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ベースはキレイに弾くだけじゃないおもしろさがありますね。
━━世間的に、“ギターが弾けるならベースも弾けるでしょ”という誤解があるような気がするんですね。ベースを弾き始めて、特に苦労したことってありますか?
本当にそうですよね。ギターとは全然違うから、言ってしまえば全部なんですけど、なかでもピッキングですね。右手の動かし方というか。僕はそもそも左利きで、ギターは右利き用でやっていたんですけど、やっぱり左手のほうが器用なんです。ギターだと速いフレーズを弾いたりするときなんかは、ハンマリングとか左手を頑張ればいけたんですけど、ベースになると、右手を頑張らないといけないじゃないですか。ピックにしろ指にしろ、最初はそれが全然ついてこなくて。だから右手をすごく練習しましたね。
━━確かにベースって、究極を言うとルートを追うだけの動きなら、左手はそんなに大変じゃないですもんね。
そうなんですよ。それこそオクターヴ・フレーズとか、ギターであんな動きはしたことがなかったし。ピック弾きも、みんな、けっこう速い曲でもずっとダウンで弾いていたりして、よくあんな速さのダウンでずっといけるなって。
━━ギターとベースだと弦のテンションの違いもありますし。
そうそう。最初は逆に力が入りすぎて、すぐ疲れちゃうってことはあったし、ピックで弾くときの弦を当てる角度とかも、思っていた以上に違って、慣れるまでにだいぶ時間がかかりましたね。
━━今作の話ではないのですが、「きちゅねのよめいり」のライヴMVでは親指弾きを交えたオクターヴ弾きをしていましたね。
そうですね。アレ、実は単純に、当時はまだ普通の指弾きでオクターヴを弾けなかっただけなんですよ(笑)。ただ、ライヴでは弾かなきゃいけないので、そのときに一番キレイにオクターヴを鳴らせて、かつ暴れられる弾き方ってなんだろうって探したら、アレしかなかった。アレならまだギターでギリギリやっていましたし。それで、小指と薬指をボディに固定して、親指と人差指で弾いたんです。僕のなかではズルしてごめんなさいって思いながら(笑)。
━━そうなんですね(笑)。でも、YMOのときに細野晴臣さんもやっていた、由緒ある弾き方でもあるんですよね。
そうなんですね! 今では普通に指弾きでも弾けるんですけど、ライヴでは半分踊りながらジャンプしながら弾くので、やっぱりアレのほうが安定してミスがないので。これからは堂々と弾けますね(笑)。
━━「僕ノ旋律」はイントロなどでドリーム・シアター的プログレなアンサンブルの部分がありますが、ギターのキメには付き合わずにベースは別のリズムを弾いていますね。そして、曲の一番最後だけさらりとユニゾンするのがニクいです。
僕も命さんからデモが来たときに、すごいって思いました(笑)。それこそ命さんはドリーム・シアターとかも好きだと思うし、ああいう普通の曲にプログレみたいなテイストを入れるのがいいって言っていましたね。最後のユニゾンのところもですけど、逆にユニゾンじゃない部分のほうが難しかった。ずっとギターについていっているほうが、まだ覚えやすかったなって(笑)。
━━ジグザグの楽曲は、イントロやサビと平歌の雰囲気が大きく異なっているものも多いですよね。リズム的な展開も工夫があって、今作でいうと「Requiem」は1回目と2回目でリズムが違うAメロをはじめ、サビはスピード感のある感じだったり、間奏はブレイクダウンだったりとリズム・チェンジも激しいです。1曲を通して、どのようにリズムを感じていますか?
曲ごとには全然違う感じで考えていますけど、曲中で考え方を変えるっていうことはあんまりないですね。僕は基本的にはリズムをスネアで取るので、リズムが激しくなったときほど、よりスネアに集中して、むしろスネア以外は聴いていないくらいの感じで、自分のなかでリズムを作っています。
━━つまり、ウラのリズムを意識しているってことですか?
そうですね。そのほうが自分がやりやすいんです。
━━今、どんな部分にベースのおもしろさを感じていますか?
ニュアンスの部分であったり、バンド・サウンドのうしろにいるからこそ、ギター以上に弾く人によって曲の雰囲気が変わると思うんです。その人の色が強くなるというか。“このバンドってこういうイメージだよね”っていうときに、実はベースって大事なポジションだし、キレイに弾くだけじゃないおもしろさがありますね。
━━今後の展望は?
僕らのなかで無理をしないっていう信条があるので、楽しんでやっていけたらと思っています(笑)。いちベーシストとしては、ウチのヴォーカルとドラムは、誰が観ても派手ですごいことができるし、めちゃくちゃウマいプレイヤーなので、そこに追い付きたいっていうのはあります。でも逆に、一見シンプルで目立たないけど、実はちょっと変わったことをやっているみたいなベーシストでもありたいですね。
2022年1月19日発売のベース・マガジン2022年2月号にも龍矢のインタビューを掲載! BM webとは異なる内容でお届けします。
◎Profile
りゅうや●生誕日5月10日。中学2年のときにRADWIMPSやBUMP OF CHICKENの影響でギターを始める。その後、メタルコアやスクリーモに傾倒し、自身のバンドで活動。2016年に正式活動を開始した-真天地開闢集団- ジグザグに2018年にギタリストとして加入し、前ベーシストの脱退に伴って2019年1月にベースへと転向する。2022年1月5日に、3rdアルバム『慈愚挫愚 参 -夢幻-』とライヴ映像作品『慈愚挫愚 5周年記念禊〜ハキュナマタタ〜』を同時リリースし、3月からは全国ツアー『全国悪霊退治 -夢幻-』を開催する。
◎Information
-真天地開闢集団- ジグザグ
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