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Ibanez SRシリーズ “2021”モデル × TOKIE
- Equipments Explanation:Makoto Kawabe
- Photo:Takashi Yashima
ここからは実際にSRシリーズ2021年モデルの実力を検証していこう。
本シリーズのために新開発されたBig Breakピックアップなど、注目ポイントが目白押しだ。
SR1305SB-MGL
まずはSRのフラッグシップ・ラインであり、ハイ・スペックの木材/パーツで構成される、“プレミアム”シリーズをチェックしていこう。
新次元のプレイアビリティ/サウンドを実現するSR最新形態
アイバニーズのこだわりとクラフトマンシップを継承し、高スペックのマテリアルで製作される“プレミアム”シリーズの2021年モデル。ボディ表面にサンドブラストを施すことで木目を立体的に浮き出たせ、ロー・グロス・フィニッシュによって質感を高めたボディが目を惹く。ボディ・バックはアフリカン・マホガニー、ボディ・トップは硬質なパンガパンガ(ウェンジに似たアフリカ産の材)をアッシュでサンド。ネックはパンガパンガとパープルハートによる5ピースでKTSチタンロッド封入により剛性を増し、指板もパンガパンガを採用するなど本器が狙いとするサウンド、すなわち充実した中低音域と歯切れの良い高音域の両立がマテリアルからも読み取れる。SRならではのフィット性の良いボディ・シェイプとスリムなネックはもちろん、フレット・エッジには球面加工が施されプレイアビリティを一層高めている。
新たに搭載されたBig Breakピックアップは、アイバニーズとノードストランドが共同開発したスプリット・コイル構造のピックアップで、従来器に搭載された“ビッグ・シングル”のトーン・キャラクターを踏襲しつつ、ノイズ耐性を高め、周波数レンジを拡大している。このほか、ミドルの中心周波数が250Hz、450Hz、700Hzから選択可能なアイバニーズ・カスタムの3バンド・アクティヴEQ、各弦独立構造の“MR5S”モノレール・ブリッジなどを搭載する。
【Specifications】
●ボディ:アッシュ/パンガパンガ(トップ)、アフリカン・マホガニー(バック)●ネック:パンガパンガ/パープルハート(5ピース)●指板:パンガパンガ●スケール:34インチ●フレット数:24●ピックアップ:ノードストランドBig Break×2●コントロール:マスター・ヴォリューム、バランサー、トレブル、ミドル、ベース、EQバイパス・スイッチ、3ウェイ・ミッド・フリケンシー・セレクター●ペグ:ゴトー●ブリッジ:MR5S●カラー:マジック・ウェーブ・ロー・グロス●価格:198,000円
【Comment by TOKIE】
各弦ともにまとまりが良くて、キレイで高級な音がします。
(弾きながらミドルの周波数ポイントを切り替えつつ250Hzにして)……断然こっちが好き(笑)。アクティヴでツマミ全開にするとかなり迫力がありますね。(EQをフラットに)パッシヴからEQを若干ブーストしたアクティヴに切り替えることで音量が多少上がるので、パワー感が欲しいときだけアクティヴにする使い方もできそうです。でもパッシヴで弾いても音色キャラクターはアクティヴっぽい印象です。キレイで高級な音がしますね。
5弦ベースって5弦だけ音量が大きかったりトーンが違ったりということもありますが、これはすべての弦の音色キャラクターが同じですね。どの弦も問題なく使えて、まとまりが良いです。楽器自体の重量感は多少あるけど、このネックは細身で弾きやすいです。ちょっと底の部分が平らになってるのかな? 5弦ベースとしてのシェイプのバランスが良いんだと思います。フレットも引っかかりが少なくて指通りがスムーズです。
SR600E-AST
続いてはSRの“スタンダード・ライン”でもあり、高いコスト・パフォーマンスが魅力のSR600番台の実力を確認していこう。
各所にこだわりが込められた究極の“スタンダード”
SRのアイデンティティはそのままにシンプルなマテリアル構成でリーズナブルな価格帯を実現する“スタンダード”シリーズの2021年モデル。上位モデルと同じノードストランド製Big Breakピックアップ2基とアイバニーズ・カスタムの3バンド・アクティヴEQを搭載し、コントロールもヴォリューム、バランサー、約15dBの増減が可能な3バンドEQ、3モードから選べるミドルの中心周波数切り替えスイッチ、EQバイパス・スイッチ(バイパス時はパッシヴ・ベースとなりトレブル・ポットがトーンとしてのみ機能する)という構成で、上位モデルと変わらない幅広いサウンド・バリエーションを誇る。
SR600Eシリーズのマテリアルはすべて共通となっており、ボディは音響特性に優れストレートなサウンドに定評のあるアッシュ材を採用、ネックはジャトバ(赤褐色で重硬な木材)とウォルナットによる5ピースで、指板はローズウッドとなっている。ASTは木目の美しさを生かした“アンティーク・ブラウン・ステイン・バースト”と名付けられたステイン・フィニッシュによる通常モデル。ジャック位置は上位モデルと同じくボディ表面にあり、立奏時には抜けにくく、スタンドに立てかけた際の不意の破損を防ぐ狙いがある。一体型のプレートと独立サドルで構成される“アキュ・キャスト”B500ブリッジはサドルが左右方向に±1.5㎜可動する構造なので好みの弦間ピッチに調整が可能だ。
【Specifications】
●ボディ:アッシュ●ネック:ジャトバ/ウォルナット(5ピース)●指板:ローズウッド●スケール:34インチ●フレット数:24●ピックアップ:ノードストランドBig Break×2●コントロール:マスター・ヴォリューム、バランサー、トレブル、ミドル、ベース、EQバイパス・スイッチ、3ウェイ・ミッド・フリケンシー・セレクター●ペグ:アイバニーズ・スタンダード・ペグ●ブリッジ:B500●カラー:アンティーク・ブラウン・ステイン・バースト●価格:121,000円
【Comment by TOKIE】
“この楽器だったらこのフレーズも弾ける!”っていうのが出てくる。
私はジャズ・ベースを長く使っていたのでそういったトラディショナルな楽器との比較という視点になるのですが、そういう楽器だとハイ・ポジションを押さえるのって結構大変で、曲中でオクターヴ跳びたいときに頑張らないといけなかったりするんですけど、その点このボディの形だとハイ・ポジションが押さえやすいですね。この違いはフレーズを考えるときにも影響してくるんじゃないかな。“この楽器だったらこのフレーズも弾ける!”っていうのが出てくると思います。
ローの効きがかなり良くて少しツマミを動かすとかなり上がってくる感じがあるので、まずローのツマミの位置を固定し、そこを基準にほかのEQを設定する方法で音色作りをするとやりやすいんじゃないかなと思いました。材がアッシュのみだからなのか、音色もシンプルでストレートですね。SR1305SB-MGLとはかなり印象が違います。個人的にはこっちの方向性のほうが好みですね。
Other Line up
ここではSR600番台のほかのラインナップを紹介していく。バリエーションの幅広さとともに、アイバニーズが実現する“究極のスタンダード”をぜひチェックしてほしい。
SR600E-CTF
SR600Eシリーズのカラー・バリエーションは3色あり、“コズミック・ブルー・スターバースト・フラット”を意味するCTFは、文字どおり広い宇宙をイメージさせる開放感のある青系のバースト・フィニッシュで木目の美しさをより一層惹き立てている。
SR606E-CTF
SR600Eシリーズの6弦仕様はCTFのみのラインナップ。ナット幅54mmだが4弦仕様と同じ厚みのスリムなネックで高い演奏性を確保している。SR特有のコンパクトなボディ・シェイプや爽やかなカラーリングも相まってスッキリとしたルックスの反面、迫力ある音色が繰り出せるギャップ萌えの一本だ。
SR605E-BKT
シックな印象のBKT“ブラック・ステイン・バースト”は5弦モデルのみラインナップするカラーリング。5弦のスプリット・コイルながらもシークレット・ポールピースによって耐ノイズ性が高められており、ネック・シェイプやボディのフィット感など、5弦ベースとしてのバランスの良さが際立つ一本。
【Specifications】
●ボディ:アッシュ●ネック:ジャトバ/ウォルナット(5ピース)●指板:ローズウッド●スケール:34インチ●フレット数:24●ピックアップ:ノードストランドBig Break×2●コントロール:マスター・ヴォリューム、バランサー、トレブル、ミドル、ベース、EQバイパス・スイッチ、3ウェイ・ミッド・フリケンシー・セレクター●ペグ:アイバニーズ・スタンダード・ペグ●ブリッジ:B500●カラー:コズミック・ブルー・スターバースト・フラット/ブラック・ステイン・バースト●SR600E-CTF(121,000円)、SR606E-CTF(143,000円)、SR605E-BKT(132,000円)
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