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    【連載:ダークグラスな事情】Vol.1 フクダヒロム(Suspended 4th)

    モダンなサウンドと豊富な機能を持ち合わせた製品群で、現代のベース・ギア・シーンの中核を担うダークグラスエレクトロニクス。『ダークグラスな事情』は、プロ・ベーシストが愛用するダークグラス製品の魅力を自らの言葉で語る連載企画だ。記念すべき第1回目は、圧倒的な支持を集める次世代のベース・ヒーロー、フクダヒロム(Suspended 4th)が登場。代名詞でもあるスラップ・ソロの際に使用するというペダルの紹介とともに、深い“ダークグラス愛”を語ってもらった。

    使用モデル
    Microtubes B7K Ultra Limited Kraken Edition(プリアンプ/ディストーション)

    フクダのエフェクト・ボードに鎮座するMicrotubes B7K Ultra Limited Kraken Edition。主にスラップ・ソロの際に使用され、ドライブ感を抑え目に設定。4バンドEQはすべて一定にブーストされているのが特徴だ。

    直感で“自分のプレイに合うかも”と思った。

     僕とダークグラスの出会いは、まだダークグラスが日本に入ってくる前まで遡ります。当時、インターネットで機材をディグっていたら、たまたま海外のサイトでダークグラスを見つけたんです。YouTubeに上がっていたデモ演奏を聴いたら、音がめちゃくちゃカッコ良くて、直感で“自分のプレイに合うかも”と思った。まだ日本に代理店がない時代だったから、海外からMicrotubes B7K(プリアンプ)を個人輸入しましたね。ダークグラスが流行る以前は、(Tech21製)サンズアンプ(ベース・ドライバーDI)だったりMXRのM80 Bass D.I.+だったり、プリアンプはこれら以外に選択肢がない感じだった。そのなかでサンズアンプもM80もどちらかというと温かみのあるサウンドの印象なんだけど、ダークグラスは歪みの質感が冷たくて、明らかにその2機種とは違う個性を持っていた。僕はそこに惹かれたんですよ。

     僕が持っているダークグラス製品は、Microtubes B7Kのほかにも、今ボードに入れているMicrotubes B7K Ultra(Limited Kraken Edition/プリアンプ)、Microtubes B3K(オーバードライブ)、ALPHA・OMEGA(プリアンプ)、Vintage Ultra(プリアンプ)、ELEMENT(IRキャビネット・シミュレーター)、Harmonic Booster(ブースター)など……主要なモデルは大体持っています。なかでもMicrotubes B3Kは最初期のビルダーがハンドメイドで作っていた時代のモデルを含めていくつか所有しています。それぐらいダークグラスは掘りまくってます。

     ボードに入れているMicrotubes B7K Ultra Limited Kraken Editionは、主に「ストラトキャスター・シーサイド」冒頭のソロみたいな、とにかくド派手に魅せるようなスラップ・ソロで使っています。基本的にはクリーンの状態で使うことはなく、常にディストーション・スイッチをオンにした状態です。だからいわゆるプリアンプとしての使い方ではないかもしれないですね。

    「ストラトキャスター・シーサイド」Live Ver.

    現代のベーシストは一台持っておくべきエフェクターなんじゃないかな。

     “派手で明るい音”を目指してセッティングしていて、ポイントとしてはMASTERとLEVELを上げて音量を大きめに、BLENDとDRIVEを下げ目にして歪みを抑えている点。これの前につないでいるエフェクターで少々歪ませているので、ここでさらに歪みをマシマシにかけちゃうと、音が潰れすぎて何を弾いているのかわからない状態になってしまう。それを防ぐために歪み感をあえて抑えています。

     イコライザーは全体的に持ち上げていて、一般的にEQは12時方向を基準にカットしていくのが正しいセオリーだと思うけど、いろいろ試した結果、ダークグラスはブーストさせているほうがカッコいいんですよ。それにダークグラスはBASSのツマミの周波数が100Hzで、一般的なプリアンプと比べて腰高だから、よりロー感を加えるためにもBASSをブーストさせています。

    ミニ・スイッチはそれぞれ、ATTACK:ブースト、GRUNT:フラット、LO MIDS:250Hz、HI MIDS:3kHzを選択している。

     LO MIDSのミニ・スイッチは250Hzを選択していて、さっきも言ったようにダークグラスは全体的にEQが腰高なので、その補正として一番低い部分を持ち上げています。HI MIDSのミニ・スイッチは3kHzを選択しているんだけど、この3kHzを軽く持ち上げてやるとスラップの際にバキッとした感触が表現できるんです。ハイのアタック感を補正できるATTACKスイッチは、真ん中のブーストの状態。会場によってフラットにしたり、カットにしたり、そういう調整ができるのも便利ですね。GRUNTスイッチはフラットに設定していて、これ次第でけっこう歪み方も変わる。ローを持ち上げる設定にしてしまうと、僕の用途だと余分なローが出て、激しく歪みすぎちゃうから、ここはフラットが適しています。だから僕の設定を見てもらえばわかる通り、実はそんなに歪んでいないんです。歪んではいるけど、あくまでも根本の輪郭が残るような音を追求した結果、この設定になりました。

     ダークグラスはベース向けの製品を出しているブランドだから、ベースへの理解が他ブランドよりも深いように思います。加えて現代の音楽にマッチするように作られていて、プレイヤーのニーズをちゃんと理解して製品開発しているから信頼感がある。モダンなデザインの見た目もカッコいいですよね。ボードに入れることでテンションを上げてくれる、僕にとってはなくてはならない存在。今後も使い続けていくし、新しい製品が出たら全部試すと思う。どんな音楽ジャンルにも対応できる汎用性の高さを兼ね備えているから、現代のベーシストはとりあえず一台持っておくべきエフェクターなんじゃないかな。わかりやすくカッコいいエフェクターを探しているなら一択のブランドだと思います。

    Specifications

    ●コントロール:マスター、ブレンド、レベル、ドライブ、ベース、ロー・ミッド、ハイ・ミッド、トレブル、アタック・スイッチ、グラント・スイッチ、ロー・ミッド・3ウェイ・スイッチ、ハイ・ミッド・3ウェイ・スイッチ、グラウンド/リフト・スイッチ、ディストーション・スイッチ、バイパス・スイッチ
    ●入出力端子:インプット、アウトプット、ダイレクト・アウトプット
    ●電源:DC9Vアダプター
    ●外形寸法:125(W)×57(D)×96(H)mm
    ●重量:430g

    【価格】オープンプライス(本記事での紹介モデルは廃盤/現行モデルはMicrotubes B7K Ultra V2 with Aux In)

    お問い合わせ:キョーリツコーポレーション  Mail:support@kyoritsu-group.co.jp  メーカー・サイト

    ◎Profile
    1994年11月3日生まれ、愛知県出身。小学生でドラムを、中学1年でギターを始め、中学3年でベースを手にする。マキシマム ザ ホルモンやレッド・ホット・チリ・ペッパーズに影響を受け、スラップに開眼。2014年に結成されたSuspended 4thに2015年に加入し、名古屋市栄での路上パフォーマンスが話題を呼び、2019年7月に1stミニ・アルバム『GIANTSTAMP』でピザ・オブ・デスからデビューを果たす。2022年7月20日に待望の1stアルバム『Travel The Galaxy』をリリースした。2024年9月には東名阪をまわるワンマン・ツアー“FEEL THE FORCE -ONE MAN TOUR-”を開催予定だ。

    ◎Information
    Suspended 4th Official HP X Instagram YouTube
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