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    スリーク・エリートが広げるベースの世界 vol.2 〜 Nordstrand ACINONYX feat. 後鳥亮介(indigo la End)

    • Photo:Takashi Yashima、Hiroki Obara(PLEK)
    • Translation:Tommy Morley

    後鳥亮介(indigo la End)が弾いたACINONYX

    ビザール感とモダンさが同居したACINONYXを、indigo la End のベーシストである後鳥亮介に試奏してもらった。

    Gocho’s IMPRESSION
    見た目はビザール感があるけど、音にはおもちゃ感がない。

     僕はショート・スケールのベースって、これまでちゃんと使ったことはなかったんですけど、イメージ的に、軽めの音がするのかなと思っていたら、全然そんなことはないですね。スケールも短くてボディも軽いけど、ちゃんとローが出ます。ちょっとヌメっとした、重そうな材を使っているような音というか、ロー・ミッドが充実していて、アンサンブルでもちゃんとヌケてきそう。見た目や持った感触と音の印象がけっこう違いますね。

     最初は、ネックが細くて弦間が狭いからか、ちょっとスラップはやりづらいかなと思ったんですけど、それでも、しばらく弾いていると慣れてくるし問題ないですね。タッピングを使ったコード・プレイもキレイに出てくれますし、サステインの感じもロング・スケールのベースに比べて違和感がない。何かが“足りない”という感覚はないですね。

     ピックアップはボタン・スイッチで切り替える形というのがレトロ感があっていいですよね(笑)。フロント・ピックアップ単体だと、PBっぽいというかブリッとした感じ。ローが出るんですけど、ちゃんと発音が良くて、高音までコードとかで弾いたときにもちゃんと鳴ってくれる。リア単体はちょっとコリっとした部分が出やすいんですけど、JBタイプをリアだけにしたときのような嫌味がなくて、単体でも使いやすいと思います。一般的な2ピックアップのモデルって、ヴォリュームやバランサーを使ってフロントとリアの“割合”で音色を作っていきますけど、このベースはスイッチで完全にどちらかの切り換えになるから、それぞれ単体でもしっかり使えるように設計されているんでしょうね。そして、ボタンを全部押し込んだときには、ロー・ミッドの気持ちいいところがグッと上がってくる感じがして、この音、好きです。すごくローを使うような音楽、例えばレゲエとかでも全然使えそうだし、ピックでハードロックっぽいものもいけるんじゃないかな。グッと押し出し感があるんですけど、これも嫌味がなくて、ちゃんと密度のある低音が出る。このサイズからは想像できないですね。

     プリセットのトーンは、ちょうどいい感じで段階が切り替わりますね。ハイ・カットしても音のしっかりした感じは失われないし、それこそピックアップの選択と組み合わせて、いろいろと音色が調整できると思います。

     見た目にビザール感があって、パドル・ペグも可愛いし、艶消しされたアルミっぽい質感のペグやブリッジにも味があるから、インテリアにもいいですよね(笑)。小さくて取り回しやすいから、リビングに置いておいて、ちょっとしたときに気軽に手に取って弾くのにもすごく良さそう。ただ、見た目はビザール感があるけど、生音の時点でけっこう響きがあるし、音にはおもちゃ感がないから、見た目にこだわる人とか、ほかの人とカブりたくない人にはいいですよね。見た目が好きだったら、音に関しては“ショート・スケール” っていうことはそんなに考えなくてもいいというか。もちろん、手の小さい人や初心者の人にもお薦めだと思います。僕は好きですね。

    Profile
    ごちょう・りょうすけ●1981年10月7日生まれ、北海道音更町出身。2010年に川谷絵音を中心に結成されたindigo la End に、サポートを経て2014年に加入。2021年2月発表の『夜行秘密』までに、メジャーで6 枚のアルバムなどを発表している。最新曲は、2022年3月発表の配信限定シングル「春は溶けて」。2022年11月1日(火)には日本武道館公演が控えている。
    https://indigolaend.com/

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