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    INTERVIEW – KENJI[I Don’t Like Mondays.]

    • Interview:Zine Hagihara

    シンセ・ベースの曲だったとしても、
    フレーズ自体はエレキで弾いて考えている。

    ━━2020年8月の「モンスター」から5ヵ月連続でシングルの配信リリースを行なっていますが、これはどういったコンセプトのものなんですか?

     今、こういうご時世になってしまいましたが、僕らはツアーを2019年の9月から回って、そして緊急事態宣言が出る前の(2020年)2月にギリギリで終えられたんですよ。僕たちは次のアルバムを作るために楽曲を溜めていたし、リリースもするつもりだったんですけど、状況が変わってしまってレコーディングも思うように進められなくて。そのなかで少しでもファンのみんながワクワクすることができたらいいなという思いで、5ヵ月ぐらい連続でシングルをどんどん出したらおもしろいんじゃないか、と。

    ━━なるほど。

     今はサブスクなどの配信が主流になって、アルバム単位で聴くっていうことが少ないので、それは悲しい反面、それに対するマインド・セットをし直していかなきゃなっていう気持ちもあります。そういう意味では、1曲1曲を配信で出していくことによって、普段、アルバムの隅っこに追いやられてしまう曲も、ちゃんと曲ごとにフォーカスして届けることができるかもしれない。こういう状況だからこそより楽しんでもらえるんじゃないかなとも思ったんです。

    ━━8月にリリースされた「モンスター」は、ヘヴィなグルーヴの4つ打ちビートが気持ちいい楽曲ですね。

     もともとのコンセプトは、根幹にある80年代のダンス・ミュージックですね。それからCHOJIに“バッキングの音をこんな風にしたい”と、ベックの「Dreams」という曲をリファレンスに提案があって。歪ませているわけじゃないけどギターがかなり前に出ていて、80年代ダンス・ミュージックのブリっとしたシンベに、ドラムが今っぽい質感のダンス・ビートっていう組み合わせをミックスしていきましたね。だから、けっこう自分たちがやりたい方向のサウンドになっているかもしれないです。

    「モンスター 」(Audio)

    ━━ベースはシンベですが、エレキっぽいサウンドの質感を作っているのがおもしろい組み合わせですね。

     フレーズ自体はエレキで弾いて考えているんです。まだ鍵盤はこれからなので、フレーズは鍵盤で考えられる脳みそになっていないし、エレキで考えつつ、シンベを弾く人がどういう音色でやっているのかを研究して、エレキではできない音の選び方を取り入れていきましたね。

    ━━4つ打ちに対するフレーズは単調になりがちですが、ループ・フレーズのなかにシンコペーションを混ぜることで飽きさせない工夫をしているのが流石です。

     往年のシンプルで効果的なフレーズって世の中に出回っているじゃないですか。これ以上どういう新しいフレーズを作ったらいいの?って悩むこともあると思うんですけど、結局、往年のフレーズと近いニュアンスを出すことってすごく大事なんです。それが人の心を掴むわけですからね。そのなかで差別化をしていく必要はあると思うんです。それは音価だったり、ゴーストノートの入れ方だったりとか、少しのシンコペーションを足したりすることで、新しい感覚を加えることができる。それが僕のフレーズの特徴かもしれないですね。

    ━━9月にリリースした「MR.CLEVER」はハウス調の4つ打ちからトラップ・ビートまで、モダンなアレンジが耳を惹きますね。

     マインドとしては「モンスター」の真逆です。2020年にアイドラがこうあるべきだっていうのをちゃんと打ち出す曲なんです。この曲ではSTYさんっていう打ち込みのサウンドに定評のあるプロデューサーさんに合流してもらっていますね。

    「MR.CLEVER」MV

    ━━ベースとしては、シンベの曲ではありますが、かなりこだわりが詰まっていますね。Aメロではくぐもったサウンドで、トラップ部分ではそれらしいウーファー・サウンド、サビでは転じてスラップのフレーズというコントラストが映えています。

     短い3〜4分のなかで、どのように構築したらおもしろいかを考えたときに、この多角的な方面でフレーズやサウンドを構築する方向に結びつきました。この曲もフレーズは一度エレキで弾いているんですよ。それをSTYさんに渡して、何度かやりとりをして詰めていきました。やっぱりBメロのトラップ部分での、ヤオヤ(トラックメイク・マシンの名機、ローランド製TR-808のこと)でしか出せないシンベの感じはエレキじゃ再現不可能の帯域だし、楽曲を立体的にしてくれる。楽曲に必要な要素を考えて、それを大事にしていきましたね。

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