PLAYER
「NEED」は絶対にプレベで録るって決めていて。
プレベをピックで弾いてみたいなって。
━━アルバム『新世界』は、“新生MUCC”というものをどの程度意識して制作しましたか?
やっぱりメンバーが代わって初のアルバムだし、“MUCCのサウンドがどう変わるんだろう?”って、いい意味で注目はされると思うんです。でも、バンドとしてはそこまで意識はしてなかったかな。もちろん、前作から一歩先に行きたいという気持ちはありましたけどね。作っているときは、そんなにヘヴィなアルバムっていう印象にはならないだろうなっていうところはあったんです。ミディアム・テンポの曲が多くて、“ちょっと大人になったな”っていうアルバムになるんだろうなって想像していたんですけど、結果、曲が並ぶと“MUCCのアルバム”っていうバランスに落ち着くんだなっていうのは、できあがった印象ですね。
━━MUCCがそもそもひとつの音楽性にとらわれているバンドでもないですし、どの方向に行っても最終的には“MUCCらしくなる”とも思います。
そう思うし、今回の曲作りの段階から、その1曲1曲を突き詰めて作っていこうっていう話し合いがあって。初めて聴いた人が、“MUCCっていうバンドがこういうテイストの曲をやっているんだね”っていうものよりもひとつ先に行きたかった。だから自分で作る曲も、ちょっとマニアックというか、色濃く曲のカラーを出せたらなと思っていました。
━━YUKKEさんは「COLOR」を作詞作曲しています。曲の始まりはややジャジィな雰囲気かと思いつつ、トラップ・ビートになったり、美しいコーラスの聖歌のようになったりとぶっ飛んだ展開ですね。本作でも一番驚いた曲でした。
これは2曲作っていた“クセが強い曲”を1曲に合わせたので、こういうハイブリッドなものができたんです。1曲はウエス・モンゴメリーみたいな展開で、そこにポエトリーをやる曲。もう1曲はトラップ・ビートを使ったラップの曲でした。サビは、“子供の合唱を入れたらどう?”っていうアイディアがリーダーから出て。俺がこの曲で描きたかったテーマも子供のことや戦争のことだったので、初めて合唱団に来てもらって歌のディレクションをしました。レコーディングのときに子供たちの前でお手本として俺が歌ったんですけど、汗をかくほどヘタで(笑)。“これ、どうしようかな”って思いましたけど、いい経験になりましたね。
━━ベースはアップライトを使っていますが、これはどの段階でイメージにあったんですか?
ジャズっぽいほうの曲はアップライト前提で作っていましたね。アルバムのなかでアップライトを使う曲を自分で作っていこうと思って。もう1曲のほうは普通のエレキ・ベースのイメージで考えていたんですけど、持ち替えずに1曲通してアップライトでやることにしました。そういえば、この曲だけ、レコーディングでキャビネットを鳴らしたんですよ。ヘッドも、ほかの曲はラックのサンズアンプ(RBI)がメインなんですけど、この曲だけアンペグのSVT-2PROで。
━━今までの作品ではどの曲もキャビネットを鳴らしていましたよね?
そうですね。今回、プリプロからずっとラインでやっていて、その音の感じがバンド的にもよかったので、本番もその流れで録りました。
━━「NEED」は逹瑯(vo)さんとの連名作曲になっていますね。
曲出しの段階で、逹瑯の曲と自分の曲のタイプが似ていたので、“アルバムに入れるならどちらかだな”ってことになったんです。最近、“この曲とこの曲を合わせてみよう”ってこともたまにあって、「WORLD」もそうですね。「NEED」はサビと間奏が俺のデモ、Aメロの血管がキレそうな歌い方をしているところが逹瑯のデモです。自分が作って行ったところは、全然名前も知らないUKのギターロックみたいな曲を聴いていたときに、自分でもこういう曲を作りたいなと思ったんです。あんまり自分では作っていったことのないタイプの曲だったんですけど、漠然と“イギリスの感じ”にしたいなと思って、そういう匂いを感じるサビのメロディっていうところで苦労して作っていった気はしますね。
━━ベースはルート8分弾きを基調にした太いラインになっています。
その頃、MUSEをよく聴いていて、ベース・ラインに注目すると、すごく動くというよりは、ルートに5度とオクターヴを混ぜていくのが多いなと思って、サビはそういう風に作っていますね。この曲は絶対にプレベで録るって決めていて。この曲ができたからプレベを買おうかなって思ったのかもしれない。プレベをピックで弾いてみたいなって。