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    FEATURED BASSIST-あきらかにあきら[THE ORAL CIGARETTES]-前篇

    • Interview:Takahisa Kondoh
    • Photo:Satoshi Hata(P.2)

    新たな道を切り拓くベーシストの視点:前篇

    4月に5thアルバム『SUCK MY WORLD』をリリースしたTHE ORAL CIGARETTES。壮大なスケールで表現された本作の楽曲からは、彼らが見据えている未来の景色がとてつもなく広大であることを想像させる。ここでは、ひとりのベーシストとして胸に秘めている、あきらかにあきらの野望について聞いた。

    Interview

    僕らが抗って、もがいてる姿も、
    誰かに勇気を与えたりする。

    ──去る4月29日に5thアルバム『SUCK MY WORLD』がリリースされましたが、今はどんな生活を送っていますか?

     リリースから時間が経っているので、次の展開を考えているモードですね。そのために日々勉強です。あとは、ウッド・ベースを借りて練習していましたね。そして、まだ形にできるかわからないんですけど、個人的に構想していることがあって。昨年、ベース・マガジンとベース・セミナーをやったじゃないですか(昨年11月4日に開催されたトーク&奏法セミナー“BASS MAGAZINE Presents ベースの学校〜THE BASS LINES〜”のこと)。あのセミナーはリアル・イベントだったので、遠方の人は来れなかったりして。そんななか、この時代だからこそできることがあるんじゃないかっていうことを考えています。結局、自宅にいながらも、いろんなことを考えて楽しんでいますね。

    ──そのベース・セミナー、やってみていかがでしたか?

     単に音楽理論っていう意味じゃなくて、もともと、言語化できるような自分なりの理論に基づいて取り組んでいたんだなっていうことに気づいたんですよね。ノリでやっているだけではなくて、ちゃんと自分の理論でやっていたからこそ、セミナーのような機会で言語化するときも、それを忠実に伝えたら理解してくれるだろうなっていう確信があったんです。それが改めて確認できたし、とてもいい経験になりました。

    ──新型コロナウィルスの影響で社会のあり方が変わりつつある今の時代、ほかのアーティストたちがCDの発売延期を発表したり、イベントやライヴの中止が相次いでいますよね。そんななかで『SUCK MY WORLD』をリリースするにあたっては、いろんな議論があったのではないかと想像しているのですが……。

    左から、あきらかにあきら、中西雅哉(d)、山中拓也(vo,g)、鈴木重伸(g)。
    『SUCK MY WORLD』
    A-Sketch
    AZCS-1090(通常盤)
    AZZS-104(初回盤A/CD+DVD)
    AZZS-105(初回盤B/CD+Blu-ray Disc)

     そうですね。例えばCDの発売を延期したり、何かの中止を決断するにも、それぞれの理由があるっていうことは理解していて。その前提で、“僕らはこれまでファンとどう向き合ってきたのか?”とか“僕らの考える音楽とは?”とか、そういった目線で、スタッフを含めた僕らのチームの間でずっと話し合っていたんです。加えて、“こんな時期に、買い物を促すような見え方になるんじゃないか?”とか、そういったふうに思われる不安というか、ネガティブな視点もあるだろうなとは想定していたんですけど、そこは丁寧にオンラインなどで説明することで回避できるよねっていうことも話しました。そのうえで、僕らのスタッフのなかで“いや、今だからこそやっぱり出すべきだ”という意見があって。メンバーの声がファンの方々に届くきっかけになるし、待ってくれているとも思っていましたしね。何より、5月に行なう予定だった、さいたまスーパーアリーナの“JAPAN ARENA TOUR 2020 「SUCK MY WORLD」”はなくなってしまったんですけど、当時はやれるならやりたかったし、それを開催するにあたって、アルバム作品を絶対に出しておきたかった。そもそも、“今延期するなら、一体いつなら出せるんだろう?”って思ったし、音源を出さないままライヴをすることになるのも変ですし、何かを諦めているようには見せたくない。僕らが抗って、もがいてる姿も、誰かに勇気を与えたりするのかなって思ったんです。今話したことは、あくまで僕個人の意見も含まれていますけど……そういったチームの意向に僕自身も賛成したし、結果、リリースして本当に良かったと思っています。みんなが喜んでくれたし、この取材の段階ではまだ手元に届いてない方もいると思うんですけど、その人たちに対しては、こういうご時世だけど、いつか手に取ってもらって、長い目で見て聴いてもらいたいなって思えるアルバムなので。

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