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    INTERVIEW – 磯部寛之 [[Alexandros]]

    • Interview:Koji Kano
    • Photo:Yoshika Horita

    ベースでやってもあんまりわからないんだけど、
    “実は細かいことやってますよ”っていう(笑)。

    左から、リアド偉武(d)、磯部寛之、川上洋平(vo,g)、白井眞輝(g)。

    ――今作はヒップホップやメロウなベース・ソロなど、これまでにはなかったアプローチの楽曲もありつつ、らしさ全開な疾走感溢れる楽曲でのベース・プレイも魅力的です。例えば「Rock The World」ではBメロでの休符の効いた音づかいからハイポジでのフィルへの移行など、ベースの動きを印象付けるアレンジになっています。

     当初はもっとシンプルに、ルート弾きでどんどん行こうかなって思ってたんです。でももうちょっとフレーズでメロディックに聴かせたほうが単純に曲としてもおもしろいかなと。そこからハイポジでのフィルを取り入れたアレンジに修正していきました。

    ――サビはロー・ポジションでの細かい動きから、グリスで駆け上がってうねりを生み出す音域の広いプレイに移行しています。こういったアプローチは磯部さんらしいなと思いました。

     これはわりと自然にやっちゃってる部分ですね(笑)。何も考えずに本能的に出たフレーズなので、そこを言及してもらえるのは嬉しいです。ちなみにAメロ部分は和音を弾いてるんですけど、動きを出している部分は下の弦を押さえっぱなしにして弾いているんです。

    ――なんか重なってるな〜とは思っていたんですよね(笑)。

     うん、ベースでやってもあんまりわからないんだけど、“実は細かいことやってますよ”っていう(笑)。このフレーズはけっこう初期の段階から思いついていて、それこそ最初に4人で合わせたときからこの形ができあがっていましたね。

    「Rock The World」Music Video

    ――同じく疾走感溢れる「Baby’s Alright」ではAメロのウラ拍で遊びを入れたり、Bメロでギターと細かくユニゾンしたりと繊細なアレンジになっていますね。

     この曲はそれこそ4人でスタジオ・セッションしながら生まれた曲ですね。リフに対してユニゾンする場所、細かくベースで動く場所と、いろいろ考えてラインを構成していきました。

    ――あのユニゾンはかなり速いですよね。

     そうなんですよ。だから座ってると弾きやすいんですけど、俺はストラップが長いから立って弾くとすごく難しくて。ネックが縦になるから薬指が大変なことになるんです(笑)。Bメロのギターとのかけ合いは、“これをやったらおもしろいかも”ってスタジオで直感的に弾いたフレーズがそのまま採用になりました。それに対してまーくん(白井眞輝/g)があとからかけ合いを作ってくれたんです。

    ――ストラップを短くしようと思うこともあるんですか?(笑)

     ぶっちゃけ何回も思ったことありますよ。でももうこれは半ば意地ですね(笑)。

    ――「閃光」はビートに対してシンプルに音数を詰め込んでいて、疾走系の曲でもフレーズの方向性を変えている点に芸の細かさを感じます。

     この辺はもう感覚ですね。まず思うままに弾いてみて、そこからメンバーの意見を吸いあげてフレーズが変わっていくこともあります。これは経験だと思うんですけど、曲とかドラムを聴いた瞬間に、ベースを歪ませるか/ナチュラルで行くか、フレーズはシンプルか/動きを出すかっていうのをなんとなくその場でイメージできるんです。この曲のラインもそのイメージをもとに構成していきました。

    「閃光」Music Video

    ――今作のトピックとしては、「無心拍数」には亀田誠治さん、「クラッシュ」には根岸孝旨さんがアレンジャーとして参加している点です。どういったきっかけで参加することになったのですか?

     おふたりとも、ある程度曲ができた状態から参加していただきました。基本的に今作は4人のセッション形式で曲を作っていったんですけど、やっぱり新しい風が欲しくなるというか、俺らが思いつくアレンジのその向こうを見てみたくなったんです。俺らにはない違った角度からの意見を取り入れたいということで、おふたりに入っていただきました。まず「無心拍数」は亀田さんが合うだろうなっていうのは満場一致で、「クラッシュ」に関しては、洋平が根岸さんプロデュースの楽曲が好きだということもあって、“こんなカッコいいサウンドを作れる根岸さんとやりたい!”ということでお願いしました。おふたりに参加いただいたことで、アレンジやサウンド・メイキングの部分ですごくいいケミストリーが生まれたと思います。

    ――おふたりとも日本を代表するベーシストでもあるわけですが、ベーシストとして参考になった部分などはありましたか?

     根岸さんにはコード・トーンとか、音の使い方を参考にさせてもらったかな。でもおふたりともそこまでベーシストとしての側面を出してなかったですね。ベーシストというよりはプロデューサーとして総合的な意見をくれて、逆に“もうちょっとなんかないですか!?”って俺が思うくらいでした(笑)。もちろん質問や相談をしたら的確に答えてくれたりして、いちミュージシャンとして大いに参考にさせていただきました。

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