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    【第138回】リズム感向上! ドラムマシンの使い方 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    今回は、リズム感向上のためのドラム・マシンの使い方がテーマです。

    まず最初に、ここではいわゆる機材としてのドラム・マシンだけではなく、DAWなどのアプリから出すドラム・パターン、マルチ・エフェクターやメトロノームに内蔵されているドラム・パターンなど、全部まとめてドラム・マシンと呼ぶことにします。

    さて、それらのドラム・マシンをどう使えば、リズム感向上に役立つでしょうか?

    いきなりすべてをひっくり返すようなことを言いますが、リズム感を向上させたいのなら「リズム練では基本的にドラム・マシンを使わない」ことをオススメします。

    ドラム・マシンを使わないほうがいい理由① 

    メトロノームで練習するとあまり気持ち良くないからドラム・マシンで練習する、という人、多いかもしれません。メトロノームはそれ単体では味も素気もないし、メトロノームと一緒に演奏すると自分のリズムの欠点が露わになるので、気持ち良くないんですね。でもそれはメトロノームの問題ではなくて、自分のリズムやグルーヴの問題です。

    ドラム・マシンでパターンを流しながら練習すると気持ち良いのは、ドラム・マシンと合わせると自分の演奏が実際以上に上手く聴こえるからです。ドラム・マシンのパターンは、そもそもベースが何もしなくてもリズム的に成立しています。なので、ベースが少しヨレたりモタったりハシったりしても「割とできている」という錯覚に陥りやすいのです。

    実際はできていないのにできている気になっていたら、なかなか上達しないですよね。リズム感を向上させるという目標を持っているなら、自分の欠点が明らかになりやすいメトロノーム練がオススメです。

    ドラム・マシンを使わないほうがいい理由②

    たとえばメトロノームを2・4拍に鳴らして練習する場合、細かく刻んでいるハイハットなどは鳴っていないので、自分でしっかり細かいリズムなどを感じつつ、グルーヴを表現しなければいけません。言い換えると、リズムを感じる責任/リズムを表現する責任はすべて自分にある、ということを自覚しながら練習できます。

    その一方で、先ほども言ったように、ドラム・マシンのパターンはベースが何もしなくてもリズム的に成立しています。シンバル系も細かく刻んでいるし、バックビートのスネアやファンキーなキックも全部鳴っているので、無意識のうちにそれらを頼って練習していまいがちです。この状態で練習を続けても、ドラム・マシンがないと結局ヨレヨレな演奏になってしまったりします。リズム感を良くしたいなら、自分の外の何か/誰かに頼るのではなく、自分のなかに確固たるリズム感を作り上げていかなくてはいけません。そのためには、メトロノームをバックビートや拍のウラに鳴らして練習するのがオススメです。これだとドラム・マシンほどには頼りっぱなしにできないので、自分でリズムを感じるスキル、表現するスキルが養われます。

    リズム感向上に役立つ使い方

    でも、ドラム・マシンにも使い道があります。これはヴィクター・ウッテンが紹介していたリズム練ですが、ドラム・パターンを3小節鳴らして4小節目はブレイク(4拍の間、何も鳴らない状態)にしたうえでベースのリフを弾き続ける練習は役に立ちます。ちゃんとリズム・キープできていれば、ブレイク後に次のサイクルの1発目のドラムが鳴ったときにぴったり合うはずです。ポイントとしては、適当に気ままに弾くのではなくフレーズを決めてループすることと、ブレイクしたときにフィル・インやソロを弾くのではなく、あくまでもリフを弾き続けることです。また、DAWなどで鳴らす場合、当然メトロノームはオフにして練習しましょう。

    難易度を上げたければ、ドラム・パターンを2小節鳴らして3・4小節目はブレイク、ドラム・パターンを1小節鳴らして2・3・4小節目はブレイク、というバリエーションもあります。

    ということで、メトロノームやドラム・マシンはなんとなく使うのではなく、賢く意図的に使ってリズム感を向上させていきましょう! 石村順でした!

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    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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