UP

ベーシストこそ! 揺れモノ/空間系エフェクターのススメ

  • Photo:Chika Suzuki

総評

一番クリエイティビティを刺激してくれるエフェクト。

 strymonのエフェクターは大好きで愛用しています。strymonって、派手なんだけどいやらしくないという印象があって。よくある“いろいろできますよ”っていう空間系のエフェクターって、わざとらしくて、やっちゃった感のあるものもあるんです(笑)。想像の余白がないというか、この音色だとこういう使い方だなってなってしまうというか。そういう意味では、strymonは細かく設定できるうえに、かかり方も押し付けがましくなくてちょうどいい。あと、音が立体的なところも好きで。特にベースでリヴァーブを使う場合だと、原音とリヴァーブ成分がダンゴになっちゃうとライヴでも使いづらいし、よくわからないものになっちゃう。strymonはちゃんと原音が真ん中にドシッとあって、そのまわりをエフェクト成分で固めてくれるからラインが見えやすくて使いやすいですね。

 モジュレーション系や空間系って、ベーシストが最初に手を出すエフェクターじゃないのかもしれないけど、一番クリエイティビティを刺激してくれるエフェクトだと思います。特に空間系はそうですね。どんな音を入れようかって考えているときに、エフェクトをひとつ踏んで、適当にセッションみたいなことをやっているだけで、エフェクト音に引っ張られてメロディが出てきたりする。歪みエフェクトは歪ませたいときに使うし、それはそれでストレートで職人的な深さがあると思うんですけど、僕のなかでは空間系は一番間口が広いエフェクター。特にリヴァーブは、質感も低音感も変わるし、揺れ方が変わるからフレーズの印象もグルーヴも変えられる。活用法によっていろんな効果が得られるんです。楽曲のミックス作業に近い。だから、エフェクターに興味がないとか、あんまりよくわからないんだよなっていう人ほど使ってみるといいんじゃないかなと思います。たぶん、何かおもしろいものが生まれますよ。

市川仁也
Profile
いちかわ・じんや●1993年生まれ、東京都出身。高校生の頃にバンド活動を始める。2014年にD.A.N.を結成。2016年、“ジャパニーズ・ミニマル・メロウ”を掲げたデビュー作が国内外で高い評価を受け、海外でのライヴ活動も行なう。これまでに3枚のオリジナル・アルバムを発表している。2022年11月12日(土)には東京・日比谷野外大音楽堂にて、OGRE YOU ASSHOLEとD.A.N.による“Optimo”スペシャル公演を開催予定。市川はベーシストとしても安部勇磨(never young beach)や小林うてなの楽曲にも参加する。
http://d-a-n-music.com/

Ichikawa’s Gear

今回、試奏音源を制作してくれた市川の使用機材をチェック。

 市川の愛器はアダモビッチ製のハイC仕様5弦ベース、The Dark。

 市川のエフェクト・ボードは、strymonフリークでもあるということで、BigSky(リヴァーブ)、MOBIUS(モジュレーション)、El Capistan(テープ・エコー)に加えて、パワー・サプライもOjaiとOjai R30とstrymon製のものを採用している。BigSkyはプリセットがたくさん組めて簡単に切り替えられる点や細かく設定を追い込めるところが気に入っているとのこと。

 そのほかのエフェクトは、TCエレクトロニックのpolytune(チューナー)、FMR AudioのA.R.C.(コンプレッサー)、Way HugeのPork & Pickle(オーバードライブ/ファズ)、3 Leaf AudioのOctabvre MKII(オクターバー)、フリーザトーンのPA-1QB(イコライザー)。

strymon製品に関するお問い合わせは、オールアクセスまで。◎https://allaccess.co.jp/strymon/

【お知らせ】
発売中のベース・マガジン2022年11月号では、市川によるbigSky V2とMOBIUSの詳しいインプレッションも掲載しています。

また同号では、特集『ベーシストのエフェクト・システム2022』を84ページという大ヴォリュームで掲載! プロ・ベーシストのエフェクト・ボードや人気プリアンプのセッティングの紹介のほか、プリアンプ/歪み/コンプの注目モデルやエンヴェロプ・フィルター、マルチ・エフェクターの最新事情、エフェクト・ボードを組む際の注意点など、ベーシストにとってのエフェクターを大検証しています。

そのほか、23年ぶりとなる新譜大教典『BLOODIEST』を発布した聖飢魔Ⅱのゼノン石川和尚の特集、テクニカルなスラップ・フレーズの作り方にフォーカスした奏法特集『スラップ・フレーズ魔改造の手順』など、さまざまな記事を掲載しています。ぜひチェックしてみてください!