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BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – 田中慧[yonawo]
- Interview:Shutaro Tsujimoto
情感豊かな詞世界を彩る
変幻自在なベース・アプローチ
マジでイカす新人=BADASS ROOKIEを紹介する本企画。BMイチ押しの新世代ベーシストとして、今回は情感豊かなヴォーカルとメロウ・グルーヴで支持を集める福岡出身の4人組バンドyonawoより田中慧が登場! 2017年の結成以来、1stフル・アルバム『明日は当然来ないでしょ』(2020年)、亀田誠治、冨田恵一(冨田ラボ)のプロデュースも経験した2作目『遙かいま』(2021年)とハイペースな活動を展開してきたyonawoは、早くも2022年11月に3rdフル・アルバム『yonawo house』をドロップ。作品ごとに着実な進化を見せてきた彼らは、今作でも“ネオソウル”の枠組みに収まらない普遍的なメロディ・センスや多彩なリズム・アプローチを研ぎ澄まし、さらなる飛躍を遂げている。ここでは田中に、そんな注目作『yonawo house』でのベース・プレイや使用機材について聞くとともに、音楽ルーツとなったアルバム3作品も挙げてもらった。
ベーシストとして入れてほしいと直談判しました。
――ベースはどんなきっかけで始めたのですか?
yonawoに入ることが決まってから始めました。初めてヴォーカルの荒谷(翔太)の弾き語りのヴォイスメモを聴かせてもらったときに声の良さと耳触りのいい詞に感銘を受けたんです。それで当時バンクーバーに留学していた彼に電話をつないでもらって、ベーシストとして入れてほしいと直談判しました。
――ベースを始めた頃はどのような練習をしていましたか?
始めたての頃に特にやっていたのは、メトロノームを使ってクロマチック・スケールを追う練習です。慣れてきたらメトロノームでウラを鳴らしながらフレーズを弾く練習などをしていました。
――影響を受けたバンドやベーシストについて教えてください。
アークティック・モンキーズが高校生の頃からとても好きで、ベースを弾き始めてからも彼らの曲をたくさんコピーしました。ニック・オマリーの人懐っこくて的確にツボを押さえてくるようなプレイには少なからず影響を受けている気がします。
――yonawoはどういった音楽性を目指しているバンドだと言えますか?
まだ明確に定まってない感はありますが、荒谷の詞と歌唱の魅力をより多くのリスナーに届けられたらと思っています。
――ベース・ラインを作るうえで意識していることはありますか?
ベースは歌とリズムの仲介役だと思っているので、ほかの楽器との兼ね合いや、なるべく詞の感情や情景に寄り添ったフレーズを当てはめるようにはしています。
――前作アルバム収録の「闇燦燦」は亀田誠治さんプロデュースの楽曲ですが、亀田さんとの制作からベーシストとして得たものはありますか?
亀田さんの考えたベース・ラインを“こんな感じですか?”と目の前で弾いて見せた際に、同じフレーズでも亀田さんと自分では押さえるポジションやアプローチに違いがあって、そこで自分のベース・プレイのクセを客観的に捉えることができたのはいい経験でした。
――今作『Yonawo House』の制作はいつから始まったのですか?
2022年の春頃だったと思います。
――アルバムに先行してリリースされた「tokyo feat. 鈴木真海子, Skaai」はyonawoと同世代のラッパー2名をフィーチャリングし話題となった楽曲ですが、ベース・アプローチにおいてはどんなことを意識しましたか?
ギターの斉藤(雄哉)が打ち込んだ少しうしろによれたリズムのビート感を損なわないように重たく弾くことを意識していましたね。
――間奏部分(2:50〜)では、音階をアップ&ダウンするようなフレーズでベースがすごく前に出てくるのも印象的です。
あの部分は斉藤が考案したものなんです。あのソロで自分が考えたのはプリングで降りる部分だけですね。自分ひとりだったら絶対にあんなプレイは出てこないと思います(笑)。
――「After Party」はゴーストノートの効いた、グルーヴィなプレイが光る楽曲ですが、どのようなプレイを目指しましたか?
ほかのyonawoの楽曲ではあまりないようなタテに揺れたくなるようなノリを生み出せるように意識しました。
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