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INTERVIEW − 川上つよし[東京スカパラダイスオーケストラ]

  • Interview:Kengo Nakamura
  • Photo:Yuusuke Katsunaga

やっぱりしみじみと合奏って楽しいなと感じて。

━━冒頭で話にも出た『仮面ライダーセイバー』のエンディング・テーマ「仮面ライダーセイバー」も印象的です。やりたくても誰でもできるものじゃないですよね、“仮面ライダーのテーマ”って。

 そう、本当に光栄ですよ。特に僕らの世代はね。初代を知っていますから(笑)。この曲では途中にセリフがあるんですけど、あれ、僕なんです。今、ライヴでこの曲もやっているんですけど、しゃべりがキレイに収まらなくて次のリフに重なっているので、しゃべりながらリフを弾き始めるのにすっごく苦労しています(笑)。

━━こういった特撮やアニメのテーマってわかりやすいロック感があるものが定番じゃないですか。本曲もイントロのリフとかにはその感じもありますが、サビでの8ビートのルート弾きが、ハードロック的なべったりとしたものよりはちょっと粒が立っているようなニュアンスになっていて、そこにスカパラらしさを感じたんですよ。

 なるほど。そういう部分は無意識でやっていることだったりもするので、実は、逆に僕は不安なんですよ、これでいいのかなって。昔、坂本龍一さんが、“それぞれのメンバーのノリの違い、訛りが、バンドのオリジナリティになる”っておっしゃっていて、そういうことなのかもしれないですね。

━━『仮面ライダーセイバー』でいうと、主題歌になった「ALMIGHTY~仮面の約束 feat.川上洋平」も川上さんの作曲ですね。

 これは、モチーフは元からあったものなんですけど、『仮面ライダーセイバー』の曲になるというのと、川上洋平君が歌うって決まってからは、すごくそれを意識してみんなでアレンジしました。リズムのアレンジに関しては、[Alexandros]の「ワタリドリ」の“タンタスタ、タンタンタン”っていうリズムがありますけど、中南米のスカは、ああいうビートがすごく基本的なものなんですね。最近、スカパラは毎年のように中南米に行っていて、すごく影響を受けていたので、これがちょうど接点になるなと思って。3連のリズムの感じですよね。

「ALMIGHTY〜仮面の約束 feat.川上洋平」(Special Edit)Music Video

━━本作で川上さんが作曲したのが、ほかに「Salvation Ska」と「Together Again」です。それぞれどういうイメージで作った曲ですか?

 「Salvation Ska」は、今回は『SKA=ALMIGHTY』というアルバムのタイトルが表わすようにいろんなタイプの曲が入っていて、はっきり言って、“全然スカじゃないじゃん”って言われたら“確かに”っていう曲もひっくるめて、“これが、オールマイティなスカなんだぜ”っていうメッセージがあるんです。そんなアルバムの1曲目に、一番オリジナルな形のスカを入れようというところでしたね。

━━「Together Again」は、前曲「会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。 feat.長谷川白紙」からの流れで聴くと、ゆったりとしたグルーヴがめちゃくちゃ落ち着きますね(笑)。

 ははは(笑)。これはまさにステイホーム期間中にできたモチーフですね。コロナ禍になったときに最初に思ったのが、特に僕らが近いところにいた、パンク・ロック・シーンのことで。Hi-STANDARDから始まり、10-FEETとか、ああいうバンドのライヴでのお客さんがくんずほぐれずのぐちゃぐちゃなライヴっていうのが、実際、いまだにできませんよね。じゃあ、どういうライヴがいいのかなと思っていて。ソーシャル・ディスタンスを取っても体が揺れるような音楽ってあるよなっていうところで、テンポがゆっくりしているんだけど体が動くような曲を作りたいなっていうところでしたね。

━━中盤のピアノとの掛け合いになる全員ユニゾンや、曲終わりの全員ユニゾンは非常に楽しそうですね。

 これもやりたかったことで。コロナ禍のリハーサルもなかなかできない状態でこの曲を持って行ってバンドでアレンジするときに、やっぱりしみじみと合奏って楽しいなと感じて。その気持ちが注入されたアレンジになっていますね。一番最後の全員ユニゾンのフレーズは北原(雅彦/tb)さんが作ってくれたんですけど、すごくジャズ的なフレーズで、ベースやギターで弾くのは難しいんですよ。でもそれをみんなで一生懸命合わせているっていう感じが、なんかいいな、“Together Again”だなって。ちょっと弾けていないくらいの感じが良くて、今もライヴで3回に1回くらいしか完璧にできないですね(笑)。

━━合奏する楽しさって、バンドの原点ですよね。

 そうなんですよ。頭にあったのが、スティーヴィー・ワンダーの「愛するデューク」で、あれもすごく楽しさが伝わってくるじゃないですか。そういうのをやりたいなって。

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