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    【第129回】丸暗記から脱却! コード進行はこうやって覚えよう 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    コード進行を覚えるときは、C、Dm、G7といったコード・ネームをただ丸暗記するのではなく、

    ① キーを把握する
    ② トニック(キーの中心コード)との相対関係でコード進行を把握する

    という覚え方をお勧めします。
    それはいくつかメリットがあるからです。

    ① コード進行の構造がわかる
    ② だから覚えやすい
    ③ 移調・転調もしやすい 

    この覚え方を身につけるために、ローマ数字分析という和音の分析方法が役立ちます。トニックをI(ローマ数字の1)として、それ以外のコードをトニックからの度数で(ローマ数字で)把握するやり方です。ひとつのキー(調)に縛られることなく、和音どうしの関係を把握できます。

    Cメジャーのキーを例に見てみましょう。まず、Cメジャー・スケールの構成音はこうなっています。

    いろいろな種類のスケールがありますが、それらの違いは構造の違いです。メジャー・スケールの構造を、隣り合うそれぞれの音の音程関係で見ると、<全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音>という構造になっています。

    メジャー・スケールの構造を、1音目を基準として1度と呼び、それ以外の音を1度からの度数で見るとこうなります。

    メジャー・スケールは、ダイアトニック・スケール(全音階)という7音音階の1種ですが、ダイアトニック・スケールのそれぞれの音の上にスケールの構成音だけを積み重ねて作った和音を、ダイアトニック・コードと呼びます。Cメジャー・スケールのダイアトニック・コードはこうなっています。

    このダイアトニック・コードを、CをI(1度)として、それ以外の音も本来のクラシック音楽での分析の仕方の、

    ・メジャーの和音は大文字のローマ数字
    ・マイナーの和音は小文字のローマ数字

    などのルールに従って書くと、こうなります。

    ただ、個人的にこの書き方はわかりづらくて、ロックやジャズなどのポピュラー音楽を分析する場合は、

    ・度数はすべて大文字のローマ数字
    ・メジャーやマイナーなどのコード・クオリティーは普通のコード・ネームの書き方

    という書き方がわかりやすいと思います。(これはバークリーの分析方法だという情報もありますが、調べた限りでは定かではなかったので、ここでは仮に“ローマ数字+コード分析”と呼んでおきます。実際にバークリーに通われていた方、教えてください)。このやり方で分析すると、下記のようになります。

    こうすることで、コードの意味合い・位置づけがわかります。たとえばキーがCなら、Cというコードはトニック(I)という位置づけですが、たとえば、GメジャーのキーでもCは出てきますね。

    “CはC、いつでも同じだろ”と思うかもしれませんが、Gメジャーのキーの場合は、Cは完全4度(IV)です。同様に、キーが Cの場合のGは5度(V)でしたが、キーがGの場合はトニック(I)だし、キーがCの場合のAmは6度(VIm)でしたが、キーがGの場合は2度(IIm)です。

    同じCのコードでも、キーがCの時とGの時では意味合いが変わるので、弾く内容やコードが動く方向性も変わってくるんですね。一覧表にまとめるとこうなります。

    慣れないうちは、丸暗記するより分析するほうが時間も手間もかかりますが、慣れてしまえばいちいち分析しなくてもわかるようになります。僕は常にキーと度数をイメージして演奏していますが、曲の構造が理解できるし、コード進行を覚えるのも楽です。そうなるためには、日頃からいろいろな曲を分析する習慣を身につけましょう。石村順でした! 

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    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

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