GEAR
UP
村田隆行が徹底試奏! ペダル型コンプ七番勝負
- #Ampeg
- #Bass Compressor
- #Darkglass Electronics
- #EBS
- #Empress Effects
- #FENDER
- #focus
- #HYPER LUMINAL
- #Limetone Audio
- #MultiComp BlueLabel
- #OPTO COMP
- #SUMO COMP
- #SUMO STOMP
- #THE BENDS COMPRESSOR
- #村田隆行
- Equipments Explanation:Naoya Idonuma
- Photo:Takashi Yashima
イチオシのペダル型コンプレッサー
7機種の実力を徹底検証
ベーシストにとって、音のツブを揃える“コンプレッサー”は、演奏するうえで大きな助けとなるエフェクターだ。ただ、ひと言でコンプレッサーと言っても、ペダルそれぞれの持つ機能やキャラクターは多種多様。自分にはどの機種が合っているのか悩んでいるベーシストも多いのではないだろうか。
そこで今回は編集部注目のコンプレッサー・ペダル7機種を動画連動で紹介する。試奏/レビューを担当するのは、小比類巻かほる、日野皓正、高橋みなみといったアーティストのセッション・ワークをはじめ、鳴瀬喜博、IKUOとのベース・ユニット、THE CHOPPERS REVOLUTIONなど、多方面でジャンルレスなベース・プレイを展開する村田隆行だ。
なお、2021年1月19日発売のベース・マガジン2021年2月号では、本記事の内容に加えて、動画内で村田が使用した各モデルのセッティング図のほか、“コンプに関する基礎知識”も掲載しているので、あわせてチェックしてほしい。
村田隆行 × ペダル型コンプレッサー7モデル
Ampeg
OPTO COMP Analog Optical Compressor
本機は、ゆったりとしたアタックとナチュラルなコンプレッションが特徴のオプティカル・サーキットを用いたヴィンテージ・スタイルのアナログ・コンプレッサー。シンプルで扱いやすいコントロールと、スムーズなサステインが特徴だ。コンプレッション・ノブは1:1〜10:1の幅で圧縮率を、リリース・ノブは75mm/sから600mm/sの幅で圧縮時間を調整できる。コンパクトなオール金属製の筐体、原音を大切にしたトゥルー・バイパスなどの仕様は場面を問わず使いやすく、特にエフェクター・ボードに入れてライヴで使うには最適。圧縮されている長さの確認が視覚的にもわかりやすいゲイン・リダクションLEDも便利な機能だ。
【Specifications】
●コントロール:コンプレッション、リリース、アウトプット・レベル、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9V電池/アダプター●外形寸法:66(W)×114(D)×56(H)mm●重量:約300g●価格:オープンプライス(市場実勢価格:12,000円前後)
製品に関するお問い合わせ:ヤマハミュージックジャパンお客様コミュニケーションセンター ギター・ドラムご相談窓口(☎︎0570-056-808)
◎https://ampeg.jp/
Murata’s play & Impression
ちゃんとアンペグの音がする、 安心感のある一台です。
僕はアンペグのSVTアンプが好きで、それ以前にもともとアンペグのサウンドが好きなんですよ。このペダルは不思議なんですが、ちゃんとアンペグの音がするんですね。なかでもリリースを操作したときのアタマの潰れ方が独特で、弾いた瞬間に“ああ、アンペグだ”という安心感がありました。特にピックで弾いたときに、ザクザク感をゴリゴリ感に変えるような感覚がアンペグを弾いているという満足感につながっていましたね。どちらかといえば、最新の良い音というよりは、“往年の良い音”という印象です。操作性の面ではとてもシンプルなのでわかりやすく、何も迷うことがないのですが、僕はアウトプット・レベルの設定が肝かなと思いました。コンプレッションは抑えめでナチュラルにしつつも、アウトプット・レベルでグッと立ち上げてやると良いように思います。いろいろな現場に行くと自分のアンプを使えないこともあるのですが、これを持っていけばなんとかなる、そんな安心感のある一台だと思います。
Darkglass Electronics
HYPER LUMINAL
アナログ回路を最新のデジタル・テクノロジーで制御する、次世代型の一機。3種類の代表的なコンプレッサーのキャラクターをモデリングし、3つのモードが選択可能。BUSモードはSolid State LogicのBus Compressorを、FETモードは伝説的な1176コンプレッサーを、SYMモードはダークグラスのSuper Symmetryをモデルにしている。レシオは、コンプレッションの比率が設定可能。モードの設定とレシオはタッチ・センサーでコントロールできる。ブレンド、タイム、アウトプット、コンプレッションは馴染み深いノブ操作なので迷うことはないだろう。USBケーブルで PCと接続すれば、より細かなアタック/リリースも設定可能だ。
【Specifications】
●コントロール:ブレンド、タイム、アウトプット、コンプレッション、レシオ、モード、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット、USB●電源:9Vアダプター●外形寸法:75(W)×111(D)×45(H)mm●重量:250g●価格:31,000円
製品に関する問い合わせ:キョーリツコーポレーション ✉️support@kyoritsu-group.co.jp
◎https://kcmusic.jp/darkglass/
Murata’s play & Impression
余計な色づけがない、 現代的でナチュラルなコンプ
これはかなり現代的なコンプレッサーですね。本当にナチュラルで、極端な話コンプレッションやタイムを全開にしても、ブリブリな感じにはなりません。僕が感じているダークグラスらしさって、例えば歪みでも音の芯はしっかりとクリアに残っているような印象なんですが、このコンプにも同じように、音の芯の部分にクリアさが残るような感覚がブレンドの設定は別にしてもあって、同じダークグラスの歪みとこのコンプを組み合わせてもおもしろいのかなと感じました。宅録で波形をキレイに整えたいという人にも良さそうです。あとは、モードによってかなり音が変わるのがおもしろいですね。特にBUSモードは、余計な色をつけていないんだけど、色をつけていないからこそのニュアンスが、いかにもダークグラスらしい感じです。FETモードはその対極ですね。タッチ・センサー式でノブがないので見落としてしまう人もいるかもしれませんが、試奏するときにはぜひ3つのモードを試してみてください。
EBS
MultiComp BlueLabel
定番にして人気のEBSマルチコンプが進化したニュー・モデル。先代機種“Studio Edition”で好評だった基本性能はそのままに、Sens.(Threshold)コントロールが追加され、コンプレッションの効き具合をより細やかにセッティングすることが可能になった。電源電圧は9Vから18Vまで使用可能で、18Vではヘッド・ルームにさらなる余裕を生み、よりクリアなサウンドが得られる。先代で好評だったモードを選べる機能(一般的なコンプ“NORMAL”のほか、高/低音域に分割してコンプレションがかかるマルチ・バンド“MB”、真空管式コンプを再現した“TUBESIM”)、アクティヴとパッシヴの切り替え機能は引き継がれている。
【Specifications】
●コントロール:コンプ、センス、ゲイン、モード・スイッチ、アクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9V電池/アダプター●外形寸法:67(W)×115(D)×48(H)mm●重量:315g●価格:23,000円
製品に関する問い合わせ:モリダイラ楽器(☎︎03-3862-5041)
◎http://moridaira.jp/ebs
Murata’s play & Impression
スラップのギラッとした部分を潰さず残してくれます。
これは好きですね! 実はずいぶん前にEBSを弾いたときはかなりバッコンと深くかかる印象で、鋭い音が好きだった僕にはちょっと合わないかもしれないと思ったことがあったのですが、マイナー・チェンジしたこの機種を今弾いてみると全然そんなことはないです。ベースのギラッとする部分、特にスラップでギラッとする部分を、普通のコンプは潰してしまうんですが、これはちゃんと残してくれています。僕がこれを使うとしたら、ベース・ソロでスラップをするときにかけて、ベースの上の部分に、オーバードライブやディストーションとも違うコンプの歪みを足すようなイメージですね。それにしても、このペダルは2000年前後に機材がぐっと進化した頃の音がします。それは良いとか悪いとかではなく、コンプにも時代の音があるということです。その時代の音が欲しい人はこのモデルをお薦めしたいですね。それとEBSはちょっと苦手と思っている人こそ、ぜひこのモデルでリトライしてみてください!
Empress Effects
Bass Compressor
スタジオ・クオリティで人気のEmpress Effectsのコンプが、さらなる進化を遂げた。本機は低域の周波数帯へのレスポンスを拡大したベース用モデル。前モデル同様、通常はハイエンドなスタジオ機器でしか見られないコントロールを搭載して微細な設定を可能にし、プロフェッショナルなサウンド・メイクを実現する。入力により特定の帯域へのコンプレッションを個別にコントロールできるサイド・チェイン端子を搭載し、20Hz〜400Hzの間をノブで自在に設定が可能なサイド・チェイン・ハイパス・フィルターは、飛び出る高域を整えつつ、低域を完全に潰しすぎない。“トーン+カラー”スイッチは、低域をわずかにブーストするスクープと2kHzを中心としたミッド・ブーストを選択できる。
【Specifications】
●コントロール:インプット、アタック、ミックス、アウトプット、リリース、サイド・チェイン・フィルター、レシオ・スイッチ、トーン+カラー・スイッチ、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット、サイド・チェイン●電源:9Vアダプター●外形寸法:66(W)×122(D)×64(H)mm●重量:454g●価格:30,000円
製品に関する問い合わせ:アンブレラカンパニー(☎︎042-519-6855)
◎https://umbrella-company.jp
Murata’s play & Impression
ずっと弾いていられる、スタジオ・クオリティの上質モデル
これはまさに“スタジオ・クオリティ”ですね。ラックのコンプの音がコンパクト・サイズに詰まっています。もうこのノブの並び方がプラグイン・ソフトの配列のようで、見るからに良い音がしそうですよね。どこをどういじってもナチュラルな音ですし、オフにしたときの音も原音とほぼ変わらない。本当に上質なモデルですね。僕はスタジオ機器のラック型コンプレッサーの名機“dbx160シリーズ”の音が好きなんですが、これはそれに近いですよ。高音部の伸びが良くて、例えばダブル・ストップで一瞬コードを入れるようなプレイをするときも、きらびやかなまま和音の構成がわかるように音を整えてくれるので、気持ちが良くてずっと弾いていられます。操作性に関しては、インプットとアウトプットの設定はピッキングやベース本体のパワーによって変わってくると思うんですが、あとはミックスを全開にしても上質なままですし、どうやっても低域が失われないので、本当に使いやすいペダルだと思います。
Fender
THE BENDS COMPRESSOR
楽器本来のトーンに干渉することなく音量レベルのばらつきを整える、スタジオ・クオリティのフット・ペダル。本機にはフェンダー独自の回路方式である、内部デュアル・オーディオ・パス設計と高電圧シメトリカル・コントロール・パスが採用されている。またドライ音をシグナルにミックスすることで、演奏のナチュラルなダイナミクスを付加することが可能なブレンド・コントロールを搭載。コンプレッションのかかり具合を調整する“ドライブ”、リリース・タイムを調整する“リカバリー”はシンプルな操作で、最適なコンプレッションとサステインのコントロールが可能だ。筐体はツアーなど過酷な使用環境にも耐えるアルマイト製で、LEDバック・ライトを搭載したノブは、ステージ上でも抜群の視認性を誇る。
【Specifications】
●コントロール:ドライブ、リカバリー、ブレンド、レベル、LEDスイッチ、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9V電池/アダプター●外形寸法:80(W)×127(D)× 62(H)mm●重量:約470g●価格:16,500円
製品に関する問い合わせ:フェンダーミュージック(☎︎0120-1946-60)
◎http://www.fender.co.jp
Murata’s play & Impression
ドライブが好感触! どこにでも持っていきたい一機
これは、さすがフェンダーのペダルだなと思いました。僕は今回、ベースでこれを弾きましたが、たぶんギター用としても使われているものですよね? フェンダーのストラトキャスターやテレキャスターでアルペジオやコードを弾いたときのあの感じがするんですよ。それでいてベースで使っても低域が損なわれることがないんです。今回はドライブのツマミを深めにして、コンプ感を強くしてみたのですが、すごくいい感じでしたよ。オーバードライブではなく、コンプで潰して倍音も出す、サチュレーションが増すような感覚ですね。これは、ブルースを弾くとよく合うのではないでしょうか。高域のきらびやかさも高級スタジオ機器というよりは、フェンダーらしいまとめ具合というイメージで、好感を持ちました。コンパクトだし、シンプルですから、どこにでも持ち出してギターにもベースにも使うといいと思いますよ。今のフェンダーのコンパクト・エフェクターの優秀さがよくわかる一台でした。
Limetone Audio
focus(alumite color)
近年、大きな注目を集めるLimetone Audioの人気モデル。ソフト・コンプレッションからハード・コンプレッションまで幅広く対応し、特に演奏のニュアンスを損なわないソフト・コンプレッションを得意としている。コントロールは、コンプレッション、レベル、ゲイン、トレブル、ベースの5つで、スレッショルドやレシオ、アタック・タイム、リリース・タイムといった概念を取り払い、コンプレッション設定〜レベル調整〜音色補正という3ステップで直感的な音作りが可能だ。原音に近いナチュラルなサウンドから温かみのあるブースト・サウンドまで、コンプにありがちな“引っ込んでしまう感覚”なしに出力できる。
【Specifications】
●コントロール:コンプレッション、ベース、トレブル、レベル、ゲイン、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9Vアダプター●外形寸法:119(W)×98(D)× 62(H)mm●重量:約370g●価格:33,000円
製品に関する問い合わせ:Limetone Audio(✉️limetoneaudio@gmail.com)
◎https://limetoneaudio.com/
Murata’s play & Impression
高速プレイの粒を揃える、 テクニシャン向けモデル
これは僕がやっているグループ“THE CHOPPERS REVOLUTION”で僕の左にいてくれる、先輩ベーシストのIKUOさんがメインで使ってるコンプですね。それもあって僕自身も気になっていたんですよ。実際に使ってみると、まさに最新型のコンプ・サウンドという感じで、現代の幅広い音楽にマッチするであろう万能なモデルだと思いました。今回僕はコンプレッションを強めにかけたのですが、それでも音のアタマが潰れずにしっかりと残ってくれるのがいいですね。セッティングのコツとしては、レベルとゲインがそれぞれでちょっとキャラクターが違う歪み方をするので、その関係性をつかんで、そこにコンプレッションをどこまで足すか。それによって場面を問わず力を発揮してくれるのではないでしょうか。“バッコーン”とした感じではなく、高速プレイでも的確に音の粒を揃えてくれるコンプレッションなので、テクニカルなプレイを披露する人には特に持ってこいのコンプだと思いますよ。
SUMO STOMP by Inner Bamboo
SUMO COMP
国内で良質なハンドメイド製品を作るInner Bamboo electronの新ブランド“SUMO STOMP”のコンプレッサー。本機は、同ブランドの人気モデルU-IIの良いところを受け継ぎつつ、コンパクトなサイズを実現している。U-II特有のコントロールSCEQ(サイド・チェイン・ハイパス・フィルターの通過周波数を決めるコントロール)を、4/5の2種類の切り替えスイッチに変更し、コントロールはシンプルになっているが、心地よいアタックや嫌味にならない圧縮具合など、高品位なサウンドはU-II直系のもの。その自然なコンプレッションは、コンプレッサー嫌いのベーシストにも試してもらいたい極上サウンドだ。
【Specifications】
●コントロール:スレッショルド、レシオ、レベル、アタック、リリース、サイド・チェインEQ切り替えスイッチ、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9Vアダプター、5Vモバイル・バッテリー駆動対応●外形寸法:68(W)×112(D)×47(H)mm●重量:約250g●価格:35,800円
製品に関する問い合わせ:Inner Bamboo Electron(☎︎090-8490-7473)
◎https://sumostomp.thebase.in/
Murata’s play & Impression
絶妙なチューニングで楽しく弾ける、 欲しくなる一台
これ、いいですね。欲しいです(笑)。スラップのソロとかで、負けたくない場面に使いたいですね(笑)。このモデルは、低域の押し上げ方がコンプというよりプリアンプっぽいんですよ。“SUMO STOMP”っていうのはそういうことなんですかね? ブッ込むというよりは、ぐいっと持ち上げてくれる感覚があります。それがすごくナチュラルなんですけど、でも“コンプかけました”というのが弾き手にはっきりわかる絶妙なチューニングですし、加えてゴージャスな感じも伝わってきます。良くないコンプだと下を持ち上げたことによって輪郭がわからなくなってしまうんですけど、これはもちろんそんなことはありません。上も艶やかにしてくれるので、弾いていて楽しいですね。“コンプも進化している”ということが実感できました。下がしっかり持ち上がってくれるので、実は演奏動画のピック弾きのときにフロントを絞っているんですが、それでも低域が損なわれていないので、そこが伝わったら嬉しいです。
▼ 続きは次ページへ ▼