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    INTERVIEW – MIYA[ZAZEN BOYS]

    • Interview:Shutaro Tsujimoto

    向井さんと私の共通点は
    “プリンスが大好き”っていうことなんです。

    ━━さて、新作アルバム『らんど』の話に入っていければと思います。ベース・ラインは向井さんと一緒に考えていくのでしょうか?

     ZAZEN BOYSは基本的には向井さんが楽器のフレーズまですべて作るので、ベース・フレーズも向井さんの頭にイメージが全部あって、それを私の音で鳴らしていくイメージです。“こんな感じで弾いてほしい”ってデモや口頭で伝えてくれるんですけど、それが自分の引き出しにないときは、“ここはスラップを入れてみない?”みたいな感じで具体的なアドバイスもしてくれながら。ZAZENの曲は手グセで弾けるようなものじゃないから必死でしたね。向井さんは本当にじっくり向かい合ってくれて、“こういう弾き方はどうかな? こういうフレーズはどう?”って音楽的なことを一緒に考えてくれるので、向井さんとバンドをやったらみんなベースがうまくなると思いますよ。

    ━━“自分らしいプレイも入れなきゃ”という思いはありましたか?

     そういう欲はなかったです。それは385でやってるからっていうのもあると思うし、それよりもZAZENでは“バンドとして豊かな音を出す”ことを望んでいました。とにかく全員が真剣にぶつかり合えるような音を出したかった。自分の手グセが入ってる曲は「永遠少女」くらいですね。手グセっぽいスラップとかスライドを使ったフレーズとか、あの曲では自分から出てきたものも多かったと思います。

    「永遠少女」(Music Video)

    ━━「永遠少女」について、Xでは“この曲を演奏するために今までベース弾いてきたんだと思った”とポストしてましたね。

     最初に聴いたときから“あ、これは本当にすごい曲だ”って思いました。もちろん解釈は聴く人によってそれぞれあるだろうけど、“ZAZEN BOYSがこんな曲を出しちゃうんだ”って。やっぱりベーシストが変わるとバンドの音は変わるので“私がこのバンドに入って本当に良かったのか?”という思いはずっとあったんですけど、この音の一部になれたことは本当に幸せなことだと思ったんです。頑張ってきて良かったなって。

    ━━逆に、今作で“手グセ”と真逆の演奏をした曲を挙げるなら?

     「公園には誰もいない」ですね。テンポがゆっくりなので“間”がある曲で、本当に難しかったです。ほかのベーシストだったら柔らかくメロウに弾くだろうけど、私が弾くと地獄みたいな音になってしまう(笑)。スラップのプルも、軽いタッチの音じゃなくて“バシーッ”って感じになっちゃって。最終的にはそういう音も違和感が合っておもしろいかもってことで採用になりましたけど。スライ&ザ・ファミリー・ストーンにもこういう雰囲気のベースが鳴ってる曲ってあるよねとなって。

    ━━そうやって具体的な参考曲を挙げてアレンジをすることは多いんですか?

     今回は全然なかったですね。この曲もスライを目指したわけではなくて、できあがった音を聴いて“スライっぽいね”ってなっただけなので。「杉並の少年」ではイエスの曲を聴きながら“ピックで弾くんだったら、こういう浮いた感じもあるね〜”みたいなことを教えてもらいもらったり、といったこともありましたけど。私はベーシストの名前を全然知らないんですけど、向井さんだけじゃなくて敦さんも聡さんも本当に音楽に詳しいんですよ。

    ━━MIYAさんはZAZEN BOYSに加入する前から、本誌のインタビューで“プリンスが大好き”と話していますが、向井さんもプリンスが好きですよね。

     そうなんですよ! 向井さんとの共通点は“プリンス好き”っていうのもありますよね。私はバンドでも何でも“圧倒的な表現”が好きで。まさにプリンスってそういう存在じゃないですか? 向井さんがたまにプリンスを流しながらスタジオで踊ってるのを見て、私は楽しくなっちゃってキャーキャー言いながらゲラゲラ笑ってるんですけど(笑)。

    ━━向井さんとプリンスの共通点も感じますか?

     すごくあると思っていて、向井さんって日本のプリンスみたいな人なのかなと思ってます。ジャンルは違うけど楽器もレコーディングも全部自分でやっちゃうし。ライヴでもとにかく耳が信じられないくらい良いんですよ。中の音だけじゃなくてステージの外の音のことまでわかっていて的確な指示を出してくれますし、お酒を飲んでるけど耳はめちゃくちゃハッキリしていて、どんな小さいミスでも気づくような人ですから。

    ━━ZAZEN BOYSのアルバムが“12年ぶり”となった理由についてはどう考えていますか?

     作品を作ることって、やっぱり命を削るじゃないですけど、けっこうな労力で向かわないといけないから大変なんだろうなっていうのもあるし…… ちょっと私にもよくわからないんですよ。“今回どうしてアルバムを作ろうと思ったんですか?”とは聞いていないので。だけど、たぶん私が加入したので作ろうと思ってくれたのもあるかもしれないし、ライヴでは少し前から「杉並の少年」とか「黄泉の国」とか新しい曲もやり始めていたので。

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