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【第56回】シャッフルはポリリズム! ということを体感するエクササイズ/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

 今回のテーマはシャッフル・ビートです。シャッフルっていうと、ポピュラー音楽のルーツであるブルース、ゴスペル、初期のR&B、ロックンロールなどで大きな役割を果たしてるグルーヴですね。まあハネてるグルーヴなんですが、例えば日本の祭囃子とかもけっこうハネてますけど、そのハネと、アメリカ発祥のシャッフル・ビートのハネは別モノです。“適当なハネ具合”じゃなくて、基本的には3連音符をベースにしたグルーヴです。でも、1拍をただ3連符にするだけだとシャッフルの感じは出ません

 シャッフルは、①3連である、っていうだけじゃなくて、②ポリリズムである、③バック・ビートに重心がある、④ウラにも重心がある、というのが大きな特徴です。

 今回は“ポリリズム”を意識したシャッフルの練習です。ブルースやロックンロールの基本リフのひとつを使います。

 これをそのまま弾いても、ポリリズムのグルーヴは出ません。ポリリズムを感じるための段階を踏みます。まずはex.1の(A)。BPM90でメトロノームを鳴らします(五線譜下のx)。休符は左手で表現します。

 慣れたら、(A)の2ウラに音を追加した(B)をやります。2オモテ~ウラ~3オモテは、ハネないでストレートで演奏します。

 自然に弾けるようになったら、(B)の3オモテの音を3ウラに移動した(C)をやります。

 弾きにくい場合は、(B)と(C)を行ったり来たりして慣れるまでやります。実はこの(C)、譜面の書き方は違うけど、最初のリフと同じなんです。

 次は(D)をやります。(C)を弾きつつクリックと同じタイミングで足をタップします。足に重心を感じるようにします。

 最後は(E)です。1オモテと2ウラでタップします。慣れないうちは難しいかもしれないけど、この足の重心を1拍として感じながら弾けると、最初のリフを弾いてるのがわかると思います。

 これに慣れたら、(D)と(E)を交互にやります。(E)のときもクリックは(D)の足のパターンで鳴り続けているので、そこを意識して、(D)の感じを忘れないようにしながら(E)を弾きます。(E)を弾くとき、足とクリックの両方を同時進行で感じながら弾くのがポイントです。この感じが、シャッフルをポリリズムとして演奏する第一歩です。

 この感じがわかるようになると、ただ3連として弾くときには感じなかったシャッフルの新たな気持ちよさを感じるようになります。頑張らなくても自然に(E)を弾けるようになるまでじっくり取り組んで、シャッフル・グルーヴ、身につけましょう!

 石村順でした! 

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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