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第31回 – ベーシストのライヴ必需品って?【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】
- Text:Makoto Kawabe
この連載では、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。今回は“ベーシストにとってのライヴの必需品”について考えてみましょう!
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はじめに
学生さんにとって11月は文化祭の季節でもあり、初めてのライヴを控える新米ベーシストさんも多いのではないかと思います。日々の練習の積み重ねはもちろんですが、当日のライヴへの備えは万端ですか?楽器と衣装は準備しました?それだけで大丈夫かな?
ライヴハウスやイベントのステージには大抵ベース・アンプが用意されているので、とりあえずは自分の楽器さえあれば音が出せるかと思いますが、それ以外にも必要なもの、あると安心なアイテムもありますので、いくつか紹介しておきますね。筆者オススメの製品もあわせて挙げておきます。
シールド・ケーブル
ステージに用意されていることもありますが、音質を左右するものですし消耗品の側面もあるので、演奏者が持参するのがマナーかと思います。自宅で練習する際は短いほうが使いやすいことも多いですが、ステージでは最低でも3m以上、できれば5mくらいの長さのシールド・ケーブルを用意しましょう。
短いシールド・ケーブルでアンプにつなぐと、楽器とアンプの間でケーブルが宙に浮いてカッコ悪いだけでなく、ふとした動作でケーブルを引っ張ってアンプを倒してしまう可能性もあります。もちろんステージ・パフォーマンスをするのであれば、それ以上の長さのシールド・ケーブルを用意するべきでしょう。
とはいえ、あまり長いと音質が劣化しますし、ケーブル同士が絡んで取り回しに苦労する可能性もあるので、長くても10mくらいが限度かと思います。
ステージ・パフォーマンスを重視するのであればワイヤレス・システムを導入するのも一手です。
シールド・ケーブルから解放されてさらにステージで動きやすくなるのは間違いありません。とはいえ、ワイヤレス・システムは本番中に電池切れや混信などのトラブルを起こす可能性がとても高いので万全の対策を取りましょう。
Bluetoothや2.4GHz帯を使用するワイヤレス・システムの場合は会場のWiFiなどと干渉する可能性があり、多チャンネル利用ができるB帯のワイヤレス・システムでも異なるメーカーの製品を同時使用すると混信が起きる可能性があります。
同じバンド・メンバー同士でワイヤレス・システムを導入するなら、混信を防ぐために同じ製品の異なるチャンネルを使用し、お互いの使用チャンネルを明確にしておくべきでしょう。さらに事前に会場や主催者、出演者などと連携してワイヤレス・システムを使用することを申告しつつ、使用しても問題がないか確認しておくと安心ですね。
ストラップと脱落防止アイテム
ステージで立奏するにはストラップが欠かせませんね。一般的にはベース本体のストラップ・ピンにストラップ両端の穴を引っ掛けて固定するわけですが、激しいステージ・パフォーマンスをするなら脱落しないかやや不安です。ストラップを頻繁に着脱していると穴が広がりやすくなりますし、ストラップ・ピン自体が緩みやすくなることも考えられます。そこでぜひ活用したいのがストラップの脱落を防止する各種アイテムです。
安価で導入しやすいのはゴムやプラスティック製のストラップ・ロックですね。ベース本体のストラップ・ピンを交換したり、ストラップに加工したりする必要がなく、ストラップ・ロックを追加するだけでストラップが外れにくくなります。
ストラップ側に取り付ける金具と専用ピンがセットになったタイプはさらに脱落しにくく、ワンタッチで着脱しやすいのがメリットですが、ストラップ・ピンを専用品に交換する必要があるのと、専用金具のついていないストラップが使えなくなるのが難点です。
いずれにしてもストラップ・ピンが緩んでいるとピンごと抜けて楽器を落としてしまうことになるので、本番前にはピンが緩んでいないかチェックしつつ必要に応じてネジを増し締めしておきましょう。
チューナー
チューニングを合わせるのはバンド・アンサンブルの基礎中の基礎です。“はい、チューニングは家で合わせてきました!”なんて言う学生バンドがいましたが、もちろん論外。チューニングは本番前に合わせて、念のためステージ上の演奏直前にも確認しましょう。
エフェクターを使わないアンプ直結派のベーシストでも足下にミュート機能のあるペダル型チューナー(ライン・セレクターやアンプのミュート・スイッチとプラグイン型のチューナーでも可)を置き、音を出さずにチューニングを確認できるのが理想です。クリップ・チューナーでも機能は果たしますが、見栄えとチューニングの安定性の面でステージ上では不向きかと思います。
譜面を見るなら
ライヴ・パフォーマンスに集中するなら譜面を見ない(暗譜しておく)に越したことはないですが、事情によってはステージで譜面を見ながら弾くこともあるでしょう。紙の譜面を見るのに最低限必要なのは譜面台ですね。
それなりのステージであれば用意されているものですが、念のためしっかりした譜面台を持参すると安心ですね。野外のステージでは風で飛ばされることもありますし、突然の雨で濡れることもあるので、まとめやすく読みやすいファイルに楽譜を収め、念のため固定用のクリップ(洗濯バサミ)もあると安心です。(筆者オススメの譜面ファイルはこちら)
屋内のステージでは打ち合わせをせずに本番を迎えると照明が暗転して全く譜面が読めなくなる可能性もあります。あらかじめ真っ暗(ド暗転)にならないように照明さんに相談しておくか、譜面灯を用意してもらいましょう。
ちなみに昨今は譜面をPDF化してタブレットに収めているミュージシャンが多くなりました。タブレットであれば画面自体が発光しているのでステージ上でも譜面灯は不要ですし、風で飛ぶ心配もありません。楽譜表示に特化したアプリも充実していますし、フットスイッチで譜面をめくることも可能です。
アクティヴ・ベースを使うなら
アクティヴ・ベースの場合、最も危惧されるのが本番中の電池切れです。本番前に電池を新品に交換しておくのが無難ですが、電池チェッカーで電池残量を確認しておけば安心ですね。電池駆動でエフェクターを使う人も同様です。電池で音色が変わる可能性もあるので、電池残量のチェックはリハーサル前に行ないましょう。
その他 工具など
楽器調整用の六角レンチやドライバーなどの工具一式、いわゆるメンテナンス・キットも持っておくと安心です。筆者は精神安定の意味も含め、本番前に楽器各部のネジが緩んでいないか最終チェックをします。交換用の新品弦セットやパッチ・ケーブルなんかも予備を持っていると安心ですね。本番前後に楽器を拭いてあげるクロスも持っておきましょう。(筆者のオススメ:ERNIE BALL/MUSICIAN’S TOOL KIT、KEN SMITH/SMITH POLISH CLOTH)
最後に
やっぱり本番前の準備ってソワソワしますよね。特に心配性の人は荷物が多くなりがちだし…。まあでも備えあれば憂いなし!すっきりした気持ちで本番を迎えましょう。
あ、最後にいざというときの神アイテムは……結局、何かあったときに頼りになるのはこれ、“ガムテープ!”。ガムテープ最強。やっぱりTERAOKAのガムテープが良いのよねー、もちろん布製の分厚いやつ。ステージ用にひとつ持っておくと安心です。ライヴハウスなんかには必ずあるので気軽に少し貰ったりしますけど、結構お高いのでありがたく大事に使いましょうね。(筆者のオススメ:寺岡製作所/TERAOKA カラーオリーブテープ NO.145)
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◎講師:河辺真
かわべ・まこと●1997年結成のロック・バンドSMORGASのベーシスト。ミクスチャー・シーンにいながらヴィンテージ・ジャズ・ベースを携えた異色の存在感で注目を集める。さまざまなアーティストのサポートを務めるほか、教則本を多数執筆。近年はNOAHミュージック・スクールや自身が主宰するAKARI MUSIC WORKSなどでインストラクターも務める。
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