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    FEATURED BASSIST-ハマ・オカモト[OKAMOTO’S]

    • Interview:Takahisa Kondoh
    • Photo:Yoshika Horita

    誰もが口ずさめるリフを──今の時代だからこそ光る、ハマ・オカモトの真骨頂

    デビュー10周イヤーを迎え、今年4月には自身初のベスト・アルバム『10’S BEST』をリリースしたOKAMOTO’Sが、2020年第1弾となる新作EPWelcome My Friendをリリースした。表題曲は富豪刑事 Balance:UNLIMITEDのエンディング・テーマとなっており、「History」は黒木瞳が監督を務める映画十二単衣を着た悪魔主題歌となるなど、トピックが目白押しの作品であるが、楽曲ごとにさまざまな表情を見せている点にも注目。先日まで、少し休業していたハマ・オカモトであるが、現状も含めて話を聞いた。

    Interview

    作品全体のイメージとしては、今の時代感が反映されたテンションではない。

    ──今年の春以降、ハマさんが体調を崩されるなか、5月には無事に弊社刊『BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES 2009-2019″ハマ・オカモト”とはなんだったのか?』が発売されました。それ以降、いかがお過ごしでしたか?

     今回、こうやってWeb版のベース・マガジンに戻ってこれましたが、『〜なんだったのか?』っていう過去形のタイトル、そしてモノクロの写真を起用した表紙など、結果的に、預言書みたいに見えてしまいましたよね(苦笑)。もちろん制作中は、まさか自分が本当に倒れるとはまったく思ってなかったので、このタイトルをつけたのはまったくの偶然で。この機会でしか話せないことですけど、僕が倒れたときは本作りの最終段階で、誤字脱字や写真などをチェックする“校正”の期間だったんですよね。

    ──そうでしたね……。

     本来であれば、丸一日かけてチェックするべきだったんですけど、その最中はベッドから起き上がれないっていう状況でした。とはいえ、チェックはしないといけないから、気力を振り絞ってやったんですけど……今言ったようにタイトルも過去系、そして写真はモノクロ……出版を発表したときから“故人のタイトルみたい”っていう意見もありましたが(笑)、この状況を考えると、ここで死んじゃったら笑えないな……みたいな。とはいえ、誰しもちょっと頭を“よぎる”じゃないですか。自分でもよぎっちゃったんだから、そりゃそうだろうなと思って。復活した今だから言えますけど、生きてあの本を出版できて良かったです(笑)。

    ──うはははは……いや、笑えないっす! そんななか、OKAMOTO’Sとしては、去る6月27日に生配信ライヴ「90’S TOKYO BOYS “Online Broadcast”」を行なうなど、動きがありましたね。そんななかで、今作「Welcome My Friend」はどのタイミングで作業していたんですか?

    左から、ハマ・オカモト、オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(g)、オカモトレイジ(d)。
    『Welcome My Friend』
    アリオラ
    BVCL-1097-1098【初回生産限定盤/CD+BD】
    BVCL-1099【通常盤】

     OKAMOTO’Sとしてのライヴは、今年1月11日にやった“オカモトレイジ生誕祭”が最後だったんですよ。そのあと、今作『Welcome My Friend』のプリプロをやるために、3月下旬にスタジオに入ったんです。プリプロのつもりだったんですが、「MOTEL」と、去年に制作していた「History」以外はもう録り終えてしまって。つまり「Welcome My Friend」「THE BEAR」「Riot」「Misty」のレコーディングを終えて、「MOTEL」だけはアレンジ面で意見がまとまらなくて繰り越すことになったんです。

    ──レコーディングのペースが早いですね!

     「MOTEL」以外は“改めてレコーディングの日を設けても、これ以上のものは出なくない?”みたいな空気感で、“録るつもりはなかったけど録れちゃったね”って感じだったんですよ。じゃあ、「MOTEL」だけ近々に録ろう……って話していた2日後に僕が体調を崩してしまって。最終的に、6月上旬に「MOTEL」だけ録って完成しました。

    ──「MOTEL」以外はすでに完成していたんですね。

     今作のタイトル曲「Welcome My Friend」はTVアニメ『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』のエンディング・テーマなので、アニメのタイミングに合わせて発表したのですが、作業としてはコロナ禍の直前に終えていました。なので、作品全体のイメージとしては、今の時代感が反映されたテンションではないんですよね。

    ──今回のようにアニメや映像作品に関わる楽曲の場合、その作品のコンセプトに基づいてゼロから曲を作るんですか? 

     僕らはもう10年やらせていただいて、ベース・マガジンに載せてもらった歴史のなかでも、おそらく何曲もこういった事例はあったと思うんですけど、本当にケースバイケースなんですよね。最初の頃は、どれだけ案件に寄り添えるかっていうことを意識していた時期もありました。ただ、最近はもう、“僕らの今のモードはこうだから、この感じを受け入れてもらえないようだったらごめんなさい!”っていうスタンスですね。例えば“熱血スポ根アニメなんですけど……”ってオファーをいただいたら、“ちょっと合わせるのは難しいです”と答えるしかないですし(笑)。とはいえ、アニメの主題歌やエンディング・テーマって、そこに熱がないのはアニメ・ファンとしては悲しいじゃないですか。“あ、作品は観てないんだ……”みたいな。なので、一緒にプロジェクトを進めるからには“曲を出しただけで終わり”ではないと思っています。作品と音楽の関わりについては、プロモーションなどを経てより密接になってきますし。4人ともアニメは見るので、その音楽がどれくらい大事かっていうことも、視聴者目線で理解していますから。結果的に、最近は無尽蔵にオファーを受けるようなスタンスではなかったんですが、今作に関しては、昨年に携わせてもらった劇場アニメ『HELLO WORLD』の伊藤智彦監督が手がけたアニメ作品ですし、加えて、メイン・キャストの宮野真守さんとは、奇しくも“ウソノ晴臣”と“雅マモル”という形で共演していて(編注:星野源『POP VIRUS』の初回限定盤Blu-ray/DVDに収録される特典映像「創作密着ドキュメンタリー『ニセ明と、仲間たち』」で共演)。そういった関係があるなかで、おもしろくなりそうだと思ってお受けしたんです。

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