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INTERVIEW – 中村和彦[9mm Parabellum Bullet]
- Interview:Koji Kano
自分たちの理想に到達するまで、本当の意味でバンドは完成しないんだろうなって。
――「Spirit Explosion」は滝さんの趣味が溢れ出たような、今作唯一のインスト曲になりますが、ベースは支えることに徹した忠実なプレイを展開していますよね。あの派手なギター・フレーズを一番に際立たせることを考えた結果でしょうか?
実は滝さんからもらったデモの時点よりも、さらにフレーズを抜いてシンプルにしているんです(笑)。だからフレーズで遊ぶというよりは、グルーヴ感や一体感を重視した結果ですかね。僕らはベース・ラインに関しては、できあがったあとに“こういうフレーズにしてみました!”みたいに事後報告する流れが多いんです。何ていうか、特に何も言わくても“この感じで”っていうニュアンスが共有できているんですよね。
――今作のレコーディングで使用したベースについて教えてもらえますか?
ライヴでもメインで使っているESPのPJタイプのほかに、ESP AMAZE、あと“無題”っていうエドワーズの自分のシグネイチャー・モデルを改造したものですね。“無題”は本来MMタイプが1基載った1ハム・タイプなんですけど、フロントにPタイプのピックアップを取り付けています。まぁ実際にはほぼリアしか使わなかったですが(笑)。使い分けとして、ロー感を強調して太く鳴らしたい曲だとPJが多いですね。繊細にいきたい曲にはAMAZEを使うことが多いかな。改造したエドワーズのモデルは完全に変化球で、何にも似ていない音で録りたいってときに使っています。
――それら3本は全モデルともにアクティヴのモデルになりますよね。
うん、そうなんですけど、レコーディングだとけっこうパッシヴで弾くことも多いんですよ。音とは関係ありませんが、内蔵の電池を抜くと、アクティヴ・スイッチをオンにした際にキル・スイッチとして機能したりとか、そういう使い方もできます。
――リアンプの際はどういったアンプを使ったのですか?
基本的にはアンペグのSVTです。でも自宅レコーディングの際には、最近練習用で買ったアンペグのPF-500が活躍しました。これでリアンプ前にある程度音作りのアタリをつけたんですけど、そうしているうちに、“もうコレをそのまま持っていけばいいんじゃない?”ってなりまして。だからレコーディング後半の曲だとPF-500で音作りした楽曲が多いです。搭載されているコンプレッサーが優秀で、細かい設定はできないけど、ちょうどいい感じにまとまるんです。コレは重宝しましたね。
――SVTとPF-500だとパワーもキャラクターもけっこう違いますよね?
そうなんです。だからPF-500はプリアンプのみで、そこからSVTのリターンに挿れて、パワーアンプはSVTのものを使うようにしました。やっぱり810E(キャビネット)とSVTの相性ってすごく良いので、この方法だとチューブ感だったりとか、いいとこ取りができるんですよ。
――最後に、今作を振り返ってみてどのような作品になったか、所感を教えてください。
より洗練された最新の9mmを出せたと思うし、攻めるところはきっちり攻めるっていうメリハリが付けられたアルバムになったと思います。これまで9枚アルバムを作ってきたわけですけど、自分たちの理想に到達するまで、本当の意味でバンドは完成しないんだろうなって思うんです。僕は常に何かに向かっていく途中にいるというか、具体的なゴールがあるわけじゃなくて、やりたいことがいくつもあって、何かを成し遂げてもまだ自分はその途中にいるというか……だから今作でのベース・プレイも完成ではないし、その途中にいるイメージ。まだまだやりたいことはたくさんあるので、この先もそれにひとつずつ挑戦していきたいです。
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◎Profile
なかむら・かずひこ●1984年4月24日生まれ、宮城県出身。9mm Parabellum Bulletは2004年3月、横浜にて結成。2枚のミニ・アルバムをインディーズ・レーベルよりリリースしたのち、2007年に『Discommunication e.p.』にてメジャー・デビューを果たす。2009年には日本武道館、2011年には横浜アリーナでの単独公演を成功させている。2022年8月24日に9thアルバム『TIGHTROPE』をリリースし、9月9日からは全6公演のリリース・ツアー“Walk a Tightrope Tour 2022”を開催する。
◎Information
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