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    BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – フジイタクミ[マルシィ]

    • Interview:Kimiya Mizuo

    楽曲に感情を吹き込む
    美しい旋律に潜んだルーツと信条

    マジでイカす新人=BADASS ROOKIEを紹介する本企画。BMイチ押しの新世代ベーシストとして、今回はマルシィのフジイタクミが登場! マルシィは2018年に結成された、フジイタクミ(b)、吉田右京(vo,g)、shuji(g)、による3人組ロック・バンド。昨年 4 月 に配信リリースされた「未来図」が、TikTok 再生回数が1億再生を突破、ストリーミング再生回数も4,000万再生を超えるなど、令和を代表するカップルソングとしてロングヒットを続けている、今注目のバンドだ。ここでは現在バイラル・ヒットを記録している「ラブソング」をはじめ、気持ちの高ぶりや忘れられない恋といった“心の内側”を爽快なロックに昇華しストレートに伝える彼らの魅力が存分に詰まった2ndアルバム『Candle』でのベース・プレイや使用機材について聞くとともに、音楽ルーツとなったアルバム3作品も挙げてもらった。

    少しでも心を委ねられる楽曲になれば。

    ━━まずはベースを始めたきっかけからを教えてください。

     X(X JAPAN)を聴いて衝撃を受けて、その後しばらくして自分もバンドがやりたいと思い立ち、楽器を手に取りました。家にギターがあったので最初はタブ譜を読みながらギターを弾いてみましたが、押さえ方がよくわからずリタイアし、ベースを始めることになります。

    ━━始めてからは、どのような練習をしてきましたか?

     好きな曲をコピーしたり、好きな音楽の系統が似てる仲間と一緒にコピーバンドをしたりして楽しみながら練習をしてました。最初のほうはXやLUNA SEAをコピーすることが多かったですね。そこで培ったであろうロック的な要素を持ちつつ、今はいろんなジャンルに対応するべく、ファンクなどブラック・ミュージック的な要素、それに伴いスラップの技術などを先生に習いながら習得しています。

    ━━影響を受けたバンドやベーシストを挙げるとすると?

     プレイ面においては好きな音楽に出会うたびにその都度影響を受けていますね。ただ、原体験的なところで言うと、初めて耳に飛び込んできたベースがTAIJIさんのプレイなので、X時代のTAIJIさんの影響が強いと思います。バンドのなかでひとりのプレイヤーとして独立した色を放っている様は、タクミ少年の目と耳に衝撃を与えてくれました。

    ━━TAIJIさんのどんなところに特に影響を受けましたか?

     TAIJIさんの、激しく心揺さぶられるアンサンブルを支えつつも随所で出てくるキラリと光るメロディアスなベース・ラインは本当に天下一品だと思います。あとXのテレビ初出演と思われる映像がネット上にあって、撮影スタジオでMCとお話をする形式なのですが、Xのみなさんはもうお酒が入った状態で、特にTAIJIさんはベロンベロンでMCの方に絡んだりと破茶滅茶な訳ですよ。そんな自由な姿にも衝撃を受けましたね。

    ━━バンド加入の経緯について教えてください。

     吉田右京(vo,g)と自分の共通の友人がいまして、ある日その友人から“バンドをやりたいって人がおるんやけど、タクミってベースやっちょったよね?”と連絡があり知り合うところが始まりで、右京から弾き語りの曲が送られてきたのですが、その曲がその後バンドでリリースすることになる「Drama」でした。ここまでで語ってきた音楽とは毛色がまったく違うものではありますが、ハートにくる素晴らしい楽曲という意味では共通してましたから、すぐに“こちらこそよろしくお願いします!”と連絡しました。

    『Candle』
    ユニバーサル
    UMCK-1759

    ━━マルシィはどういった音楽性を目指しているバンドだと言えますか?

     メンバー各々思うことはあると思いますが、個人的にはマルシィの楽曲は大切な人、または大切だった人や思い出をより強く思わせてくれる音楽だと思っています。前者は、その人との長い日々のなかでどうしても忘れがちな大切な気持ちを、楽曲を耳にすることで“好きだ”“大切にしたい”と再認識させてくれるなと。後者は、後悔や悲しさに楽曲が寄り添い、その心情を歌い、傷ついた気持ちを歌う代弁者的な形で聴く人の支えになっているのかなと。そのほかにも恋が実らない曲だったり、背中を押してくれる曲などありますが、共通して言えるのは“少しでも心を委ねられる楽曲になればいいな”と思っていることで、目指す音楽性も変わらずそこだと思います。

    左からフジイタクミ、吉田右京(vo,g)、shuji(g)。

    ━━バンドでのベースの立ち位置をどのように捉えていますか?

     まず第一にマルシィは歌詞が良いと思っているので、その世界観を演出する背景のようなものだと思っています。例えば、歌詞の主人公が感情的になればベースもウネり、歌詞の物語の舞台が夏ならハジけるプレイをするといったような感じです。

    ━━バンドの曲作りはどのように進みますか? またベース・ラインはどのように作っていますか?

     右京の弾き語りからスタートで、スタジオで“せぇの”で弾いてみたり、DAWで試行錯誤したりと制作方法はいろいろですね。どのパターンにおいても全体の流れのなかでドラムのアレンジが最初に決まり、それに沿ってほぼ同時進行でギターとベースが加わっていく感じが多いとは思います。なのでフィルを入れる場所はギターのフレージングを見つつ、空気を読みながらって感じです(笑)。

    ━━メイン・ベースとの出会いについて教えてください。

     メイン・ベースはフェンダー・カスタムショップの1964ジャズ・ベースを使用しています。昨年のツアー『マルシィ one man live tour 2022 “Memory”』前に、メジャー・デビューを経て初の全国ツアーを控えていたタイミングでもあったので、気合いを入れて購入しました。

    ━━ほかにはどんなベースを所有していますか?

     フェンダー・アメリカン・スタンダードのジャズ・ベースです。マルシィ結成を機に購入しました。それまではKillerのKB-Impulssを使用していて、現在メインで使用しているカスタムショップの1964ジャズ・ベースを手にするまでメイン・ベースとして使用していました。今は「アリカ」を演奏するためのドロップ・チューニング用ベースです。パッシブのジャズべらしい馴染みの良いサウンドですね。それともう一本、最近アーニーボール・ミュージックマンのスティングレイを購入しました。今のところマルシィにおいては出番はないですが、やはりスティングレイは楽しいです。バッキバキで遊んでいます。

    フェンダー・カスタムショップの1964ジャズ・ベース。“ライヴでもレコーディングでも基本的にはこれ1本の本妻ベースです。 ピッキング具合でパキッとも鳴るし、ぶっとい音も出る非常にベースらしいベースです”。
    • 左がフェンダー・アメリカン・スタンダードのジャズ・ベース

    ━━2ndフル・アルバム『Candle』は、どんな作品になったと振り返っていますか?

     今までのマルシィとは違うことをやっていこうという話を前作『Memory』を作り終えた時点でしていて、その意識が形になったアルバムだと思います。「恋焦がれて」でのよりロック調な感じや「アリカ」での打ち込みのビートが土台になっているところなどがその例ですね。

    「アリカ」(Official Music Video)

    ━━レコーディングではどの曲でどのベースを使いましたか?

     ほぼすべての楽曲でメイン・ベースであるFender Custom Shop Jazz Bass 1964を弾いています。アンプ・ヘッドはマークベースのLittle Mark Tube 800、キャビネットはマークベースのStandard 104HF、エフェクターはアルビットのA1992B pro、DIにテレフンケンのTDA-1を使用しました。

    • マークベース/Little MarkTube 800(アンプ・ヘッド)、同Standard 104HF(キャビネット)
    上段が右から、フリーザトーン製JB-21(ジャンクション・ボックス)、Limetone Audio製Focus alumite color(コンプレッサー)、アルビット製A1992B pro(プリアンプ)、プロビデンス製ABC-1(コーラス)、Vivie製DolphinDeverb(リヴァーヴ)、ボス製TU-3(チューナー)、VITAL AUDIO製POWER CARRIER VA-08 MKII(パワー・サプライ)。下段右から、pandaMidi Solutions製Future Impact V3(ベース・シンセ)、ボス製BB-1X(プリアンプ)、ボス製ODB-3(オーバードライブ)、ボス製ES-5(スイッチャー)。

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