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【第4回】クリックは友達! 依存をやめよう/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

BASS MAGAZINE Webの『石村順の低音よろず相談所 ~Jun’s Bass Clinic~』、第4回です。

今回は

“クリックに対する意識の持ち方”と“具体的な使い方”

について話します。

クリックは道具なので、正しく使えば効果的ですが、使い方を間違うと逆効果です。

その説明に入る前に、まず“クリックに対する意識の持ち方”の話をします。

クリックとの関係は人間関係に似ています。

人間関係のなかで、

“相手に合わせてばかり”

“相手の出方を伺ってばかり”

っていうのは

“一方的に依存した関係”

です。これでは人として成長できません。

自分の意見をはっきり主張して、相手の意見にも耳を傾け、違いを認めつつ調整して合意を目指す、という対等な人間関係のほうが建設的ですよね。

クリックとの関係も同じです。

“クリックに合わせよう”っていう受け身の姿勢で弾いてばかりいては成長できません。その姿勢が染みついてしまうと、バンドでも“ドラムに合わせよう”と、ドラム頼りになってしまいます。

結果的に、

“ドラムがヨレたらベースもヨレる”

“ドラムがいないとヨレヨレ”

これじゃダメです。

ベースはアンサンブルの土台です。“リズムを提示する側”なので、誰かに合わせていてはいけないのです。 自分で責任を持ってリズムを提示する、そしてベースだけでグルーヴすることが大事ドラムに“合わせていく”のではなく、ベースもドラムもそれぞれ責任を持ってリズムを提示する。そのうえでずれていたら微調整するのです。

これは、クリック相手のリズム練でも同じです。

もちろん、まだクリックにうまく合わせられないっていう段階の人は、クリックに合わせる意識で練習してください。子供が大人を頼るように、この段階ではそれも大事。ただ、いつまでもそれではいけない。

というわけで、今回のテーマは“クリックは友達! 依存をやめよう”です。リズムに対する責任感を養うために、“クリックに頼れない状況”を作って練習します。

例えば【譜面1】のフレーズ。

【譜面1】

【譜面2】のように4分音符でクリックを鳴らして練習する人が多いです。

【譜面2】

クリックを普通に4分音符で鳴らして弾くと、ちょっとヨレてもギリギリ崩壊せず続けられます。何もしなくても、クリックの4分音符だけでリズムが成立しているので、ついつい頼ってしまいます。自分が何もしなくても、誰が聴いても1、2、3、4が提示されていますからね。これは、例えば補助輪付きの自転車に乗っているのに、バランスが取れた気になっているようなものです。転ばないので、いつまで経っても上達しません。

以上の点を踏まえたうえで今回提案する、リズム感向上に効果的なクリックの使い方の基本は、

1拍目のオモテに鳴らさない”です。

補助輪を外せっていうことですね。4拍全部を鳴らすときのように、全面的にクリックに頼れないので、リズムに対する責任感が鍛えられます。

一番基本的な使い方は【譜面3】のように、クリックを半分のテンポで鳴らして、2拍目4拍目のオモテとして聴く方法です。この場合、1拍目は自分で提示しなければいけません。

【譜面3】

そもそもクリックを2拍目4拍目で感じるのは難しいっていう人もいます。

でも大丈夫、簡単です。クリックを鳴らして1、2、3、4とカウントするのはそんなに難しくないと思います【譜面4】。

【譜面4】

このやり方で数字だけ変えてみましょう。1からカウントするのではなく、2、3、4、1というように、2からカウントするのです【譜面5】。

【譜面5】

それに慣れたら、1だけを強く言います。すると1、2、3、4になります【譜面5、6】。

【譜面5、6】

苦手な人はこのやり方でまずカウントに慣れてください。

では実際に弾いてみましょう。

この鳴らし方でヨレると、簡単に崩壊します。だから自分でしっかりリズムを感じる&提示する。

クリックを2拍目4拍目として感じる基本の使い方。いろいろ応用できますが、まずはこれを練習に取り入れてください。

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ではまた次回、石村順でした。

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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