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    第32回 – ライヴ当日の流れを詳細解説!【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】

    • Text:Makoto Kawabe

    この連載では、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。今回のテーマは、“ライヴ当日の流れ”です!

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    はじめに

    前回はステージで役立つアイテムを紹介しましたが、ひととおり必要なアイテムを揃えて、いざステージに立ったならベーシストがやることはひとつ! 練習の成果を発揮すべく自信をもってベースを演奏するだけ!

    ……とはいえ、本番当日に会場に到着してからステージで演奏するまでの過程でどう振舞うべきか、初めての人にとっては戸惑うことも多いはず。

    そこで今回はライヴハウスなどで開催される対バン形式のイベントの一般的なタイム・テーブルを例に挙げ、それぞれの時間軸で何が行われ、ベーシストはどう振舞うべきなのかを細か〜く紹介していきます。ステージや舞台特有の専門用語もちょいちょい紹介するよ。

    対バン形式とタイム・テーブル

    ひとつのバンドが出演する“ワンマン・イベント”に対して、“対バン・イベント”は、いくつかのバンドがあらかじめ与えられた時間内(持ち時間)で入れ替わり演奏する形式のイベントです。

    例えばひとつのバンドが持ち時間を大幅にオーバーして演奏すれば、ほかのバンドの演奏時間が削られるなど、出演者だけでなくスタッフやオーディエンスにも多大な迷惑がかかります。対バン形式のライヴに限らず、イベント全般において“時間の管理”はとても重要なのです。

    本番の演奏時間だけでなく、イベント当日のスケジュールを記したものを“タイム・テーブル”といいます。タイム・テーブルはイベントの主催者や運営サイドが作成するのが一般的で、演奏当日の出演者はまずタイム・テーブルに沿って行動するのが大原則です。

    タイムテーブルの一例

    入り時間

    各バンドのメンバーが会場内に集合すべき時間です。リハーサルの数十分前に設定されていることもあれば、全バンド一律で同じ時間に設定されていることもあります。

    当然のことですが遅刻は許されません。大抵のライヴハウスは楽器や使用機材とともに客席フロアが集合場所になるはずです。大型の機材などがある場合は搬入経路を事前に確認しておくか、現地のスタッフに聞きましょう。

    挨拶をしよう!

    ライヴハウスに限らず、人としてのマナーですが、挨拶や礼儀はとても重要です。ライヴ・イベントは自分ひとりだけでは成立しませんし、現地のスタッフや共演するバンド・メンバーなどと一緒に作り上げる共同作業です。

    一日行動を共にする仲間ですから、会場に入ったら元気よく“おはようございます!”と声を出すところから始めましょう。定番の業界用語ですが、会場入りして最初の挨拶は午後でも夜でも時間帯を問わず“おはようございます!”です。

    現地のスタッフや初対面の共演者にはタイミングを見て、“「バンド名」のベースの○○です。今日はよろしくお願いします!”と挨拶に回りましょう。楽器を持っていれば薄々演奏者だとわかってもらえるかもしれないですが、先に名乗り出たほうが何かと振舞いやすくなりますし、何かあったときにもサポートしてもらいやすいはずです。

    挨拶がすべてではないですが、挨拶しないバンドやメンバーが良い印象を持たれることはまずありませんし、お互いが気持ちよく作業するためにも挨拶は不可欠です。

    リハーサルについて

    会場でのリハーサルはステージ上で本番と同じように楽器をセッティングし、本番で演奏する楽曲を実際に演奏して、楽器の音色や各楽器間の音量バランスなどを演奏者だけでなく音響、照明、舞台監督などのスタッフとともに確認する作業です。“演奏練習”のためのリハーサルではないことを肝に銘じておきましょう(笑)。

    各バンドのリハーサルを本番の出演順に行うことを“順リハ”、出演順とは逆にトリ(最後)の出演者から行うことを“逆リハ”と言います。前述の“タイムテーブルの一例”は逆リハですね。

    順リハは、各バンドのリハから本番までの待ち時間が均等になる反面、各バンドの機材が入り乱れてステージの“転換(ステージ上の機材の位置などを入れ替えること。セット・チェンジ)”がしにくくなる傾向があります。

    逆リハは、本番で1番最初の出演者のリハーサルが最後になるため転換が省け、その後のステージ上の転換も(出番が終わったバンドから機材が片付けられるため)スムーズになる傾向がありますが、出演順が後半のバンドほど待ち時間が長くなるのがデメリットです。

    イベントによっては出演順が2番目の出演者から順リハで進めつつ、アタマ(出演順が最初)のバンドのリハーサルを最後にして開演時の転換だけを省くパターンも多々あります。

    セット図について

    バンドの楽器編成や使用する楽器、ステージ上での各メンバーの立ち位置や機材の配置などを詳細に記した図面を“セット図(セッティング図、ステージ・プロット)”といいます。リハーサルが始まるまでに会場側に提出しますが、できれば事前にメールなどで送付しておきましょう。

    リハーサルの時間が来たら、前のバンドの片付けの邪魔にならないように配慮しつつ、セット図の通りにステージに機材をセッティングします。マイク・スタンドやベース・アンプなど会場のレンタル機材はステージ・スタッフが配置してくれますが、状況を見ながら手伝うなり必要な機材を出してもらうよう頼むなりしましょう。

    セット図の一例

    ベース・アンプやDIへの接続

    ライヴハウスをはじめ、PAシステムが整った会場ではベースの音は“DI(ダイレクト・ボックス)”を介して収音しPAに送るのが一般的です。ベーシストの多くはベース本体とシールド、必要に応じてエフェクターなどを持ち込むかと思いますが、DIがある場合は最終的なベースの出力をベース・アンプに直接接続するのではなくDIに接続し、DIのスルー出力をベース・アンプに接続します。

    DIにケーブルを抜き差しするときは必ずPAエンジニアにひと声かけて確認しましょう。ベース・アンプから音が出ない状態でもPAから音が出る状態でDIへのケーブルを抜き差しすると大音量でバリバリといったノイズが発生し、最悪の場合PAスピーカーを痛めてしまうからです。

    DIがある場合のセッティング

    ベースの音出し

    ベースやエフェクターの接続を終えてベース・アンプから音が出せる状態になったら、一旦周囲の状況を確認して“ベースの音出しまーす”とひと声かけてから音を出しましょう。ベースが大音量で音を出しているとセッティング中のスタッフの会話が遮断されたり、作業が中断してしまったりするからです。

    音が出せる状況になったら、ドラムをはじめ、ほかの楽器とのバランスが最適と思われる音量にセットし、ベース・アンプのEQなどで音色を調整し、必要に応じて各エフェクターの効果を“なるだけ手早く迅速に”確認します。ベース・アンプの基本的な使い方に関しては、当連載の第8回「ベース・アンプの使い方」で解説していますので参考にしてください。

    ライヴハウスに置いてあるベース・アンプの機種はネットで検索すれば必ず情報が載っていますので、音色調整を迅速に進めるためにも会場で利用するベース・アンプの機種とその使い方を事前に把握しておきましょう。

    とはいえ、音の聴こえ方やベース・アンプの鳴り方は会場の大きさやスピーカー・キャビネットのコンディションなどによって変化するものなので、たとえベース・アンプがリハーサル・スタジオなどで使い慣れた機種だとしても、ノブをいつも通りの位置に設定するだけでなく、必ず実際の音を聴きながら、耳を使って音色調整を施しましょう。

    ひととおりのチェックが終わったら音を出すのをやめてスタッフやほかのメンバーの準備が整うのを待ちましょう。ここでダラダラとベースを弾いていると作業の邪魔になって迷惑ですし、対バンのメンバーに見せつけるような演奏を披露するのも(ウマい、ヘタを抜きにしても)かなりカッコ悪いのでやめましょう。

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    音色チェック(サウンドチェック)

    準備が整うとPAエンジニアさんによる各楽器の音色チェックが始まります。バンド系であればドラム→ベース→ギター→キーボード→ヴォーカルといった順序で行うのが通例です。

    ほかの楽器がチェックしている間は音を出さずに待ちましょう。“ではベースさん、音ください”などと言われたら、最も基本となる音色で、本番と同じピッキングの強さで適当なフレーズを弾きます。PAエンジニアさんがチェックしやすいように低い音域から高い音域まで満遍なく使って弾くのが望ましいですが、実際に本番で使わない音域や奏法は弾いても意味がありません。本番で演奏する楽曲のベース・ラインを弾くのも良いでしょう。

    PAエンジニアさんは音色と音量をチェックし、しかるべき調整を施しつつメイン・スピーカーからベースの音を出すでしょう。基本の音色チェックと設定が終わると“ほかの音色があればください”などと言われるので、“スラップで弾きまーす”とか“歪みの音色でーす”などと言いつつ、奏法やエフェクトを変えて異なる音色で適当なフレーズを弾きましょう。PAエンジニアさんはベーシストの音色バリエーションを把握しつつ、あまりに音量差や不都合があるようなら指摘してくれるはずなので、改善できるようにエフェクトなどを微調整しましょう。

    “何曲目の〇〇の後半にベース・ソロがあるのでそこだけ音量を上げてほしい”などといった、楽曲ごとや音色ごとの個別の要望は当日スタッフに提出する“セットリスト(当日演奏する楽曲の曲順やMCの位置などを記入したもの)”に書き込みつつ、必要に応じてベースの音色のチェック時に口頭で伝えるのも良いでしょう。

    ちなみに、客席から見てステージの右側を“上手(かみて)”、左側を“下手(しもて)”と言います。ギターがふたりいる場合などは“上手のギターさん”などと言われるので覚えておきましょう。なぜかベースは下手側にセッティングすることが多いですね(笑)。上手側にベースをセッティングするのはNGではないですが、特に理由がないならば転換が面倒になるだけですし、ステージ・スタッフからは煙たがられるのでやめておきましょう。

    バンド全員での音出し

    各楽器の音色チェックが終わるとPAエンジニアさんから“曲でお願いしまーす”などと言われるので、セットリストの中からバンド全員で演奏します。リハーサルで最初に演奏する楽曲はバンド・メンバーであらかじめ決めておくと良いでしょう。各楽器が満遍なく参加していて音量バランスがとりやすい楽曲が良いかと思います。“何曲目の○○を頭からやりまーす”などと宣言して楽曲を演奏します。バンド・メンバーとPAエンジニアさんが音量バランスを確認できれば良いので、演奏は楽曲の途中から始めても途中で止めても構いません。

    演奏を止めたらバンド・メンバーからPAエンジニアさんへモニターの音量や音色などのリクエストをひとりづつ伝えます。本番で気持ちよく演奏するためにもここがリハーサルで一番重要な時間です。

    小さめのリハーサル・スタジオではバンド・メンバーが向き合って演奏するのに対してライヴハウスなどの大きなステージではほぼ一列に並んで演奏するわけで、ステージの逆サイドに位置するギター・アンプの音などは(会場の大きさやステージの間口(幅)にもよりますが)聴こえづらくなる傾向がありますし、全体の音量も異なるのでリハーサル・スタジオとライヴハウスでは音の聴こえ方がまるっきり異なります。

    演奏環境はおもに聴こえづらい楽器の音を足下のモニター・スピーカー(“ウェッジ・スピーカー”、“転がし”などとも言う)やステージ・サイドのモニター・スピーカー(“横当て”とも言う)から返してもらうことで改善していくわけですが、聴こえない音をただ上げていくだけでは飽和してより聴こえにくくなるだけですし、モニターに頼りすぎるのは禁物です。

    あくまでケースバイケースですが、立ち位置を修正するだけで改善することもありますし、大きすぎる音を下げることで改善することも多々あります。持ち時間の制約もありますし、アンサンブル全体をバランスよく聴ける環境を諦め、演奏を維持するのに最低限必要な楽器の音(ベーシストであればドラムのスネアやハイハットなど)が聴ける環境を作るほうが得策な場合もあるでしょう。

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    ベースの音が聴こえにくい場合は?

    ベース自体の音が聴こえにくい場合はベース・アンプの音量を上げるかモニターで返してもらうことで対処しがちですが、筆者の体感としてはベーシスト自身のピッキングや音作りに問題があることのほうが多い気がします。

    ベース・アンプのEQなどでモワモワする帯域を下げ、フレーズが見えやすい帯域を上げましょう。いつもベースの音が聴こえづらいという人は自身のピッキングや音作りの方向性を根本的に見直しましょう(笑)。

    ちなみに“ライヴハウスでのベース・アンプはベーシストのモニター的役割でしかなく客席に届くベースの音はPAエンジニアが作っている”という説がありますが、これもケースバイケースだと思います。

    狭いライヴハウスではPAシステムからベースの音を出さずにベース・アンプの音だけで成り立っていることもあります。いずれにしてもステージ上のベース・アンプはモニタリングしやすい音色だけでなく、客席のオーディエンスに聴かせたい音色も意識してセッティングするべきでしょう。

    音が響きやすい環境を“ライヴ”、音が響きにくい環境を“デッド”と言います。デッドな環境では分離が良く各楽器の音色が聴こえやすい反面、音が小さく迫力に欠けるように聴こえがちです。ライヴハウスなどはリハーサル時の客席は人がまばらで比較的“ライヴ”な傾向ですが、人がたくさん入ると音が吸われ(吸音され)て“デッド”な傾向になり、リハーサルと本番で音の聴こえ方が変わることがあります。

    “リハーサルでは気持ちよく演奏できたのに本番では迫力に欠けて自分自身が盛り上がれなかった”なんていう経験が筆者にもありますが、本番テンションのメンタル以外に音響環境の変化が要因であることもあるわけです。こういった事態を想定してリハーサルであえてPAの音量を下げて貰って疑似的にデッドな環境を体感しておくなどということをすることもあります。

    リハーサルが終わったら

    さて、各楽器のモニター・バランスが一段落したら、リハーサルの持ち時間を意識しつつ異なる楽器を使用する楽曲や、特殊な音色や効果がある楽曲などを演奏して、チェックしていきます。

    最後に出捌け(ステージへの登場方法と退場方法のこと)を確認します。リハーサルでは登場時のSEの有無や出てくるタイミングをチェックすることが多いですね。すべてのリハーサルを終えたら片付ける前にステージ上からスタッフに向けて“それでは本番よろしくお願いしまーす!”と挨拶をしましょう。

    レンタルするベース・アンプはほかのバンドも使い回す可能性が高いので、各ノブの設定位置を写メ(死語?)するか、ベース・アンプの天板などに長めのマスキングテープを貼り、そこにノブの位置を書き留めておきましょう。

    リハーサル終了後にステージ・スタッフがベース・アンプの位置などをバミる(ガムテープなどで床に印をつける)ことがあるので、安易に動かさないほうが良いかもしれません。DIからケーブルを抜く場合はPAエンジニアに向かって“ベース抜きまーす!”とひと声かけましょう

    各ノブの設定位置を写メ!

    対バン形式のイベントでは、すべてのバンドのリハーサルを終えて開場するまでの時間に主催者がすべての出演者を集めて顔合わせをすることもあります。自分のバンドだけでなく、イベント自体を成功させるべく一致団結するタイミングですので、こういう機会がある場合はなるだけ参加しましょう。

    待ち時間と楽屋の使い方

    リハーサルが終わったら本番までは待ち時間ですね。

    楽屋はあくまでも出演者が(物理的にも精神的にも)出演の準備をするための待機場所です。楽屋をほかのバンドと共有するときは機材や私物を散らかさず一ヵ所にまとめるようにしましょう。狭い楽屋は譲り合って使いつつ、出番が次のバンドに優先利用権があると思って場所を空けるようにしましょう。

    自分にとっては仲のいい友達や家族でもほかのバンドにとっては部外者です。楽屋には部外者を安易に入れないようにしましょう。貴重品は自分で管理しましょう。

    待ち時間に楽屋で衣装に着替えたり化粧をしたりといった出演のための準備は不可欠ですが、対バン形式のイベントはなるだけほかのバンドの演奏を観るようにしましょう。自分の演奏だけやって帰るようではマナーに反するし、対バン形式の意味も薄れます。単純に自分の演奏やパフォーマンスの参考にもなるし、感想を伝えあうことで切磋琢磨でき、仲間やお客さんを増やすきっかけにもなるはずです。

    メインテナンスや弦交換

    待ち時間に、必要に応じて楽器のメインテナンスもしておきましょう。各部のネジが必要以上にユルんでいないかチェックしつつ、アクティヴ・ベースの場合はこのタイミングで新品の電池に交換し動作を確認しておくと安心です。

    弦交換をすべきかどうかは考え方によりますね。なるだけ新しい弦で演奏したいと考えてリハーサル後に弦交換をするプレイヤーもいますが、筆者はリハーサルと音が変わってしまう面と新品の弦が突然切れるリスクを考慮して、新品の弦で演奏したいライヴでもリハーサルの前に弦交換するようにしています。もちろん新品の弦のブライトな音色を必要としないなら弦交換する必要はありません。

    ステージ上と楽器の保管場所に寒暖差があると楽器を出したとたんに水滴がついたりチューニングが不安定になったりすることがあります。ライヴハウスのステージ袖(ステージの両脇のスペース)は大抵狭く暗いし、セキュリティ的にも限度はありますが、楽器はなるだけステージ上に近い環境に置いておいたほうがベターではあります。

    演奏者自身のメンテナンスも重要です。必要に応じて栄養補給を済ませ、ストレッチなどで体を馴染ませつつ適度に緊張をほぐしましょう。

    いざ本番!

    転換時間内にリハーサルの通りにセッティングを済ませ、エフェクターがある場合はそれぞれリハーサル通りに音が出ることを確認しましょう。激しくない音楽ジャンルでもステージ上で汗をかくことは往々にあります。ステージ・ドリンク汗を拭きとるタオル楽器を拭くクロスなども用意しておきましょう。

    本番中にモニターにやりづらさを感じたら、ステージ・スタッフやPAエンジニアにジェスチャーやハンドサインで要求を伝えましょう。曲間でマイクを通してはっきりと要求を伝えてもいいですが、あまりやりすぎると興覚めするのでほどほどに。客席に届いている音色は演奏している自分自身がその場で確かめる術はありません。“まな板の鯉”状態なので、外音はPAエンジニアを信じて、自分の演奏が素晴らしい音色で客席に届いていると信じてパフォーマンスをやり切りましょう。

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    終演後

    無事出番が終わったら機材をまとめつつ、搬出準備を進めます。PAエンジニアさんやステージ・スタッフさんに“ありがとうございました!”と必ず挨拶しましょう。楽屋は“来た時よりも美しく”をモットーに備品を元の位置戻し、ごみなどを綺麗に片付けましょう。

    イベント主催者や会場側との清算時には演奏やパフォーマンスについてアドバイスを貰い、真摯に聞いておきましょう。会場で打ち上げがある場合は、なるだけ参加してほかのバンド・メンバーと交友を深め情報交換しましょう。

    最後に

    演奏のクオリティは各個人の演奏レベルや練習量によるところが大きいですが、自分自身はもちろん、お客さんもスタッフも気持ちよく楽しめたならイベントは成功と言えるでしょう。

    さらに演奏のクオリティを上げるためにはステージ上のモニター環境を良くすることが重要ですが、各楽器が明瞭に聴き分けられる演奏しやすい環境は多分に各メンバーの演奏力に依存するのも事実。やっぱり日々の鍛錬あるのみなのかもしれないですね。

    それと、ベーシストといえども一度スタッフ側の仕事を経験しておくと、どんな振る舞いが好印象なのかよくわかると思います。スタッフが気分よく仕事ができないバンドは、どんなに演奏が上手でもダメ。逆もしかり。ベーシスト以前にお互いの立場を思いやれる人でありたいですね。

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    ◎講師:河辺真 
    かわべ・まこと●1997年結成のロック・バンドSMORGASのベーシスト。ミクスチャー・シーンにいながらヴィンテージ・ジャズ・ベースを携えた異色の存在感で注目を集める。さまざまなアーティストのサポートを務めるほか、教則本を多数執筆。近年はNOAHミュージック・スクールや自身が主宰するAKARI MUSIC WORKSなどでインストラクターも務める。
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