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INTERVIEW – フクダヒロム[Suspended 4th]
- Interview:Kengo Nakamura
- Photo:Shoma Yasukawa(Live)
解説を観たうえでも、誰も弾けないだろう!って(笑)。
━━今作では、指弾きのスピーディなプレイも痛快ですね。「トラベル・ザ・ギャラクシー」のサビは隙間を縫うようなスピーディなグリス感のある横移動フレーズ。逆にスピード感命みたいな「Shaky」のサビはすごく粒立ちのいいタイトなフレーズと、同じようなスピード・フレーズでもアプローチが全然違うなと思いました。
「トラベル・ザ・ギャラクシー」に関しては、みんなにコピーしてほしいなっていう意識があって、フレーズをなるべく難しくしすぎないようにしたんです。だから、あのフレーズはパターンを覚えれば弾ける感じになっていますね。俺はわりと1サビと2サビでフレーズをいじったりパターンを変えたりっていうのをやるんですけど、あえてそれをあまりせずに。みんなに覚えて弾いてもらって、SNSとかに上げてほしいなっていう意図がありました。逆に「Shaky」は“弾けるもんなら弾いてみろ!”くらいのやつです(笑)。
━━挑戦状ですか。
そういうテンション感ですね。あの曲はベースはもちろん、ドラムもリード・ギターも大変だし、ヴォーカルもキーが高いから、本当にライヴで再現できるのかなっていうのがあって。俺も今、頑張って練習してるんです(笑)。だから「トラベル・ザ・ギャラクシー」はみんなにコピーしてもらいたいっていう意図で「Shaky」は“弾けるもんなら弾いてみろ!”っていう感じなので、アプローチが全然違いますね。
━━「Shaky」はただ高速プレイなだけじゃなくて、例えばリズムがハーフになるBメロの1拍目から2拍目への粘るグリスのニュアンスなんかも最高ですね。
ありがとうございます。これはヒトリエとかをコピーしてきてよかったなって感じですね。デジタル・シングルで出した「もういい」のレコーディングの頃から、スライドやヴィブラートのニュアンスというか、そういったウネウネ感が自分のプレイにも欲しいなと思って。ヒトリエのイガラシさんやPENGUIN RESEARCHの堀江(晶太)さんのベース・スタイルを聴いて研究したんですよね。
━━こういう、パッと聴いて派手に“すごい!”と思うような部分以外のところにも聴きどころが随所にあるので、非常にレベルの高い演奏だし、“挑戦状”を受けてコピーするのは大変そうですね。
本当ですか! いやー、ありがとうございます。この曲は個人的にYouTubeで解説動画を出そうかなとも思っているんですけど……解説を観たうえでも、誰も弾けないだろう!って(笑)。
━━カバー曲でディープ・パープルの「Burn」を取り上げたのはなぜですか?
最初にピザ側から“カバー曲が1曲あってもいいんじゃないか”っていう提案があったんです。「Burn」は、すでにライヴで何回かカバーして演奏していたんですね。マーティ・フリードマンさんにゲストでライヴに出てもらったことがあるんですけど、そのときもやりましたし。あ、直接的に「Burn」とは言ってなくて、“Burnっぽいジャム”って言ってるんですけど(笑)。その“Burnっぽいジャム”はサスフォーでは何回かやっていたから、サスフォーを以前から知ってくださっている人にはわりと馴染みがあるかなと。サスフォーって客層のレンジが広くて、おじさんから若い子もいるんですけど、若い子には「Burn」ってあんまり聴き馴染みがないんですよね。だからもう、むしろ“俺たちの曲”くらいの勢いでやってます(笑)。
━━若い人からすると、この曲だけずいぶん雰囲気が違うなって(笑)。
ふふふ。カバー曲のもうひとつの候補が「情熱大陸」で、それも路上でずっとやっていたんです。でも、これはサワダ(セイヤ/g)が言っていたんですけど、リリースしてサブスクとかで「Burn」を検索すると、俺たちの名前が出てくるようになるじゃないですか。そこでディープ・パープルと並びたかったみたいですね(笑)。まぁ、こうやって昔の名曲を若い子にも知ってほしいなっていうのもありますし、ワシヤマがもともとハードロックのギタリストなので、やっぱりイキイキするんですよね。
━━この曲はソロがすごいですね。
ヤバいですよね(笑)。ギター・ソロが来たと思ったらベース・ソロも始まったみたいな。途中でパンも変わるし。
━━ベース・ソロはタッピングを中心にしていますね。
MR.BIGが「Burn」のカバーをしているんですけど、ベース・ソロは、そこでのビリー・シーンを憑依させて演奏しています(笑)。この曲はメンバーのなかでも一番盛り上がりましたね。
フクダのメイン・ベースは1961年製のフェンダー・ジャズ・ベース。ネック・エンドにスロープを設置してスラップ対策をしているほか、フロント・ピックアップに接地するようにフィンガー・レストを装着している。
なお、レコーディングで使用されたその他の機材は、ベース・マガジン2022年8月号に掲載!
━━雰囲気が違うと言えば、「Tell Them」はデニスさんがヴォーカル、作詞作曲をしています。これは本当に“ベース”という感じのルート中心のアプローチになっていますね?
この曲は歌もギターもデニスで、ドラムがワシヤマなんですよ。ライヴでやることを音源の時点で考慮して、パートが入れ替わっているんです。ベースに関してはとにかくシンプルにしているんですが、これはライヴでギターとベースも入れ替わろうかっていうのがあったから。俺がギターでサワダがベースになったとして、サワダでも弾けるベース・フレーズにしようと思ったんです。それで、この曲だけピックで弾いてるんですよ。
━━デニスさんの歌もすごくいいですよね。
そう、すごくウマいんですよね。アルバムとしては、全部ワシヤマが作詞作曲してもいいんですけど、ちょっと違うエッセンスも欲しかったから、デニス作詞作曲のものを1曲入れようとなったんです。そこで、多分普通の考え方でいくと、デニスが作詞作曲したものをワシヤマが歌うと思うんですけど、デニスの歌声がすごくいいので。これはワシヤマも言っていたんですけど、デニスの歌をもっとみんなに聴いてほしいっていうのがあって、アルバムに入れたんです。
━━さて、満を持しての1stアルバムとなりましたが、ベーシストとしては自分の見せ場を詰め込めた感じですか?
そうですね。バンドとしてはこれが“すべて”というわけではないんですけど、ベーシストとしては、現段階で俺ができることを盛り込んだ感じです。とにかく“「Shaky」をコピーしてくれる人求む!”ですかね(笑)。
【お知らせ】
発売中のベース・マガジン2022年8月号にもフクダのインタビューを掲載! Bass Magazine webとは違った内容でお届けします!
同号では、待望のニュー・アルバム『Unlimited Love』をリリースしたレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー特集のほか、ジャパニーズ・ヘヴィ・ベースの真髄、最新モデルで紐解くファンド・フレットの魅力、やっぱり気になるプロの使用弦、伊藤広規Presents 山下達郎ベースの極意など、さまざまな記事を掲載しています。ぜひチェックしてみてください!
◎Profile
1994年11月3日生まれ、愛知県出身。小学生でドラムを、中学1年でギターを始め、中学3年でベースを手にする。マキシマム ザ ホルモンやレッド・ホット・チリ・ペッパーズに影響を受け、スラップに開眼。2014年に結成されたSuspended 4thに2015年に加入し、名古屋市栄での路上パフォーマンスが話題を呼び、2019年7月に1stミニ・アルバム『GIANTSTAMP』でピザ・オブ・デスからデビューを果たす。2022年7月20日に待望の1stアルバム『Travel The Galaxy』をリリースし、8月14日(日)に東京・恵比寿リキッドルームでレコ発ライヴを開催。9月末からツアーを予定している。
◎Information
Suspended 4th
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