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DIボックス 6モデル徹底検証【IKUO × Hiro(STUDIO PRISONER)】
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- Photo:Hiroki Obara
- Equipments Explanation:Makoto Kawabe
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総評&徹底討論
– 現代ベーシストにおけるDIの重要性 –
最後に、今回の試奏を振り返りつつベーシストにおけるDIの重要性を語り合ってもらった。第一線で活躍する両者が考える、“DI論”とはいかに。
ラインで音を作る時代だからこそDIの重要性が高まっている(IKUO)
まずは〝マイDI〟を所有して自分の価値観を高めてほしい(Hiro)
Hiro 今日はIKUOさんの現場目線でのリアリティある意見をうかがいながら聴き比べができたので、DIに求められる音色が時代によって変遷してきたこと、そして今だからこその各機種の良さが再認識できました。DIも進化しているのと同様に、エンジニアもベーシストも知識をアップデートしていく必要があるのかもしれませんね。
IKUO U5とかはロングセラーで何度も取り上げられていると思うけど、こうしてまとめて弾き比べると、それぞれのDIの違った魅力とか立ち位置が再確認できました。僕はこれまでいろいろなモデルを使ってきましたけど、いまだにほかのベーシストが使っている機種とか新製品も気になりますし。
Hiro 最近はDIも多様化していて、エンジニアの範疇のものからエフェクター感覚のものまで選択肢は増えていますよね。積極的に色付けするDIもあれば、真逆の方向性のDIもあるので、最初の段階でセレクトを間違えないようにしないといけませんね。
IKUO “色付け=エフェクター”って意味だと、ペダル型プリアンプDIのXLRアウトを使うのはHiroさん的にどうなんでしょうか?
Hiro ペダル型プリアンプDIのXLRアウトを試したこともありますけど、機能にしてもキャラクターにしても、DI単体機よりは弱いかなって印象でしたね。
IKUO そうですよね。僕の経験的に、歪ませる音作りだとあとからEQでローを持ち上げても、歪みのオイシイところがマスキングされていなくなる印象がある。だからこそDI単体機でローを損なわないってことは重要だと感じています。
Hiro ミキシングの段階でプラグインで音を作ることもあるけど、DI単体機特有のフレーズの明瞭さや抜けの良さは残りますからね。
ベーシストが“マイDI”を所有する意義
Hiro オーディオ・インターフェイスだけでも音は出せるけど、やっぱりレンジが狭いし歪むこともある。水深の低いプールですぐに足が付いて悠々と泳げないイメージです。でも優れたDI単体機だと、すべてにおいて深さが出せるし余裕が生まれるんです。“自分のベースはこんな音をしていたんだ!”って発見もあると思いますね。DIってひとつ所有すると比較的長く付き合うことになる機材だと思うし、あとからその良さがわかることもあると思うんです。そういう意味でも自分が成長するための足がかりに適したアイテムだとも思います。DIを変えることで逆説的に自分の求めている部分が浮き彫りになることもありますから。
IKUO もうアンプを鳴らさずにラインで音を作る時代ですし、だからこそDIの重要性が高まっていると思います。そもそも理屈抜きに音が変わりますし。自分の場合は解像度や高音質といったオーディオ的な性能だけじゃなく、耳の感性や弾きやすさを求めている部分もありますね。ベース単体の音だけではなく、アンサンブルでのベースの存在感とか重心の位置とかも重要なので。エンジニアさんの要望に答えつつDIを選んで、足下のエフェクターで微調整するだけで済む段階まで行けたらOKって感じですね。
Hiro エンジニアとしてはIKUOさんのような考え方を持たれているプレイヤーだと仕事がしやすいんですけど、“俺の音はコレなんで”みたいなベーシストも嫌いじゃないです(笑)。いずれにしても、まずは“マイDI”を所有して自分の価値観を深めてほしいなって思います。
IKUOのDI選定基準/DI遍歴
IKUO 基本的には自分の希望というよりもPAさんの意向が強いですね。結局、ライヴだとPAさんが外音を作りやすい環境じゃないと意味がないですから。DIって、以前はPAさんが持ってくるものってイメージがありましたけど、外音も自分の好きな音にするためにいつの頃からかDIも自分で持ち込むようになりました。最初はローがしっかり出せるU5を使っていたんですけど、エフェクターでしっかりローを出すようになってからは、フラットなイメージのRNDIに変えました。その後、もっとローが欲しいということでマークベースのペダル型プリアンプvintage preのXLRアウトを使うようになったんです。でもライヴハウスと違ってホールだととにかく低域を求められることもあって、今は友人のベーシストからオススメしてもらったKHANのVTDIを使っています。ハイもローもしっかりと出るし、チューブDI特有の温かみがあって、モッチリとした倍音も出してくれていると思います。