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REVIEW -『ABRACADABRA』 BUCK-TICK

『ABRACADABRA』 BUCK-TICK

打ち込みと肉体が拮抗する、美意識に満ちた最新形態

 BUCK-TICKにとって33度目のデビュー記念日にリリースされた、22枚目となるオリジナル・アルバム。作品ごとに“最新形態”を見せてくれる彼らであるが、本作は、生身の人間が演奏する部分と、シンセや打ち込みのサウンドとの混ざり具合が絶妙。また、それらがただ混じり合うのではなく、シンセが持ち合わせているボトム感に対して、リズム・セクションが人力のグルーヴをもって拮抗している様子がとてもスリリングだ。また、ベース・リフがエキゾチックな印象を与える④や、少し歪ませながらも、楽曲を包み込むような印象を与える⑤の低音も心地よい。今もなお進化を続ける彼らの美意識から、第一線で活躍し続ける理由を垣間見た。(近藤隆久)

◎作品情報
『ABRACADABRA』
BUCK-TICK
ビクター/VICL-70244
発売中 ¥3,000 全14曲

参加ミュージシャン
【樋󠄀口豊(b)】櫻井敦司(vo)、今井寿/星野英彦(g)、ヤガミ・トール(d)