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INTERVIEW – Natsuki[Luby Sparks]
- Interview:Shutaro Tsujimoto
- Photo(Live):kokoro
- Photo(Ampeg PF-500):Yoshitake Hamanaka
自分がリアルタイムで聴いていたものを
リバイバルできるタイミングが来た。
━━「Honey」はダンサブルなノリが出ていて、Luby Sparksの曲としてはこれまでになかったアプローチだと感じました。
嬉しいです。この曲はAメロは縦ノリで、サビ前のBメロはタメが効いた感じですけど、基本的にずっとハネてるんですよね。今までこういう曲ってなかったんですけど、The 1975とかに影響を受けて作りました。あと今まで自分が作ってきた曲ってベースが途切れるタイミングや隙間がなかったんですけど、この曲ではBメロでそういうところを作ったのが初めての試みでしたね。
━━The 1975がデビューして「Chocolate」がヒットしてっていうのが2013〜14年くらいだと思うのですが、「Honey」からはその時代のものがすでに“リバイバル”として鳴らされているのを感じました。今、世界的に90年代後半とか2000年代のリバイバルが流行っていますが、そのさらに先を行っているような新鮮な感覚だなと。
The 1975が出てきたときって自分は高校生とかだったので、もはや1stアルバムの曲とかって“青春の曲”みたいになっているところはありますよね。やっぱり80年代とか90年代の音楽とかにはすごく憧れがあるものの、ずっと“リアルタイムで通っていない音楽”のリバイバルが続いているっていう感じだったのが、最近はやっと自分がリアルタイムで聴いていたものをリバイバルできるタイミングが来たのかも、とは思ったりはしていますね。
━━一方「Callin’ You」は、それこそ2000年代のポップ・パンクのような空気をまとった曲です。ベース・フレーズはかなりメロディアスで、これもAメロでは少しハネていますね。
これもサッカー・マミーとかの影響ですかね。ベースに関しては、自分が好きなベース・アプローチのひとつとして、フレーズがつながっていて若干モタっている感じが好きなんですけど、そういうのが出ているかもしれないです。今作の全曲に対して言えるんですけど、今まで自分の作った曲ってベースとバッキング・ギターがほぼルートに沿っていて、そのうえにリード・ギターが乗ってるっていう形だったのが、今回はリードとバッキングの区別がわからないくらいにバッキング・ギターのほうを前に出す構造にしていて。それに伴って、間を持たせるためにベースが少し動いている場面は多いかもしれないですね。
━━「Closer」ではベースでのコード・プレイもしていますが、これはどこから発想したんですか?
「Closer」は唯一僕がリード・ヴォーカルを取ってる曲なんですけど、フェイリュアっていう90年代のUSのバンドがいて。そこのケン・アンドリュースっていうベーシストがコード弾きをしながら歌っているんです。この曲のプレイは、そういうところに影響されていますね。
━━さて、今作を完成させたLuby Sparksが次にどこに向かうかはすごく気になっています。前作EPの『(I’m) Lost in Sadness』でのバンド・イメージも、まるでデヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』に出てきそうな感じというか、4AD的な耽美なヴィジュアルとサウンドも素晴らしかったのですが、今作ではよりハイファイでパキッとしたバンド像を提示してくれました。
今回プロデュースをアンディに頼んだことも、根本には“パキッとした音にしたい”、“Erikaのメイン・ヴォーカル感を前面に出したい”というのがあって、ミックスの参考音源としてもアヴリル・ラヴィーンを送っていたり、そこはかなり意識的にやっています。メイン・ヴォーカルが変わって初のアルバムなので、新しいLuby Sparksの形を押し出していきたいと。タイトルも“探求と破壊”みたいな意味がありますしね。
━━ヘヴィなリフが目立つような楽曲も増えましたし、バンドとしての音楽性の幅が広がった作品とも言えると思います。
そうですね。今回は今までにないくらいポップな曲からヘヴィな曲、パワー・バラードみたいな曲まで、いろいろ試すことができたので、今後どこにでも転ぶことができるなと思っています。“Luby Sparksっぽさ“をいろんなものに変えられるようになったというか、今回のアルバムを出したことで、良い意味で何にも縛られなくなったんじゃないかなと。もっとヘヴィな曲も突き詰めてみたいし、逆にもっと打ち込みがあるような曲もやってみたいです。1本の軸というか、ストーリー性がちゃんとあれば、本当に何をやってもいいんじゃないかなと。
━━Luby Sparksはヴィジュアルの見せ方も含め、そこのアンテナとセンスが抜群だと思うので、これからの動きも本当に楽しみです。
ありがとうございます。“こういうのが流行ってるからちょっとやってみよう”みたいなことって、やっぱり音楽だけで取り組んでもあんまり説得力がないんですよね。その説得力を持たせるために、ヴィジュアル面とかファッションからしっかり組み立てていくことは大事なのかなと。今回のアルバムも前作からは変わってはいるけど、そこをちゃんとやっていれば納得してもらえるのかなと思っています。
━━最後に余談ではありますが、いろんな音楽をチェックしているNatsukiさんに、最近注目している海外ベーシストがいたら教えてもらいたいです。
ウルフ・アリスのテオ・エリスは好きですね。彼は弾き方やスタイルがとにかくカッコよくて、ベースの位置がかなり低めなところとか、レザー・ジャケットを着たまま演奏するところ、ソリッドなサウンドにも憧れます。テオのプレイはヘヴィなリフから淡々としたルート弾きまで、オルタナティブ・ロックのベース・ラインとして完璧だと思いますね。
◎Profile
なつき●5人組バンド、Luby Sparksのベーシスト/ヴォーカリストであり、作詞作曲も手がける。高校時代に母親の影響でベースを手にし、2016年3月に大学のブラック・ミュージック専門のサークルで出会ったメンバーとLuby Sparksを結成。2018年1月に1stアルバム『Luby Sparks』を、同年11月にEP『(I’m) Lost in Sadness』、2022年5月に2ndアルバム『Search+Destroy』をリリース。国内外のドリーム・ポップ/シューゲイザー・ファンから支持を集め、イギリスのインディ・ロック・バンド、ヤックとの自主企画ライブの共催や、ヴァクシーンズ、ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートなど多数の海外アーティストの来日公演のフロント・アクトも経験する。Luby Sparksのほかでは、ベーシストとしてLillies and Remainsの中国ツアーにもサポートとして参加している。
◎Information
Luby Sparks
Twitter Instagram
Natsuki
Twitter Instagram
◎Live
Luby Sparks Presents “Search + Destroy Live”
6月4日(土)に、初のワンマン・ライブ「Search + Destroy Live」がWWW Xにて開催決定。
出演:Luby Sparks
日付:2022年6月4日
開場/開演:17:00/18:00
会場:WWW X
詳細はこちらから。