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    INTERVIEW – AKi

    • Interview:Fuyu-Shogun
    • Photo:hy

    ツアーを重ねてより自由度と深みが出ていけばいいなと思っています。

    ━━今作を含め、レコーディングではリアンプで行なうことが多いとのことでしたが、アンプはいろいろと試したんですか?

     今の形になるまではけっこう試しましたね。基本的にはアンペグの4発キャビを使っているんですけど、今回は8発の(SVT-)810で録ったり、ダークグラス(エレクトロニクス)のキャビで録ったり、EDENも使ったりとか。あとは何だっけな……思い出せないものも含めていろいろ試しまくっての今ですね。DIもそうですし、ヘッド・アンプもけっこう試しました。プリアンプだけアッシュダウンで、パワーアンプはアンペグを使って鳴らしたりとか。

    ━━研究熱心な部分も含め、アンプだけでも深いこだわりが感じられます。

     そうですね。でも最近のアンプもめっちゃいいんですよね。コンボ・タイプのやつとか。今はアンペグのRB-110が気になっています。試奏動画を観たんですけど、小っちゃくてもこんな良い音するんだって驚きました。“リアンプも全然コレでいけるじゃん!”と思いましたね。ってな感じでどんどん機材が増えていって(笑)。借りればいいんだろうけど、買っちゃうんですよ。レコーディングで使って、ダメだなと思ったらすぐ手放しちゃったり。機材の旅はうろちょろしてます。

    ━━ちゃんと試さないと気が済まないタイプなんですね(笑)。コレと決めたらまったく機材を変えない人もいるじゃないですか。

     一発でハマるものが見つかれば自分もそうだと思うんですよ。近年アンプに関しては、アンペグのヘッドと4発キャビで固まっています。気になるものは多々あれど(笑)。

    ━━サウンドメイクはベーシックなものがありつつも、曲によって細かく変えたりしますか?

     もちろん、変えるときもあります。基本的にはコンプと(Tech21製)サンズアンプ(ベース・ドライバーDI/プリアンプ)を通っていて、そこから微調整していきます。フレーズによってもそうですけど、特にテンポは気にしますね。テンポ感で音色のイメージも変わりますから。ハイミッドの出方とか、アタックとリリースの感じとか。

    ━━今作のレコーディングで使用したエフェクター類は?

     APIとLimetone Audioのコンプレッサーを使い分けました。以前は歪みとかいろいろ試しましたけど、今はコンプが一番大事ですね。昔はコンプって一体何が変わるのかがわからなかったんですよ、“スレッショルドとは?”って(笑)。そのなかで出会ったのがLimetoneのfocus。コンプのかかり具合を調整する1ノブ仕様なのでわかりやすくて。メーカーが定めたスレッショルド、リリース、アタックがもう数値としてあって、それでコンプ感をどう設定するかだけになっているんです。そこにゲインとレベルとちょっとしたEQがついていて。だから本当にわかりやすいんですよ。ここから“コンプってこういうふうに変わるんだな”と、勉強していきました。

    ━━コンプレッサーの重要性に気がついたと。

     最近は指のタッチにどうコンプがかかるかっていう、さらに深いところに行き出したんですけどね(笑)。かけすぎもまた違うので、絶妙な位置でセットしていく。最初にしっかり図太い音を作っておくと、そのあとはぶっちゃけ何でも良くなるっていうところもありますから。僕は飛び道具がいっぱいあるベーシストじゃないので、コンプからサンズアンプとイコライザーがつないであるだけです。イコライザーはいらないところを削ったり、ちょっと持ち上げたいときに使っています。

    ━━ライヴにおける音作りに関してはいかがでしょうか?

     ラインさえしっかりしていれば、最悪、アンプから音を出さなくてもライヴができる、みたいなところですね。ベースって、バンドのなかで会場の大きさの影響を一番受けると思うんですよ。やっぱりローが溜まるポイントが会場によって違ったりするので。会場の規模に合わせてその都度アンプで作っていくのもいいんですけど、それによって、自分の表現したいことがちょっとでも目減りするのが嫌だなと思うようになりまして。それ以降、ラインをメインに作って、アンプはあとから付いてこい、みたいな、そんな音作りでライヴをやるようになりました。だから極端な話、アンプがなくても理想の音がちゃんと鳴るシステムになっているんです。

    ━━現場での実践から行き着いたシステムということですね。

     自分は大小いろいろな会場でライヴをやるベーシストなので、ライヴハウスではちゃんと鳴らせても大きい会場では聴こえない、っていうのがやっぱり嫌なんですよ。そのために大切なことは、プレイにおけるタッチとコンプレッサーなのかなと。だからピック弾きと指弾きでコンプを分けてるんです。やっぱり弦にあたるレベルも速さも全然違いますからね。同じコンプでも同じようにはならないから、ピックと指、それぞれのセッティングを作っています。だからボードの中身はちょっと多いんですね。加えて5弦だとまた変わりますし……。

    ━━コンプレッサーにかなりのこだわりがあるんですね。

     今一番時間をかけて取り組んでいます。僕、そんな安全運転タイプじゃないんで、プレベをアンプ直で“バーン!”と鳴らして帰るのが本当はめっちゃ好きなんですよ。でもPA含めて武道館やそういうサイズでもしっかりベースが聴こえる環境を作っておかないといけない。今ですら、気になるコンプがいっぱいあって困りますね(笑)。

    ━━そういったこだわり抜いたAKiさんのベース・サウンドが生で聴けるツアー“AKi Tour 2024 『Free to Fly』”が始まりましたね(ファイナルは7月27日(土)東京・渋谷WWW)。

     ソロでは最初の1枚目からライヴを考えて作品を作ってきたんですけど、作れば作るほどライヴを意識して作るようになってきました。ツアーを重ねてより自由度と深みが出ていけばいいなと思っています。確かな手応えもありますし、音源よりももっと生っぽくなったらいいなと思いますね。

    【お知らせ】
    7月18日発売のベース・マガジン2024年8月号【SUMMER】にも、AKiのインタビューを掲載! 『Free to Fly』のコンセプトのほか、各収録曲についてなど、BM webとは違った内容でお届けします!

    AKi/明希(シド)の過去インタビューは以下から!

    ◎Profile
    あき●2003年にシドを結成。2008年11月にメジャー・デビュー記念ライヴを日本武道館にて開催したほか、2010年12月には東京ドーム単独公演を成功させるなど大きな人気を獲得する。シドは2022年3月23日に11thアルバム『海辺』をリリースした。2015年からはAKiとしてソロ活動も展開しており、2016年7月には台湾の大型野外フェスに出演するなど、精力的なライヴ活動も展開。2024年6月に、前作から約4年ぶりとなる3rdフル・アルバム『Free to Fly』をリリースした。

    ◎Information
    AKi Official HP X Instagram