ジャズ・ロック・ピアノ・トリオとして精力的するかたわら、多くのテレビ・ドラマや映画の劇伴からテーマ・ソングまでを手がけているfox capture plan。2021年5月に9thアルバム『NEBULA』をリリースし、結成10周年のアニバーサリー・イヤーである本年の活動も勢いづいている彼らが、初となるトリビュート・アルバム『ESCAPE -Tribute to fox capture plan-』を7月21日にドロップする。

 本作には、Schroeder-Headz、bohemianvoodoo、jizue、Shingo Suzuki(Ovall)、Yasei Collective、辻村有記、LITE、同志社大学The Third Herd Orchestra 2020の8アーティストが参加。流麗なピアノと人力ドラムンベースによるfox capture planの“新解釈ジャズ・ロック”が、多彩なアーティストによってどのように変化しているかは必聴だ。さらに、1stミニ・アルバム『FLEXIBLE』収録の「capture the Initial “F”」をfox capture planがセルフ・カバーした1曲を加えた9曲をラインナップしている。

 参加ベーシストのプレイに注目したい。Yasei Collectiveが演奏する「Butterfly Effect feat.Tomoaki Baba」は、ネオソウルとジャズが邂逅したグルーヴ・マナーのビートにヴォコーダーを乗せたアンサンブルがスピリチュアルな雰囲気を感じさせる仕上がりだ。中西道彦(b)はオクターバーを駆使したシンセライクなサウンドで、ブルージィなニュアンスを巧みに操って黒いフィーリングを生み出している。LITEが演奏する「Cross View」は彼ららしい幾何学的なロック・サウンドに見事に生まれ変わった痛快なダンス・ナンバーで、イントロから炸裂する井澤惇(b)の7/8拍子のスラップ・リフは呪術的な中毒性を放っていて耳に残る。そのほかにも、ラテンやクラブ・ジャズの洋式を加えてヒップに変化したbohemianvoodooの「other side」、シーケンシャルなビート・ミュージックのアプローチをすることでメロディが生きるjizueの「疾走する閃光」など、アーティストによって変化するグルーヴ・メイクのアプローチが飽きさせない聴き心地だ。また、Schroeder-Headz、Shingo Suzuki、辻村有記によるリミックス曲も聴き逃せない。

 fox capture planは自由な表現を続けた10年間で、彼らのアイデンティティを確立した。それに呼応するように集まった本作のアーティストからは、彼らと同じような音楽に対するピュアな探究心を感じることができる。独自の音楽性にますます磨きをかけるfox capture planの今後と、新たな音楽を生み出すジャズ・シーンに注目だ。

『ESCAPE -Tribute to fox capture plan-』
V.A.
Playwright/PWT-87
fox capture plan。左から岸本亮(p)、カワイヒデヒロ(b)、井上司(d)。

◎作品情報

『ESCAPE -Tribute to fox capture plan-』
V.A.

Playwright/PWT-87

01.衝動の粒子/Schroeder-Headz
02.other side/bohemianvoodoo
03.疾走する閃光/jizue
04.the last story of the myth/Shingo Suzuki(Ovall)
05.Butterfly Effect feat.Tomoaki Baba/Yasei Collective
06.エイジアン・ダンサー/辻村有記
07.Cross View/LITE
08.NEW ERA/同志社大学The Third Herd Orchestra 2020
09.capture the Initial “F”(2021 NEW TAKE)/fox capture plan

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