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井嶋啓介が斬る! マークベース最新モデル

  • Photo:Takashi Hoshino
  • Equipments Explanation:Makoto Kawabe

MB RB KILIMANJARO 5 NATURAL

高い演奏性を兼ね備えた唯一無二のサウンド・デザイン

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 リチャード・ボナ本人と何度もディスカッションを重ねて共同開発したシグネイチャー・モデル。イタリアの職人の手によりハンドメイドで製作されている。ボディはバック材が2ピースのライト・ウェイト・スワンプ・アッシュ、トップ材がフィギュアド・メイプル、ネック&指板はメイプルで、ボディ、ネックとも杢目を最大限に生かしたナチュラルな仕上げ。ボディは独創的なデザインながらもフィット感に優れ、24フレット仕様のボルトオン・ジョイントだが、低音弦側の接合面を広く取ることで剛性と鳴りを高めつつ、高音弦側の深いカッタウェイと厚みを抑えた接合面によりハイ・ポジションでの演奏性を確保している。

 ペグはゴトー製、ブリッジはヒップショット製のKICKASS 5 STRINGS、ピックアップは2基のバルトリーニ製MK5CBCと、実用的で信頼性の高いハードウェアを採用。オリジナル製のオンボード・プリアンプMB INSTRUMENT Preはオン/オフ時の音色変化が少なく楽器本来の音色を損なわない設計で、クオリティの高いマテリアルや高度な製作技術による豊かな鳴りを生かしたワイドレンジで高級感のある音色が魅力だ。

ピックアップはハムバッキングのソープバー・タイプ、バルトリーニ製MK5CBCを2基搭載。バランス感に優れたパワフルなサウンドが魅力だ。
コントロールは2ヴォリューム、1トーンのパッシヴ・セクションに、オリジナルの3バンドEQを搭載している。トーンのノブはプリアンプのバイパス・スイッチも兼ねている。
ジョイント部分は5点止めのボルトオンで固定されている。ジョイントまわりはなめらかにヒールカットが施されているため、ハイ・ポジションでの演奏性も非常に高くスムーズだ。

【Specifications】●ボディ:フィギュアド・メイプル(トップ)、スワンプ・アッシュ(バック)●ネック:メイプル●指板:メイプル●スケール:34インチ●フレット数:24●ピックアップ:バルトリーニMK5CBC×2●プリアンプ:MB INSTRUMENT Pre●コントロール:ヴォリューム×2、トーン(兼プリアンプ・バイパス・スイッチ)、トレブル、ミドル、ベース●ペグ:ゴトーRES-O-LITE●ブリッジ:ヒップショット・キックアス●カラー:ナチュラル●価格:オープンプライス(市場想定価格:610,000円前後)

▼ Ijima’s Impression

– 良い倍音だけが存在する、上品でまとまりのいい音。-

 ポーンって弾いたときの雑味が少なくて、良い倍音だけが存在する感じ。上品でまとまりのいい音です。アンサンブルでも邪魔にならない帯域が残ってくれそう。プリアンプはマークベースのオリジナルとのことですが、EQのローを増減するとピッキング位置を変えるくらいに音色が変わりますね。でも最大にしてもブーミーにならず、アタックがしっかりあるからドラムのキックとの相性がとても良さそうです。楽器自体のミドルが充実していることもあって、ドンシャリ系のEQにしても存在感を失わないし、トレブルの効き具合も好印象です。自分は普段4弦ベースを弾くことが多くて、24フレット仕様の楽器を弾くのも初めてなんですが、ネックを握ったときの違和感がまったくなくて、とても弾きやすい楽器ですね。艶があって高級感のあるサウンドなので、独奏とかでも映えそうですけど、クセはそれほど強くないのでいろんなキャラクターに染まってくれそうです。

MB GV5 Gloxy Val Black CR MP(2022年1月発売)

マークベースの概念を確かに宿す、ジャンルレスな一本

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 コスト・パフォーマンスに重点をおきながらもマークベースの哲学を貫き、高い製品クオリティを維持するGVシリーズの5弦モデル。生産はイタリア本国ではないが、同社が培った全世界規模のネットワークを駆使し、最善最良のパーツ、マテリアルを結集して組み上げ、イタリア本社での厳格なチェックを経て製品化されている。ボディ・デザインやネック・シェイプは上位機種であるJPシリーズを踏襲しており、トラディショナルなルックスはもちろん、演奏性も遜色なく仕上げられ、5弦を含む各弦の鳴りやイントネーションも均一化されている。ネック&指板はメイプル、ボディはバスウッドで、ピックアップは同社オリジナルのJタイプを2基搭載。オンボード・プリアンプは上位機種と同じ9V駆動の自社製MB INSTRUMENT Preを採用しており、楽器本来の豊かな音色を損なうことなくイコライジングでき、パッシヴ/アクティヴを切り替えても音色がほとんど変わらないよう設計されているのが特徴だ。GVシリーズは4弦、5弦仕様どちらもブラックかサーフ・グリーンの2色が選べ、豪華な特製ギグバッグが付属する。

ピックアップはシングルコイルのオリジナル製Jタイプが2基マウント。プリアンプは上位モデルと同様に、各帯域の再現性に優れアクティヴ/パッシヴの切り替えが可能なMB INSTRUMENT Preを搭載する。
指板は70年代の雰囲気を醸し出す、濃い飴色に塗装されたメイプルで、ホワイト・パールのブロック・ポジション・マークも相まって渋いルックスを演出する。
ブリッジは一般的なものよりもスリムに設計された、オリジナル製のものを搭載している。ペグも同様に同社オリジナル製のものを採用している。

【Specifications】●ボディ:バスウッド●ネック:メイプル●指板:メイプル●スケール:34インチ●フレット数:20●ピックアップ:オリジナル・カスタムJ×2●プリアンプ:MB INSTRUMENT Pre●コントロール:ヴォリューム×2、トーン(兼プリアンプ・バイパス・スイッチ)、トレブル、ミドル、ベース●ペグ:オリジナル●ブリッジ:オリジナル●カラー:モダン・ブラック・フィニッシュ●価格:オープンプライス(市場想定価格:102,850円前後)

▼ Ijima’s Impression

– 5弦のピッチ感と音の質感がすごく良い。-

 指板Rは比較的フラットでモダンな印象です。やっぱり弾いてみると演奏のノリや出てくるフレーズなんかはトラディショナルなJBタイプの感覚に近くなりますね。アクティヴEQをオン/オフすると、アクティヴのほうが若干前に出てくれるけど、音色の印象はほとんど変わらないです。EQの効きはすごくいいですね。ローは激しいけど、ミドルは最大にしても品が良くて落ち着いた“良い楽器感”が出せます。でも全部センターが一番使いやすそうな音で好きですね、落ち着きます。やっぱりパッシヴに慣れているので音色的にはニュアンスが出るほうを選んじゃいます(笑)。5弦のピッチ感と音の質感もすごくいいですね。発音がしっかりしているし、ほかの弦とのバランスもいいです。この価格帯の楽器とは思えないですね。アクティヴEQがそれほどアクティヴくさくないキャラクターでもあるし、5弦の鳴りを生かすならアクティヴで使ったほうがいいかもしれませんね。

Mark Vintage Pre

プリアンプの概念を変える真空管サウンド

 本機は、音色傾向、デザイン性ともヘッドアンプLittle Mark Vintageの流れを汲む製品で、真空管を活かした艶やかな音色を軸に、効きの良い4バンドEQやFLAT/CUT/OLDの実用的なプリセットEQにより、幅広いサウンド・メイクを可能にするペダル型プリアンプDIだ。ブースト、ドライブ(長押しで2タイプを選択可能)の各機能をフットスイッチでオン/オフでき、エフェクト・オフ時はトゥルー・バイパス(XLR、ヘッドフォン・アウトはミュート)となる。

 本機の主な信号経路は、インプットから+6dBのブースト機能を伴うバッファーを経たあとクリーン/ドライヴ・シグナルに分岐し、クリーンのみゲイン・ノブ、真空管回路、プリセットEQを経てブレンド・ノブでドライブと合流、センド/リターンを経て4バンドEQ、ヴォリューム・ノブ、アウトプットという流れ。クリップを含む各機能の状態はLEDの色と点滅で表示する。また、専用トランスを介したXLRバランスのDIアウト、ヘッドフォン・アウト、AUX入力、サンプリング・レートを44.1/48/96KHzから選択可能なデジタル・アウトなど、充実した機能を備えている。

左側面にはアウトプット端子を実装。ほかのエフェクト・ペダルやチューナーなどを接続するためのセンド/リターン端子も用意されており、使用用途の可能性が広がる。
背面左側には、各周波数帯においてピュアで豊かなサウンドを実現できるよう最適化されたDIアウトとグラウンド/リフト・スイッチを装備。付属の12VDCアダプターで駆動が可能だ。

背面右側にはマーカス・ミラーのアイディアから開発されたサンプリング・レート・スイッチ(44.1/48/96KHz)付のデジタル出力RCAとトスリンクを備える。レコーディング・ツールとしても効果的だ。

【Specifications】●コントロール:ゲイン、マスター、ドライブ、ブレンド、ミッド・ロー、ミッド・ハイ、ロー、ハイ、フラット/カット/オールド切り替え、ドライブ・スイッチ、オン/オフ・スイッチ、ブースト・スイッチ、グランド/リフト・スイッチ、サンプリング・レート・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット、センド/リターン、AUXイン、ヘッドフォン・アウト、XLRラインアウト、デジタル・アウト●電源:DC12V専用アダプター●外形寸法:193(W)×127(D)×59(H)mm●重量:840g●価格:¥71,500

▼ Ijima’s Impression

– ベースがちょうどいい帯域にいてくれて抜けてくれる。 –

 これは自分も使っていて、プリアンプとして常にかけっぱなしでエフェクト・ボードの最初に入れてます。ラインで音を作る現場が増えてきたこともあって、もっと足下でリッチな音、キャラクターのハッキリした音にしたいと思ったときにコレがハマりました。音色にマークベースらしさがあるのもいいですね。普段はプリセットEQをOLDにしてHIGHは少し上げ、LOWは少し下げって感じのセッティングですね。バンドにもよると思うんですけど、自分の場合はこうするとアンサンブルに混ざったときに自分のベースがちょうどいい帯域にいてくれて抜けてくれるんですよ。DRIVEはたまにあるソロとかちょっと前に出たいときなんかに入れますけど、軽く持ち上げる程度ですね。そこまでキャラクターを変えずに使うのが気に入っています。

Markbass Strings

弦にも込められたブランド概念と革新性

LONGEVO – STAINLESS STEEL 
.040-.120(価格:オープンプライス)
LONGEVO – NICKEL PLATED STEEL
.040-.120(価格:オープンプライス)

 一般的なニッケル弦、ステンレス弦だけでなく、豊富なバリエーションをラインナップするMarkbass Stringsがこの秋、新たに加えたシリーズがBALANCEDとLONGEVOだ。BALANCEDシリーズはイタリアの著名なセッション・ベーシスト、パオロ・コスタとの共同開発で、ニッケルの巻弦とステンレスの芯弦というハイブリッド構造により、ニッケルの温かさや深みとステンレスの明るさや豊かな倍音を融合する、これまでにない新感覚かつ意欲的な製品だ。LONGEVOシリーズは独自のナノ・テクノロジーによる化学物質不使用の素材を用いることで地球環境にもやさしく、長寿命で“エコ”なコーティング弦で、通常弦と変わらないトーンや手触りを実現している。

▼ Ijima’s Impression

– アタックがボケることはなくタイトに弾ける、良い弦ですね。-

 LONGEVOシリーズの“STAINLESS STEEL”はいい意味でコーティング弦という感じが全然しないですね。触った感じだと一般の弦とほとんど区別がつかないかも。ただ、ザラっとしていて感触的にはステンレス弦っていう感じがしますね。結構ハリはあるけど、ゲージが細いこともあってテンション感はそこまで強くなくて、手に馴染んで吸い付くような感覚がありますね。
 同じく“NICKEL PLATED STEEL”のほうは同じコーティング弦なのに触り心地はステンレスとは全然違います。“ニッケル”って感じの触り心地でザラっとした感じが少ない。テンション感はあまり変わらず、柔らかく弾けるし湿った感じのニュアンスが出しやすいです。とはいえアタックがボケることはなくタイトに弾ける、良い弦ですね。あとは耐久性ですよね。長期的にテストしてみたいです。

製品に関する問い合わせは、パール楽器テクニカルサポート(☎︎047-450-1090)まで。
https://pearl-music.co.jp/markbass/

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