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    【七宝盤】第二回 – でらし(ハンブレッダーズ)

    あのベーシストは、どんな音楽を聴いて現在の音楽性/ベース・スタイルを築き上げたのだろうか? さまざまなベーシストに、自身が影響を受けた“私的名盤”を7枚厳選してご紹介いただく連載企画です。

    でらし
    (ハンブレッダーズ)

    Profile
    でらし●1994年9月1日生まれ、栃木県出身。アニメ『けいおん!』をきっかけにベースを手にし、スピッツの田村明浩から影響を受ける。大学の先輩が2009年に結成したハンブレッダーズに2016年に加入し、2020年2月に『ユースレスマシン』でメジャー・デビュー。2021年7月21日に2ndシングル「ワールドイズマイン」をリリースした。
    Official HP ◎でらし Twitter 

    七宝盤①

    『Trimurti』
    LOW-PASS
    (2012年)

     インスト・ポスト・ロックにハマったきっかけといえる1枚。歌がないのにここまでワクワクする曲ができるのか……と当時は鼻息荒くして聴いていました。全編通してベース・ラインが非常に秀逸でたくさんコピーをしたのですが、「Δ(読み方:デルタ)」という曲の1:15~のタッピング・フレーズがどうしても耳コピできず、ライヴ動画などを見漁った思い出があります。

    七宝盤②

    『Feed Me Weird Things』
    スクエアプッシャー

    (1996年)

     WARP RECORDSの音楽をディグっていたときに見つけたのがきっかけで聴くようになりました。当時ドラムンベースのようなジャンルの音楽を聴くのが初めてでしたが、リズムと生ベースの心地よさと抜群のメロディで抵抗なく何度もリピートしていました。「Theme From Ernest Borgnine」がスクエアプッシャーのなかでも一番好きな曲です。

    七宝盤③

    『TURBO TOWN』
    80KIDZ
    (2012年)

     高校生のときにバンド編成でのライヴを観て感動したことでアルバムを聴き始めましたが、ライヴのときに感じたインスト・ロック的なアプローチではなくエレクトロの要素が強く出ていて驚きました(それでもロックに寄ったアルバムらしいけど)。それまでロック・バンドに傾倒していた私にとって、エレクトロというジャンルにもちょっとだけ手を出すきっかけになった1枚。

    七宝盤④

    『Thirsty?』
    TOKYOGUM

    (2014年)

     ポップなメロディとオルタナな音像のマッチ具合が絶妙で、当時このアルバムをひたすらリピートして聴いていました。鈴木(ロウ)さん(b)と藤本(光太郎)さん(d)のリズム体がとにかく固く、今でも個人的な理想のリズム体のひとつとして挙げられます。1曲目の「腐海前」のひたすらにうねりながらも歌に馴染むベース・ラインが特に好きです。

    七宝盤⑤

    『Chon』
    CHON
    (2019年)

     変拍子だらけなのにめちゃくちゃ聴きやすいんですよね。ゲームBGM的な要素を感じられるのも個人的に好きな理由のひとつです。超絶技巧なツイン・リードのギターワークに耳が行きがちだった1、2作目と比べてベースの主張がかなり強くなっていて、全体的によりメロウになった印象。「Gift」という曲のベース・ソロ(?)は初めて聴いたときに思わず声が出ました。

    七宝盤⑥

    『ライジング』
    Dr.DOWNER
    (2011年)

     高校時代一番聴いたアルバムで初期衝動はこのアルバムから教わりました。ひたすら荒々しいサウンドの鬱屈した気持ちをぶっ飛ばしてくれる楽曲ばかりで、当時は何だか勝手に救われていました。改めて聴き直してみると高校生の自分にはわからなかった、世の中に対する冷えた目線みたいなものが歌詞から感じ取れて、あのときとは違った理由で胸が熱くなりました。

    七宝盤⑦

    『Any Luck to You』
    ベランダ
    (2017年)

     最新作もよりオルタナなアンサンブルが聴けて大好きなんですが、飄々としながらも熱を帯びている楽曲が並んでいるこのアルバムを選びました。中野(鈴子)さんのベース・ラインはどの曲を聴いても、“あーそこそこ!”とツボを押された気持ちにさせられ、歌モノ・ベース・ラインの最適解として参考にしています。「Let’s Summer」と「最後のうた」は夏の野外で聴きたい名曲です。