。そこで、前腕をボディに乗せずに肘を浮かせると、手首を曲げすぎて痛くなる問題は避けられます。
しかし、腕全体を常に持ち上げていないといけないので、いつもこのフォームで弾くのは無理がありますね。あと、高音弦を弾くときに低音弦の開放弦が無防備になるのも気になります。
僕の場合はどうしているかというと、基本的に、ほとんどの場合は親指移動式です。低音側の開放弦のミュートを右手だけで完結できるし、手首に負担がかかりません。何よりも、どの弦でも同じようなフォームで弾けるのがいいです。なぜ同じフォームで弾くことがいいのかというと、フォームが変わると弦に当たる指の角度も変わるため、音色が微妙に変わってしまうのです。音色を一定にしたいときに、フォームが原因で音色が変わってしまうのはなるべく避けたい。そのために、僕はできるだけ親指移動式で弾いています。そして、素早い弦跳びフレーズのときだけ、親指ステイ式に切り替えています。
前回でも言いましたが、ひとつのフォームにこだわるのではなく、その場その場の状況に応じて、一番適した、無理のないラクなフォームを選ぶということを大事にするといいと思います。
この親指移動式と親指ステイ式のふたつのやり方以外に、第3のフォームがあります。これは、かなり役立つフォームで、実は僕もその第3のフォームを一番多く使っています。これは、通常の4弦ベースでももちろん使えますし、5弦・6弦と言った多弦ベースで本当に役に立つ使い方なんですね。
次回はその第3のフォームを説明しますのでお楽しみに!
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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