NOTES

UP

現在の沼【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】– 第7回

生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史による、以前本誌にて掲載していた当連載がBM Webにて復活! マニアックなものからビギナー向けのお勉強企画まで、豊富な機材知識を持つ高松がエフェクターを語り尽くします。第7回は、ベーシストの定番機である、あのオーバードライブを徹底分析してくれました!

30歳の“おでぶさん”

Bass Magazine Webをご覧の皆様、ごきげんいかがでしょうか。高松浩史です。

今回は僕の好きな、BOSSのODB-3というエフェクターについてお話ししていきます。

皆様も一度は見たり聞いたりしたことがあるのでは? というほど定番の機種ですね。このペダルが発売されたのは1994年とのことなので、今年で30周年になりますね。一度もマイナーチェンジされずに生産が続いている、超ロングセラー商品。すごい!

僕が高校生の頃ですら、市場にはベース向けの歪みエフェクターはあまり存在していなかったので、1994年に“ベース用”と謳われた製品があったことは珍しかったのではないでしょうか。

筆者所有のODB-3たち。中古などでも安価でゲットできるので、改造用に入手するのもオススメ。初年度の個体も所有していますが、わりと新しく製造されたものとそこまで音に違いはありませんでした。BOSSの企業としての強さを感じました……!

このペダル、“初心者の人は扱うのが難しいかも?”と常々思っていたので、今回は僕なりの使い方などを書いていこうかなと思います。

まず最初に一番重要なことを。それは……

『“Over Drive”と書いてあるけれど、基本的にはOver Driveではない』

ということです。

このペダル、かなり歪みます。“もはやファズでは?”というところまで歪みます。なので、オーバードライブではなく、ディストーションとして捉えるのが良いと思います(現代では試奏動画などがたくさんあるので、オーバードライブだと思って試奏せずに購入したらファズだった……みたいなことはあまりないと思いますが)。

一応、GAINゼロでオーバードライブっぽくはなりますが、この機種はわりとしっかり目に歪ませたほうが相性が良いと思います。キャラクターとしてはかなりドンシャリで、歪みの深さも相まって、わかりやすくカッコいい音ですね。

アンサンブル内で使いやすいディストーション・サウンドを目指すのであれば、音作りのコツとしては、まずEQをそれぞれ時計の12時方向、BALANCEを右に回し切り、GAINは時計の9時方向くらいから始めると良いと思います。ただ、そのままだとどうしても音が潰れすぎてしまったり、バンド・アンサンブル内で埋もれてしまいがちです。特に、ここからさらにGAINを上げたときなどは……。

そこで、この機種の音作りのキモであるBALANCEコントロールの出番です。いわゆる“クリーンミックス”、“原音ブレンド”と呼ばれる機能ですね。ドンシャリ感のあるズンズンした音に対して、クリーンの音を混ぜることで音の芯を担保するのですが、個人的にはクリーンを混ぜすぎないことが重要だと思います。

この機種に限らず、ハイゲインな歪みに対してクリーン・ミックスを行なうと、音が混ざらず分離しているように聴こえてしまうので、原音の存在があまりはっきりと出ないギリギリのところを攻めると良いのかなと。案外、そのくらいささやかでもバンド内でほかの楽器と混ざったときにしっかりと効いていたりします(僕の環境だと時計9時から10時くらいでしょうか。このあたりはどのようなベースをどのようなピッキングで弾くのかにもよると思いますので、良い感じのポイントを模索してみてください)。

BALANCEコントロールのポイントが決まったら、次はEQの調整をしましょう。僕はBASSをほんの少しだけ足し、TREBLEは少しカットすることが多いですね。それぞれ効きがすごく良いので、BASSを足し過ぎてドッシリさせすぎたり、逆にTREBLEをカットし過ぎてモコモコになりすぎないよう注意してみてください。

どうでしょうか? これで基本的な音作りはできたはず! ここからGAINを下げてオーバードライブっぽい質感にしたり、逆に上げてファズっぽい質感にしたり、応用してみてください。この機種に限らず重要なのは、エフェクトのオン/オフをかなり頻繁に行なって、オンにしたときにどのような変化があるかを細かく確認すること、そして、オン/オフでの音量を揃えることでしょうか。僕が音作りをする際、一番気をつけている点です。ぜひ意識してみてください!

そして裏技的な使用方法ですが、BALANCEコントロールは左に回し切っても各コントロールは効く(ただし、GAINは歪むというより音量が上がる感じ。フルテンにするとミチミチと割れる感じの歪み)ので、ブースターやイコライザー、プリアンプとしても使用できます。味があるというか、太さを感じる良い音なので、こちらもオススメです。

あとこの機種、改造のバリエーションが幅広いようで。僕も1995fxの杉本氏に改造していただいています。本来のODB-3の良さを残しつつ、ロー・ミッドあたりの太さが足されてとても使いやすくなっています。皆様もご興味がございましたら、お問い合わせしてみてください。

さて、今回はBOSSの定番機種、ODB-3について取り上げてみました。これはあくまで僕のやり方ですが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

それでは、今回はこのへんで! ご覧いただきありがとうございました!

◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。2002年に高校の同級生だった小林祐介(vo,g)とともに前身バンドを結成する。2005年からThe Novembersとしての活動を開始し現在までに8枚のフル・アルバムなどを発表している。2021年からは京(vo)、yukihiro(d)を中心としたプロジェクトPetit Brabancon、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSのメンバーとしても活躍している。その他、Lillies and Remains、圭、健康のサポート・ベーシストも務めている。

◎Information
高松浩史 X Instagram