NOTES

UP

【第137回】モタる癖を克服するエクササイズ 第3弾 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

モタりがちな人のモタらない対策、第3弾です!

演奏中に自分がモタっているのがわかる、という人はともかく、モタりがちな人の多くは、演奏中はジャストで弾けているつもりなのに実際はモタってしまっているのではないでしょうか? そういう人は、次のふたつのポイントに注意してリズム練習をしてみてください。

①自分の主観を信じない

たとえば、ライヴ中は「めっちゃいい感じでグルーヴしてる!」という印象だったのに、あとで録音を聴いたらリズムがダメだった、という経験をした人は多いと思います。これはつまり、演奏中の主観的な印象が客観的な印象とズレている、ということです。

ライヴの場合は、緊張したり興奮したりして判断力や心拍数が普段とは違ってしまっているのが原因でそうなる、とも言えます。でも、ライヴに限らず、たとえば普段の練習でも常にモタりがちという場合は、緊張や興奮とは関係なく“主観と客観のズレ”が起きているわけです。

言い換えれば、“演奏中のジャストの感覚”がズレているわけです。もし感覚がズレているなら、その感覚を基準に演奏したら演奏もズレるわけです。その場合、まず、“現段階の自分の演奏中の感覚を信じない”というフェーズをいったん通過したほうが良いと思います。「自分の感覚を信じるな」と言うと誤解や反発を招きそうですが、もちろんこれは一時的に通過する段階に過ぎなくて、“ジャストの感覚”を基準に弾けばジャストで演奏できる、というレベルに成長できたなら、当然その感覚を信じればいいのです。

ということで、“演奏中のジャストの感覚”がズレているのなら、それを修正していきましょう。とはいえ、「よし、感覚を修正しよう」と思っただけでは感覚は変わりません。リズム練全般に言えることですが、リズム感の成長を自覚できるまでにはそこそこ時間がかかるので、毎日根気よく練習を続ける必要があります。

②ジャストの感覚を修正する

ではジャストの感覚を修正するにはどう言う練習をすれば良いでしょう? 前回・前々回にやったリズムの精度を高めるエクササイズもとても効果的です。あのエクササイズは厳密なアプローチでしたが、今回紹介するのはどちらかと言うと感覚的なアプローチで、“自分が思うジャスト”よりも少し前めで弾くという練習です。

これは、必ず録音して、その場で確認しましょう。

まずは、これまでもやった【ex.1】のようなシンプルなフレーズで取り組みます。

モタりがちな人は、“自分が思うジャスト”よりも少し前めで演奏すると、最初のうちは気持ち悪く感じるかもしれません。そして、録音して確認すると、実際はまだまだモタっていたり、逆にジャストを通り越してツッコミ気味になってしまっていたり、ヨレていたりすると思います。“自分が思うジャストよりも少し前め”をいろんなバージョンで試して、録音して確認して、どのへんで弾くと実際にジャストになるのか研究してください。“実際にジャストになるタイミングの感覚”を見つけたら、その感覚をよく覚えて、あとはひたすらそのポイントに合わせて演奏することに慣れていきましょう。

最初のうちはこういうシンプルなフレーズで練習するのが良いですが、慣れてきたら普段自分が弾いているフレーズでも取り組んでください。毎日コツコツと取り組んで、モタる癖を克服していきましょう。石村順でした!

書籍版『石村順の低音よろず相談所』はこちらから!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
HP Twitter facebook Instagram