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    『ロマンシング サ・ガ2』戦闘曲に学ぶキー選び!真面目な話をする際はワントーン下げて【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第10回

    • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
    • 挿絵:長谷川カオナシ

    2022年にメジャー・デビュー10周年を迎えたクリープハイプ。それを記念して始まった長谷川カオナシによる本連載コラムでは、多彩な趣味を持つ長谷川が特にハマっているという、“レトロゲームのベースの世界を案内します。

    名作RPGに名戦闘曲アリ!

    1月の気分は“やるぞ!”でしょうか、それとも“先年の無念を晴らす!”でしょうか!

    レトロゲーム喫音堂、本年もよろしくお願いいたします。

    はたらげー!!

    喫音堂第3回でも触れたように、1990年代前半は名作RPG群雄割拠の時代でした。

    ある作品はゲーム・バランスが整っていたり、またある作品はグラフィックが美麗だったり、またある作品はシナリオにこだわっていたりと、それぞれが何か特化した点を持っていました。

    では、どの作品にも共通して存在する要素とは何でしょうか。

    いろいろありますが、戦闘シーンの演出というのは、特にハズせない要素のひとつではないでしょうか。

    そんなわけで、今回はこちらのゲームの戦闘曲を喫音していきたいと思います!

    『ロマンシング サ・ガ2』(1993年/スクウェア)(※1)

    ……まさか こ う て い?

    “ロマサガ”は、“ドラクエ”や“FF”とは違って、シンボルエンカウントというシステムが採用されています。

    画面上を動き回る敵キャラたちに触れると戦闘が始まるため、アクションの苦手な方は何度も戦闘を強いられることでしょう。

    人間、向き不向きがあります。

    ジェラール様は学問でもやってればいいんですよ。


    そこでプレイヤーが幾度となく耳にすることになるのが、スラップ・ベースとストリングスの特徴的な通常戦闘BGM。

    “退却”が確実に成功するという仕様も相まって、殊にイントロのコードのBm(ビー・マイナー)に関しては、親の声よりも多く聴くことになるでしょう。

    ゲーム開始から1時間ほど進めていくと、やっと最初のボスと相対します。

    そこで初めて流れるBGM「クジンシーとの戦い」。

    “スラップ・ベースとストリングス”という音像なら、通常戦闘BGMで聴き慣れているはずですが、メロディ以外にもどこか雰囲気が違います。

    この「クジンシーとの戦い」の曲のキーはA♭m(エー・フラット・マイナー)。

    通常の戦闘BGMよりもワントーン低い分、よりシリアス感が増して耳に入ってきますね!(※2)

    キーが違うと印象がこれだけ違う

    “ロマサガ2”には、ボス戦の曲がもう2曲存在します。

    クジンシーの次に戦うことになる中ボス戦の「七英雄バトル」のキーはAmで、やはり通常戦闘曲よりワントーン低くなっています。

    逆に「ラストバトル」のキーはCmとワントーン高く、クライマックスの高揚感を演出しているかのようです。

    素晴らしい音楽をありがとう!

    私たちの村にいらして。

    “ロマサガ2”の戦闘BGMのベース・ラインは、どれもスラップ・ベースのサウンドが特徴的です。

    8分音符のルート弾きも多いので、ダウン・ピッキングの要領で粒を揃えることを意識して弾きましょう!

    特に親指のサムピングは、アポヤンド奏法(※3)のほうが安定します。

    さて、新年1本目は『ロマンシング サ・ガ2』を喫音していきました。

    リアルはゲームよりもずっとフリーシナリオですが、クイックセーブも年代ジャンプもできません。

    着実に技術点を稼いでいきたいですね!

    今、そんな気持ちになった。

    それではまた来月までご機嫌よう。

    (※1)
    ^ 音楽はイトケンこと伊藤賢治先生。戦闘曲はハードなリズム・セクションの上に乗る哀愁漂うメロディ。しかし曲はハイ・テンポ。かなり特徴的です。名曲をいくつも書いておられますが、“ロマサガ3”のボス戦BGMを書くまでは戦闘曲に対して苦手意識を持たれていたというので驚きです。

    (※2)
    ^ 実際にバンド活動のなかでも、曲ごとのキーの違いを意識するシーンは多々あります。例えばアルバムの曲順を考える際。同じキーの曲を連続させてしまうと、あとの曲の印象が弱くなってしまうなぁ、とか。

    (※3)
    ^ 弦にヒットさせた親指を、隣接する弦に当てて止める奏法。アタック音と同時に低音の成分も出すことができます。

    ◎Profile
    はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2021年11月に6thアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

    ◎Information
    長谷川カオナシ
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    クリープハイプ
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