GEAR
軽量かつ取り回しの良いデザイン、使用するエフェクター数に合わせて選べる豊富なサイズ・ラインナップで、多くのベーシスト/ギタリストから圧倒的な支持を得ているスノコ型エフェクト・ボードの先駆け“ペダルトレイン”。その斬新なデザインは、従来の平面型エフェクト・ボードでは困難と思われるセッティングも実現可能とし、多くのエフェクター・フリークたちを唸らせてきた。今回は、ナンバーガールやcrypt cityといった数多くのバンドで活躍し、自身もペダルトレイン・ユーザーである中尾憲太郎を迎え、その実力・魅力を改めて探っていきたい。
また今回、ベース・マガジン主催のコンテスト・イベント『ペダルトレイン・コンテスト』を開催。詳細は3ページ目をチェック!
抜群の耐久性と安定性を兼ね備えた
“痒いところに手が届く”デザイン
アメリカのナッシュビルで生まれたペダルトレインは、誕生から20年という歳月を経た現在でも多くのプレイヤーから愛され続けている画期的なエフェクト・ボードだ。その最大の特徴は、複数のレールがスノコ状に連結され、背面部から手前側に向けてスラント(傾斜)されたデザイン。そのレールの隙間からパッチ・ケーブルや電源ケーブルを通してボードの裏側にケーブル類を集約させることで、ボード表面のスペースを最大限に有効活用することができる。フレーム素材には航空機にも使用される最高品質の超軽量アルミニウムを採用し、溶接によるフレーム接合と埋め込み式のゴム足設計により抜群の強度と安定性、そして軽量化を実現している。
NAKAO’s Effects Board(使用ボード:PT-CL2-SC)
ベースからの信号は、ボード外に置かれた①Limetone Audio/LTV-30T(パッシヴ・トーン・ペダル)から、②Fender/THE BENDS COMPRESSOR(コンプレッサー)、③KGR Harmony/あられオーバードライブ(オーバードライブ)、④FOXROX/Octron(ピッチ・シフター)、⑤Organic Sounds/Organic Drive Hydra Gold(オーバードライブ)、⑥Earth Quaker Devices/Palisades(オーバードライブ)、⑦Orange/The Bass Butler(プリアンプ)、⑧Earth Quaker Devices/Avalanche Run(リヴァーブ/ディレイ)、⑨Bogner/HARLOW(ブースター/コンプレッサー)、⑩Limetone Audio/LTV-30L(ヴォリューム・ペダル)、⑪DEMEDASH EFFECTS/T-120 DELUXE(エコー)、⑫Earth Quaker Devices/Rainbow Machine(ピッチ・シフター)、⑬Earth Quaker Devices/Tone Job(イコライザー)へと直列で流れる。⑭BOSS/TU-12(チューナー)は⑩LTV-30Lのチューナー・アウトより接続、パワー・サプライは⑮Ex-pro/PS-2が使用されている。パッチ・ケーブルはベルデン製8412、プラグは日の出光機製作所製のもので統一されている。
プレイヤー目線で細かい部分まで考えられているなと思います。
——どういったきっかけでペダルトレインを使い始めたのですか?
このボードはかれこれ3年くらい前から使っていて、主にナンバーガールと浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSで使っています。当時、使うペダルの数が増えてきたこともあり、スラント・タイプのボードに変えてパワーサプライを裏側に設置することで、その分表側のスペースを確保したいと思ったのがきっかけですね。浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSではコーラスもするので、コーラスしながらエフェクターの切り替えを行なうにはこの大きさのボードがベストなんです。だから、使いたいエフェクターが変わっても、このボード・サイズのなかで入れ替えをするようにしています。
——実際にペダルトレインを使ってみて、想定していたセッティングは実現できましたか?
そうですね。今はパワー・サプライをボードの表面に乗せていますが、ペダルトレインを使い始めた当初はボード裏に結束バンドで止めて固定していました。パワー・サプライの種類によっては、マジックテープで貼って固定したりもしました。ケーブル類の配線をすべて裏側に集約できるので、エフェクターも詰めて並べられるし、表側をキレイに見やすくできるのがいいですね。サイズ感もちょうどいいし、プレイヤー目線で細かい部分まで考えられているなと思います。
——中尾さんは頻繁に使用するペダルを入れ替えている印象ですが、そういった作業はやりやすいですか?
裏にパッチケーブルを集約できるので、エフェクターの入れ替えがとてもスムーズですね。プレイヤーによっては各現場に気に入ったエフェクターをまとめて持っていく方もいるかと思いますが、僕はそれが苦手で……というのも、ライヴだと瞬間的な対応が求められたり、何が起きるか予測できない状況なので、余計な気をつかうことがないように、エフェクターをマメに入れ替えて現場ごとに使うものだけを持っていくようにしているんです。また、裏側にケーブル類を逃すことでケーブルの捻れを軽減して保護にもつながっていますし、ちょっとした空きスペースを有効活用できるので、ボードをコンパクトに集約できるのも嬉しい。一般的な平面のボードだと、入れ替える際にパッチ・ケーブルの長さにも気をつけないといけないし、ケーブル類がつまみに接触して設定が変わってしまうこともありますが、ペダルトレインだとそれが回避できますね。
——今後このボードをどのように進化させていこうと考えていますか?
このボード・サイズがベストなので、これ以上ペダルが増えるようであれば、上に高さを出して2層構造にさせようと考えています。上段部分のエフェクターは基本的に踏み替えをしないので、ノートパソコン用のスタンドをその上に設置して、そこにエフェクターを乗せることも試しました。DIYでエフェクターを進化させていくのは楽しいですね(笑)。
——最後にペダルトレインをどういったベーシストにお薦めしたいですか?
頻繁にエフェクターの入れ替えを行なうプレイヤーには、ぜひお薦めしたいです。実際に使ってみると、思っている以上にいろいろなセッティングを実現できるので、自分でイマジネーションしたエフェクト・ボードを形にしてみたい方や、僕のようなDIY精神をお持ちの方には一度試してみてほしいですね。
【PICK UP!】
中尾のこだわりポイントを確認していこう!
【Profile】
なかお・けんたろう●1974年6月17日生まれ、福岡県北九州市出身。1995年、福岡にて結成されたロック・バンド、ナンバーガールのメンバーとして1999年にシングル『透明少女』でメジャー・デビューし、2002年に解散。後続のロック・シーンに多大な影響を与えた。解散後はCrypt Cityをはじめ、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS、ART-SCHOOLなど数多くのバンドに参加するほか、プロデューサーとしても活躍している。ナンバーガールは2019年2月に復活を果たし、ライヴ活動を再開させた。
◎https://numbergirl.com/
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