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スライ&ロビーのロビー・シェイクスピアが逝去

  • Photo:Great The Kabukicho

12月8日にスライ&ロビーのロビー・シェイクスピアが亡くなった。享年68歳だった。ジャマイカの新聞『ジャマイカ・グリーナー』によると、ロビーは先日、腎臓に関連する手術を行なっており、米国フロリダの病院に入院していたという。

ロビーは1953年、ジャマイカのキングストンに生まれた。1970年代半ばのチャンネル・ワン・スタジオにて、同郷で1952年生まれのスライ・ダンバー(d)とともにハウス・バンド、レヴォリューショナリーズを結成して活動をともにするようになる。“世界最強のリズム・セクション”とも称されたスライ&ロビーは、バスドラム4つ打ちのステッパーズ、ミリタント・ビートとも呼ばれるマーチングバンド風のスネア・ドラムが特徴のロッカーズといった象徴的なレゲエ・ビートを創出。タイトなスライのリズムに対してロビーはレイドバックしたアプローチで、レゲエの世界的浸透に寄与した。1980年代初めになるとスライ&ロビーはプロデューサーとしてスティーヴン・スタンレー、DJラリー・レヴァンと組み、アクティヴな16ビート・プレイや派手なスラップなどを武器に新たなディスコ・ダブ・サウンドを作り上げ、クラブ・シーンに影響を与えた。
 
スライ&ロビーの録音楽曲数はゆうに20万曲を超えると言われており、ダンスホール・レゲエとヒップホップ、R&B、ラテン音楽を融合させてジャマイカのミュージック・シーンを革新するとともに、プレイヤー/プロデューサーとして、レゲエ以外の分野でも活躍。ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、ローリング・ストーンズ、マドンナ、セルジュ・ゲンスブール、ジルベルト・ジル、ジョー・コッカー、ジミー・クリフ、グレース・ジョーンズ、シンディ・ローパー、シンプリー・レッドなどの大物と共演した。スライ&ロビー名義のアルバムでも幾度もグラミー賞にノミネートされるなど40年以上にわたり精力的に活動していた。

日本人アーティストとの関わりでは、1983年の渡辺香津美のアルバム『Mobo』にマーカス・ミラー(b)&オマー・ハキム(d)とともにスライ&ロビーが参加したことで話題を呼んだ。また、上田正樹や吉田美奈子の作品でも録音を残したほか、スライ&ロビー名義でJポップのカバー・アルバムも発表している。

本誌でのインタビューは、ノルウェー・ジャズを代表する孤高のトランペッター、ニルス・ペッター・モルヴェルとコラボレートした2018年の来日公演時(2018年12月号掲載)が最後となった。同インタビューでは、ニルス・ペッター・モルヴェルとのコラボレーションが自身にとって挑戦的なものだったかと問われたのに対し、“君が言うほど、チャレンジングなものではなかったかな”とし、“音楽は音楽でしかない。ほかの人々が外野で、あれはジャズだとか、これはポップだとか決めるかもしれないけれど、俺たちはなんだってプレイできる”と答えた。

ロビーが残した数々の功績を偲び、謹んでお悔やみ申し上げます。