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INTERVIEW – 龍矢[-真天地開闢集団- ジグザグ]

  • Interview:Kengo Nakamura
  • Photo:Yu Kubo

ベーシストとして目覚め始めた新鋭のポテンシャル

ライヴを“禊”、観客を“参拝者”と呼称するなど、ミステリアスかつコンセプチュアルな世界観を持つ3ピース・バンド、-真天地開闢集団- ジグザグが第三完全音源集(3rdアルバム)『慈愚挫愚 参 -夢幻-』と禊映像集(Live Blu-ray)『慈愚挫愚 5周年記念禊~ハキュナマタタ~』を同時リリースした。圧倒的なヴォーカル力を擁する楽曲は、テクニカル要素も含んだラウドからポップまで振り幅の広さが注目で、一度耳にすると病みつきになる中毒性を備えている。ベーシストの龍矢は、実はもともと同バンドのギタリスト。パート・チェンジによってベーシストになってまだ3年というキャリアだが、その個性派サウンドを堅実に支えている。今回は、ベーシストとしての龍矢のプロフィールを中心に話を聞いたが、2022年1月19日発売のベース・マガジン2022年2月号では『慈愚挫愚 参 -夢幻-』でのプレイについてのインタビューを掲載している。そちらもあわせてチェックしてほしい

圧倒的なヴォーカルのいるバンドをやりたいと思っていたんです。

━━本誌初登場ということで、プロフィール的なことから聞かせてください。もともと龍矢さんはギタリストとして-真天地開闢集団-ジグザグ(以下、ジグザグ)に参加していましたが、ギターを始めたきっかけは?

 中学のときにRADWIMPSとBUMP OF CHICKENがめちゃくちゃ好きで、その影響で始めました。そのときにギターかベースかで迷ったんですよ。ベースもカッコいいなとは思ったんですけど、友達が少なかったので(笑)、ギターだったら弾き語りみたいなこともできるし、最悪ひとりでも楽しめるかなって(笑)。当時の僕のイメージでは、ベースってやっぱりバンドのなかでじゃないとできないのかなと思っていたんです。それが中学2年くらいのときですね。

━━その後ギタリストとしてはどんな活動を?

 自分でオリジナル曲を作ってバンドをやっていました。ギターを始めてからラウド系の音楽も好きになって、メタルコアとかエモ、スクリーモのバンドをやっていましたね。セイオシンがめちゃくちゃ好きで、そういったバンドをやりたいなと。

━━演奏技術的にわりとテクニカルな要素も求められるジャンルですよね。

 そうですね。ただ僕自身は、速弾きとかにはあまり興味がなかったというか、好きじゃなかったというのもあって、バッキングを刻むほうが好きでした。速弾き系というよりは、ジェントとかでよくある刻みながらフレーズを入れるみたいなことが好きで、そういったプレイをしていましたね。性格上、あんまり目立ちたがりでもなかったし、バンドではヴォーカルに目立ってほしいっていうのがあったので、自分で作る曲にはギター・ソロを入れたことはほとんどなかったくらいです。

━━ジグザグに参加したきっかけは?

 影丸(d)さんが大学の部活の先輩で、たまたま僕のバンドと影丸さんがサポートしていたバンドが対バンになったときに、“ジグザグがギタリストを探しているんだけど、オーディションを受けてみない?”って言われたんです。そのとき、僕がやっていたバンドは解散が決まっていたし、こんな機会もないなと思って、オーディションを受けることを決めました。

━━もともとジグザグ のことは知っていたんですか?

 そうですね。サポートでヴィジュアル系のイベントに出たことがあって、そのときのライヴがジグザグ主催のものでした。

━━音楽性はもちろん、バンドとしての見せ方も含めて、ジグザグのどういったところが魅力的でしたか?

 僕はバンドでは、ヴォーカルに一番目立ってほしいという考え方があるので、圧倒的なヴォーカルのいるバンドをやりたいと思っていたんです。でも、そんなヴォーカリストってそうそういなくて。あとは、当時は自分で曲も作っていましたけど、自分が通ってきたジャンル的に、ヴォーカルが曲を作っているバンドが好きだったんですね。あと、僕のなかではラウドやメタルコアをやっていたとして、Aメロ、Bメロは激しくてもサビは絶対にキレイなメロディじゃないとダメっていうのがあって、自分で作っていた曲もそういうものだったんです。ジグザグは命(vo,g)さんが曲を作っていて、最初に「愛シ貴女狂怪性」というジグザグの曲を送ってもらったんですけど、まさに僕がやりたい音楽そのもので、めちゃくちゃカッコよかった。これは絶対にやりたいなって思いました。

左から、龍矢、命(vo,g)、影丸(g)。
『慈愚挫愚 参 -夢幻-』
CRIMZON/CCR-043
『慈愚挫愚 5周年記念禊~ハキュナマタタ~』
CRIMZON/CXR-002

━━実際にバンドに入って、ギタリストとしての活動は思ったとおりでしたか?

 当時はギターが僕ひとりしかいなかったというのもあって、自然とリード・ギターを弾かないとダメで(笑)。その部分だけはちょっと、自分の個性を出すっていうよりは、ジグザグに合わせて頑張るみたいな感じでした。

━━そして前ベーシストの脱退に伴ってベースへと転向。葛藤はありませんでしたか?

 脱退した前のベーシストに、ベースを弾いてほしいって言われたんです。それからパート・チェンジのことを考え始めたんですけど、僕のなかでは4人のときからずっと、命さんにギター・ヴォーカルをやってほしいという思いがありました。それで、僕がベースになれば、自然と3ピースで命さんがギター・ヴォーカルになってキレイな形かなって。あとは何かのインタビューで、凛として時雨の345さんも元ギターで、バンドでメンバーを探すときに自分がベースになったほうが早いからベースになったっていうのを読んだ記憶があって。こういうことって、よくあることなのかなって(笑)。

━━いや、よくあることではないと思いますが(笑)。

 だから、“ギターが弾きたいのにな”っていう気持ち的な面での葛藤はあまりなかったですね。それよりも、なんせウチのヴォーカルとドラムはめちゃくちゃウマいわけで、さらに初心者に戻った状態の僕がついていけるのかなっていう葛藤はありました。

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