GEAR
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くるり 佐藤征史を支える最新ステージ・ギア——5弦ベースからアンプ、エフェクター、クリック・システムまでを本人が語る
- 取材:辻本秀太郎(ベース・マガジンWEB)
- 機材撮影:星野俊
2026年2月11日、15枚目となるオリジナル・アルバム『儚くも美しき12の変奏』をリリースしたくるり。2025年末から2026年1月にかけて開催されたツアーは、1月31日のZepp Haneda公演をもってファイナルを迎えた。
本作でベーシストの佐藤征史は、近年のジャズ・ベース中心のアプローチに加え、プレシジョン・ベースを積極的に導入。ツアーでもプレシジョン・ベースを軸としたセッティングでステージに臨んだ。
本記事では、ツアー最終日のZepp Haneda公演(2026年1月31日)で撮影されたステージ・ギア——フェンダー製5弦ベース、コントラバス、ベース・アンプ、DI、エフェクター・ボードなどを本人の解説とともに紹介する。
↓3本のプレシジョン・ベースについてはこちら↓
Masashi Sato’s Gear
Fender / Roscoe Beck V Bass
岸田繁からプレゼントされたロスコー・ベック・シグネチャー・モデル
本公演で「C’est la vie」に使用された5弦ベースは、ロベン・フォードやエリック・ジョンソンのサポートなどで知られるベーシスト、ロスコー・ベックのシグネイチャー・モデル。入手の経緯については“30歳あたりの誕生日に岸田氏からプレゼントでいただきました。ちなみにお返しはスタインバーガーのギターです”と語る。
気に入っているポイントについては“パッシヴだけど腰の座った音が出るところ。あと、見た目がヤンキーチックじゃないところです”とのこと。
本器はシリーズ/パラレル/コイルタップの切り替えが可能な仕様だが、ライヴでの設定については“ピックアップ・セレクターは中央(ネック+ブリッジ)。ジャック付近にあるふたつのミニスイッチは両方とも一番奥に倒しています(シリーズ接続)。レコーディングではその都度変えています”と教えてくれた。
Contrabass
『儚くも美しき12の変奏』から導入されたコントラバス
『儚くも美しき12の変奏』から導入された新しいコントラバスが、本ツアーでも「グッドモーニング」「瀬戸の内」で活躍。製作年については、“近年のドイツの職人メイドということだけ聞いた記憶があります”とのこと。
ライヴでのピックアップ・システムについては、“今は4弦側につけているリアリストのみを使っています。過去にも使ったことはあったのですが、いろいろ経て帰ってきました。胴鳴りだけじゃなくて弦鳴りも必要かなと思うのですが、前回からのツアーではそこまで必要を感じなかったので、またこの先ゆっくり考えていくつもりです。システムはもうPA直送りです”と語る。
また、ライヴではfホールはテープで塞いでいるという。“ホールツアーでは気にならなかったのですが、やはりライヴハウスツアーになるとドラムが近かったり、fホールからメイン・ヴォーカルをけっこう拾ってしまったり、会場ごとにハウり気味になる音程があるので、fホールは塞いでいます。背中の面にも養生テープのようなものを貼って、少しミュート気味にしています。今回はイヤモニでアンプを鳴らしていないのでわりと大丈夫ですが、アンプを鳴らすと大変なので嫌ですね”。
Amplifier & DI



アギュラー製アンプ・セットとDIについて
ライヴ用のアンプ・ヘッドは、メインにAguilarのDB750を使用。ラック上段にはサブ機としてAG500が組まれているが、これは万一のトラブルに備えたバックアップで、“この10年使ったことはありません。心配性なテックチームに支えられています”とのこと。キャビネットは10インチのスピーカーを4基搭載したDB410を組み合わせている。
アンプの基本セッティングは、ベース/ミドル/トレブルをいずれもほぼ中央に設定し、会場に応じて低域を足し引きする程度。ゲインはやや高めに設定し、ややブーミーな質感を作っているという。ただし、現在のシステムはライン主体で音作りを行なっており、“表メインもイヤモニのなかもラインの音を出しているだけなので、ステージでは生音の大きさを調整するくらいです”と語る。
ラック上にはDemeterのTube Direct(VTDB-2B)やRadialのJ48といったDIも確認できるが、ライヴではPA側が用意するDIを使用しているとのこと。“レコーディングではここ数年はモータウンDIを持っていきますが、ライヴに関してはラインのみの音作りということで、PAさんが用意するものを使います。PAさんが使いやすいもの、音をイメージしやすいもので、お任せしております”と明かしてくれた。
なおライヴではアンペグ製B-15をメインで使用している。
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Pedalboard & Mixer

「極力アンプ直でいきたい、という考え方の表れです」
足下のシステムにはZOOMのマルチ・エフェクターB3nを使用。約10年前、アルバム再現ツアー“NOW & THEN”で逆回転エフェクトが必要になったことをきっかけに導入したという。当時から機種は更新されているものの、現在もZOOM製を継続して使用しており、“今回はビッグマフのような歪みを2曲で使いました”とのこと。
その隣にはFREE THE TONE製のループ・ボックスを2台配置。“やはり常にループをオンにしていると音が痩せちゃうので、使うときだけこちらでループをオン/オフできるのが一番のメリット”と語る。“安心と信頼のFREE THE TONEさんにこんなシンプルなものを作っていただくのも忍びないのですが、極力アンプ直でいきたい、という考え方の表れです”とのコメントからも、シンプルな信号経路を重視したセッティングであることがうかがえる。
また本公演では「ばらの花」でピック弾きを披露。“昨年あたりから数曲、ピックでレコーディングしたものはピックで弾くようになりました”。使用しているのはナイロン製のHERCO FLEX75で、“指弾きに近い音が出るので、基本ナイロンしか使わないです”と教えてくれた。

「テンポが変わる曲以外はほぼクリックを聴いています」
足下にはイヤモニ用のミキサーも設置。ライヴではクリックも聴いており、“今回は同期が出ている曲も多かったのですが、映像と楽曲をリンクさせていたので、テンポが変わる曲以外はほぼクリックを聴いています”とのこと。ツアー中は公演間隔が空くことでメンバー間のテンポ感覚にズレが生じることもあるため、“そんなときには安心です”と語る。
イヤモニ内のバランスについては、“何かを特別大きくしているということはありません。一番ダメなのは音楽的に聴こえないことなので、お客さんが聴いている環境に近いバランスがベストだと思います。歌わない人なら極端なセッティングも可能かとは思いますが、全員の音が気持ちよく聴けるのがやっぱり一番いいと思います”とコメント。クリックについては“一番盛り上がる場面で聞こえなくなるくらいの音量”に設定しているというが、“歌っている時はまったく意識していないので、ドラマーさん任せですね”と明かしてくれた。
【Setlist】
くるりツアー 25/26 ~夢のさいはて~
2026年1月31日(土)東京・Zepp Haneda (TOKYO)
【Setlist】
01. グッドモーニング
02. ロックンロール・ハネムーン
03. 琥珀色の街、上海蟹の朝
04. Regulus
05. ワンダーフォーゲル
06. C’est la vie
07. ハローグッバイ
08. ばらの花
09. BIRTHDAY
10. 金星
11. 渚
12. 瀬戸の内
13. はたらくだれかのように
14. In Your Life
15. お化けのピーナッツ
16. Amamoyo
17. oh my baby
18. I Love You
19. 冬の亡霊
20. ミレニアム
21. さよならリグレット
22. ワンダリング
23. Tonight Is The Night
-Encore-
01. Morning Paper
02. ブレーメン
03. 潮風のアリア
Profile
佐藤征史(さとう・まさし)●2月1日生まれ、京都府出身。高校に入学してからベースを弾き始める。その頃に岸田繁(vo,g)と出会い、くるりの前身バンドを結成。その後、立命館大学の音楽サークルでくるりとしての活動をスタートする。1998年にシングル「東京」でメジャー・デビュー。ロックを基盤に実験的な試みで新たなサウンドを模索し高い評価を得ている。2026年2月11日に15作目となるオリジナル・アルバム『儚くも美しき12の変奏』をリリース。
Information
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