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スタートダッシュ【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】– 第9回

生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史による、以前本誌にて掲載していた当連載がBM Webにて復活! マニアックなものからビギナー向けのお勉強企画まで、豊富な機材知識を持つ高松がエフェクターを語り尽くします。第9回は、ベースを始めたばかりのビギナー・プレイヤーへ向け、オススメのギアを各種紹介してくれました!

スタートダッシュ

Bass Magazine Webを御覧の皆様、ごきげんいかがでしょうか。高松浩史です。

4月も終わりに近づいてきました。新学期や新生活が始まり、ようやく少し落ち着いてきたところでしょうか。もしかしたら、新たにベースを始められた方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、ベースを始めたばかりの方にオススメの機材、グッズなどをご紹介していきます。すべて紹介するととても長くなってしまいそうなので、一部になってしまいますが……。

それと初めに断っておきますが、あくまで僕の意見であり、絶対ではありませんので、あくまでご参考程度に……。

【チューナー】
チューニングは楽器を演奏するうえでのスタートラインですので、チューナーはある程度しっかりしたものを持っておくのが良いと思います。チューナーにはよく使用されるものとして、ペダル・タイプとクリップ・タイプがあります。

クリップ・タイプはその名のとおりクリップになっていて、ベースのヘッドに挟んでチューニングするもので、小さくて軽く、手軽なので持っているとなにかと便利ですね。ただ、大きな音が鳴っている環境だとチューニングできません。オススメはTC ElectronicのUNITUNE CLIP。反応も早いですし、チューニング精度も良いと思います。

ペダル・タイプはエフェクターと同じような使用感というか……。電池や電源アダプターで駆動させ、フット・スイッチでオン/オフします。エフェクター・ボードに組み込みやすく、ペダルをオン(チューニングするモード)にしたときに音が出ないので、ミュート・スイッチにもなったり、クリップ・チューナーのようにまわりの環境にあまり左右されない点がメリットでしょうか。

逆にデメリットとしては、シールド・ケーブルやパッチ・ケーブルがもう一本必要になったり、別途電源が必要になったりと、揃えなくてはならないものが多い点ですね。個人的にはこちらのタイプをオススメいたします。KORG、BOSS、TC Electronicあたりの実績があるメーカーのものを選んでおけば大丈夫です。僕はライヴ/レコーディング用にSONIC RESEARCH製、自宅用にWalrus Audio製のチューナーを使用しています。次に購入するとしたらPETERSONのチューナーが欲しいです。

僕が普段使用しているチューナーたち。
Walrus AudioのCanvas Tuner(右)は好きな画像を取り込めて、待ち受け画面にできるので、それだけで使用しています。

【シールド・ケーブルやパッチ・ケーブル】
楽器とエフェクターやアンプなどをつなぐうえで必要となるケーブルですが、最初は“あればオッケー”くらいの気持ちで良いと思います。僕もバンドでCDデビューしてしばらくは、楽器屋さんで一番安く売っていたケーブルなどを使用していました……。いろいろと試すようになったのは、自作を始めたタイミングだと思います。

ただ、音質やノイズなど、音に影響がある部分ですので、最初から良いものを購入するのも大いにアリです。とても高価な製品もありますが、基本的にはそこまで高価なものではないので。僕は普段、MOGAMIの2524というケーブルと、2534というマイク・ケーブルを使用しています。2524は出来上がっているものが売っていますので、手に入れやすいと思います。ほかにもCANAREやBELDENあたりが定番でしょうか。MOGAMIやCANAREは素直な音質、BELDENは多少クセがある音質の製品が多いです。断線などで音が出なくなってしまうので、基本的には消耗品だと考えたほうが吉です。

【アンプやオーディオ・インターフェイスなど、音が出せるもの】
自論ですが、エレクトリック・ギターやベースは必ずアンプやヘッドフォンなどで音を出して練習するべきだと思っています。生の音で練習してしまうと、必要以上に強くピッキングしてしまうクセがついてしまったり……。

なので個人的にはきちんとベースの音をモニターできる機器も必要だと思います。VOXのamPlugはPCやスマートフォンなどから曲を流しながら練習できるのでオススメです。

僕は普段、自宅ではオーディオ・インターフェイスを使用して、ヘッドフォンで練習しています。音作りもそうですね。自宅でアンプやスピーカーを使用して音を出すことはほぼありません。ツアー中だと先述したVOXのamPlugに似た、BLACKSTARのamPlugを使用しています。あと、音が出せる環境であれば、10W程度の小さなアンプも良いですね。最近の自宅練習アンプは、音源を流せたり、ヘッドフォン出力が付いていたり、さらにはエフェクターも入っていたり、かなり多機能なので、とても便利そう。音だけではなく、必要な機能が備わっているのか、という点も重要になってきます。

以上、ベースを始めた方にオススメ、というか必要な機器のご紹介でした。

肝心のエフェクター……。正直、最初のうちは必要ないかもしれません。が、マルチ・エフェクターは入り口としてとても良いと思います。それぞれのエフェクトがどんな音なのかを体験できるので。それに、最近のマルチ・エフェクターは音が良いですよね。ちょうどZOOMやBOSSから新製品が発表されていますので、チェックしてみてください。僕もZOOMのMS-60B+はとても気になっています。

それでは、今回はこのへんで。ご覧いただきありがとうございました。

◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。2002年に高校の同級生だった小林祐介(vo,g)とともに前身バンドを結成する。2005年からThe Novembersとしての活動を開始し現在までに8枚のフル・アルバムなどを発表している。2021年からは京(vo)、yukihiro(d)を中心としたプロジェクトPetit Brabancon、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSのメンバーとしても活躍している。その他、Lillies and Remains、圭、健康のサポート・ベーシストも務めている。

◎Information
高松浩史 X Instagram