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    INTERVIEW – MIYA[ZAZEN BOYS]

    • Interview:Shutaro Tsujimoto

    リズムが7拍子とか8拍子とか、
    そういうことを数えたり考えたりしたことがなくて。

    ━━「バラクーダ」はスラップで弾いているのかなと思ったのですが、ライヴを観たら2フィンガーで弾いていたので驚きました。

     たぶん2フィンガーで弦にかけてる圧が人より強いんです(笑)。誰かに習ったわけじゃないので、やり方がわからなくて。指弾きでも音がミチミチしちゃうんですよね。

    ━━指弾きはZAZEN B0YS加入後に本格的にやり始めたとのことですが、ほかにフォームなどで変化したところはありますか?

     左手をめっちゃしっかり押さえるようになりました。3人のメンバーが鳴らす音全部が強いので、頑張って押さえて強く弾かないと絶対に通用しないというか、普通に弾いてたら絶対に負けてしまうバンドなので。メンバー全員、余裕綽綽で弾ける曲なんて本当に1曲もないんですよ。

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    ━━ZAZEN BOYSは変拍子の曲も多いですが、演奏中は拍を頭のなかで数えたりしているんですか? 「バラクーダ」もかなり複雑ですよね。

     リズムが7拍子とか8拍子とか、そういうことを数えたり考えたりしたことがなくて。もう、全部身体で覚えるだけです。思考が入ると音が良くなくなるし、私の場合は拍を数えてたらその時点で音が遅くなっちゃうので、とにかく何回もやって身体に叩き込むっていうやり方です。私以外の3人は数字のこともよくわかっていて、“この曲は11拍で〜”とか話していますけど、私は1ミリもわからない(笑)。

    ━━ライヴでは即興演奏になる場面もありますが、そういうときはどう対応してますか?

     まず言っておきたいのは、ZAZENのライヴって何も決まってないんですよ。大体のセットリストは決まっているけど、向井さんはアドリブが多いので。MCで向井さんが“何か無性に……”って言ったら、頭のなかで“「はあとぶれいく」が始まるな”って思って構えるんですけど、そのあと“ポテトサラダが……”とか言い出して急に「ポテトサラダ」が始まる、みたいな(笑)。ついて行くのに精一杯ですけど、でもそういう自由さがあるほうが、お客さんも嬉しいじゃないですか? だから常に向井さんの動きに集中してます。

    ━━ステージでは誰の音を一番聴いてますか?

     演奏中はみんなの音を聴いてますね。とにかく必死です。4人で本気で音でぶつかり合っているというか。ZAZEN BOYSをやってるときは集中し過ぎて白目になってることが多いです(笑)。

    ━━ちなみにライヴで、モニターの返しはどういうバランスにしていますか?

     ほぼゼロで、モニターからは返してないです。歌をちょっと返すときもありますけど。基本的にはステージの真ん中にギュッと集まって集中してやるバンドなので、モニターはなくても演奏できますよね。

    ━━あと聞きたかったのは、ヘドバンについてです。なぜ頭をあれほど激しく振りながら正確なプレイができるのか不思議で。

     逆に、首振りながらじゃないと弾けないんですよ……ずっとそれでやって来ちゃったから。ドラムを聴くと常に身体が動いちゃう、もう病気みたいなもんです(笑)。だから意識して首を振ってるとかでは全然なくて、これしかできない。だからレコーディングでも、タオルとかを巻いてヘッドホンを固定してハズれないようにしてヘドバンしながら弾いてます。ライヴと同じようにやらないと弾けないんですよ。もともと、ベースをやるより先に“叫びたい!”“ヘドバンしたい!”みたいな感じで音楽を始めたので。

    ━━首や腰を怪我しないように気をつけてることはありますか?

     ヘドバンをする人に言いたいのは、“噛みしめない”ことですね。噛みしめると首を壊しちゃうので、私は口を開けながら弾くようにしています。昔ライヴで2回くらい首をやっちゃって、救急車で運ばれたことがあるので……。

    ━━音作りについても聞かせてください。ZAZEN BOYSは松下さんのバス・ドラムの音がものすごい迫力ですよね。ベースの音作りとしては、逆に低音は抑えてるんですか?

     敦さんのドラムはすごすぎて頭おかしくなりますよ。ベースは、ZAZEN自体そこまで低音を出すバンドではないので、普通よりちょっとカットしています。使ってるプレベは本来アクティヴなんですけど電池をハズしちゃっているのでシンプルな“フェンダーの音”という感じ。そこにサンズアンプを通したのが私の音ですね。サンズは常にかけっぱなしで、ライヴ中にエフェクターを踏み替えることもなくて、ベース自体のコントロールもいつも全開。ちなみにアンプはライヴではアギュラーのTone Hammer500ですけど、レコーディングではMatsuri Studioにあるアンペグのアンプを使いました。ベースの音作りは向井さんがやったほうが良い音になるので、作ってもらうことも多いですね。

    MIYAが所有するアンプ・ヘッド、アギュラー製Tone Hammer 500。ライヴでは、基本的に赤いシールの位置にツマミをセットしている。シールド類はすべてオヤイデ製で揃えている。
    フェンダー製American Deluxe Precision Bass。Pタイプ+ハムバッカー・ピックアップを搭載するMIYAの愛器で、本来はアクティヴだが購入後すぐにパッシヴに改造された。“ZAZENの初期のライヴでひなっち(日向秀和)さんがこのモデルを使っているのを観て、良い音だなと思って買いました。だから不思議なもので、ZAZENにはずっと昔から影響を受けてるんです。でも自分で鳴らしたら全然ひなっちさんみたいな音にならなくて(笑)、電池をハズしていわゆる普通の「フェンダーっぽい音」が鳴るように改造してもらったんです。そこから20年くらいずっと使い続けてます”。弦はアーニーボール製Hybrid Slinky Bass(.045-.105)を使用している。
    ライヴで使用しているTECH21製SansAmp Bass Driver DI(プリアンプ)。“Matsuri Studioにあった向井さんのサンズアンプを借りています。ずっと使っていた自分のサンズが壊れてしまって使い始めたんですけど、すごくパワーがあって「ワルい音」がするので気に入っています”。
    足下にはEarthQuaker Devices製Tone Job(イコライザー/ブースター)も置かれている。“もともと自分のサンズと併用してたんですけど、向井さんのサンズと合わせるとパワフルになりすぎちゃって、最近はほとんど使ってないんですけどね”。
    ピックはピックアップとボディの隙間に差し込むスタイル。BLEACH時代からフェルナンデス製P-100SLを使用している。ピックガード上には敬愛するTAKE-SHITのサインも。
    中尾憲太郎(b)と中村達也(d)による即興ユニット“勃殺戒洞”のステッカーや、MIYAの友人である漫画家のカネコアツシによる『デスコ』のステッカーが貼られている。
    ステージ上での激しい動きにも耐えられるようストラップはガムテープで固定している。“どんなロック・ピンを使っても壊れちゃうので、ガムテープしか信用してません(笑)”。

    ━━ところで先ほどKenKenさんの話が出ましたが、ベーシスト仲間に何かを相談したりすることは多いですか?

     KenKenには東京に出てきてからずっと仲良くしてもらっているし、あとはTokieさんにもすごくお世話になってますね。ふたりともベースについて何かを教えてもらうというよりは、生き方の共有をしてもらっている感じですけど。Tokieさんはお箸の持ち方とかまで言ってくれる方で、すっごく優しいんです。そういう年上の素敵な先輩方に良くしてもらうことが多いですね。Tokieさんのあの粒のはっきりした音とかエレガントな感じはすごく憧れます。蝶々が飛んでるような、あんな素敵な音は出せないなって。

    ━━下の世代で良いと思うバンドはいますか? MIYAさんが今日着てるのってCHAIのTシャツですよね?

     はい、もう大好きです。演奏がすごくタイトだし、CHAIの双子が歩いて来るのを見たときに“美空ひばりみたいだな”と思ったんです。大物感がすごいんですよね。今度解散しちゃうのはすごく残念ですけど、そういう強烈な人たちの集まりなので。バンドを長く続けるって難しいことですからね。

    ━━「ACTION(with ZAZEN BOYS)」での共演をきっかけに、CHAIを知ったんですか?

     向井さんが“すごいバンドがいるよ”って教えてくれて、そこからファンになりました。一緒にやれたのも本当に楽しかったですね。ライヴもたくさん観たし、グッズのTシャツもお気に入りでよく着てるし、家にアクスタも飾って応援しています。

    CHAI「ACTION (with ZAZEN BOYS) 」(Music Video)

    ━━さて最後に『らんど』に戻りますが、MIYAさんのキャリアのなかで本作はどのような位置づけの作品になったと思いますか?

     “いらない音”をまったく弾いていない作品になったと思います。どのバンドのときも邪魔な音なんて1個もなかったけど、今回の作品は全曲がソリッドで刀みたいだなって。ヴォーカル・メロディはすごく美しいけど、楽器隊はいらないものを削ぎ落としていて、“みんなぶっ殺す”みたいな音を出している。本当に研ぎ澄まされた音しか弾いてないから、皆さんがコピーをするときも楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

    ━━今後はどういうベーシストを目指していきますか?

     何事においても“圧倒的なもの”が好きなんです。私は例えばジミヘンとか、とにかく圧倒的なものになりたくて楽器を始めているので。最終的にはそういう圧倒的なものとして“ギャバーン”って爆発できたらなって思います。あとは、なるべく長くやりたいです。やれなくなったとしても、今まで一生懸命やってきたので後悔もしないだろうなとは思ってますけどね。とにかく、これからも皆さんに失礼がないようにステージで気合いを入れた演奏をしていきたいです。ライヴに足を運んでくださる方々に楽しんでもらえることが一番嬉しいので。

    ◎Profile
    みや●1998年にガールズ・ハードコア・バンドBLEACHを結成。2001年にメジャー・デビューし、海外でも積極的にライヴ活動を行なうが2009年に解散する。2008年からはハードコア・ファンク・バンド385でベース・ヴォーカルを担当しているほか、2018年7月にはZAZEN BOYSに加入した。激しいプレイ・スタイルを特徴とし、アグレッシブなスラップが注目を集め、雅-MIYAVI-が2011年に複数のベーシストをフィーチャリングして発表した『WHAT’S MY NAME? e.p.』にも参加している。2024年1月24日、ZAZEN BOYS参加後初となるアルバム『らんど』をリリースした。本作を引っ提げたツアー“ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2024”が6月8日まで開催される。

    ◎Information
    ZAZEN BOYS HP
    MIYA X Instagram

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    ベース・マガジン×MIYA
    「骸骨さんTシャツ」(半袖・長袖)

    MIYAが“2023年11月11日=ベースの日”のために描き下ろしたイラストをプリントした、オリジナルTシャツが販売中! ブラック(半袖)とホワイト(長袖)の2色展開です。“ベース弾きたいな〜”と考えている骸骨さんの頭に刺さっているのはベースのペグ!

    ◎商品情報
    販売価格:【半袖】 3,850円、【長袖】4,400円(税込)
    ボディ・サイズ:150、160、S、M、L、XL(半袖)、XS、S、M、L、XL(長袖)
    カラー:ブラック、ホワイト(各種半袖/長袖)