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簡単なのに9割の人が使っていない練習ツール

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簡単なのに9割の人が使っていない練習ツールとは?【石村順の低音よろず相談所】第160回

  • Text:Jun Ishimura

“約3分”でベース上達にまつわるさまざまなトピックを解説するYouTube動画連動の連載『石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜』。第160回は、「簡単なのに9割の人が使っていない練習ツール」について。


“やるべき練習”を忘れたり、後回しにしていませんか?

ベーシスト、そしてミュージシャンの皆さん。限られた練習時間で効率よく上達したいですよね。

今回は、「練習してるのになかなか上達しない」と悩んでいる人に、“練習効率を劇的にアップする裏技”をお伝えします。

「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ……」と分かってはいても、いざ練習を始めると「そのときに気になったこと」ばかりやって、本当にやるべき練習を忘れたり、お気に入りのフレーズばかり弾いて、苦手な部分を置き去りにしたりしてませんか?

よくあることです。なぜなら、課題はたくさんある一方で、マルチタスクは簡単ではないからです。また、意識しないとすぐに“ラクな方”や“楽しいほう”へ流れがちだからです。だから、“やるべき練習”を忘れたり、後回しにしてしまうんですね。

これが、あなたの貴重な練習時間のタイパを下げている大きな原因です。

この落とし穴から抜け出すために有効なのが、「たった1枚のA4用紙」を使った超アナログな方法です。誰でも、今すぐできます。

やり方は超簡単です。A4の紙の左側3分の1くらいに、今の自分が取り組むべき課題や注意点を箇条書きでズラッとリストアップしてください

例えば、

・右手、力んでいないか?
・左手のフォーム(手首・肘)
・「曲名」イントロの音価 短くならないように
・Bメロ2小節め3拍目ウラ、モタらないように

などのように、具体的な内容を書きます。

簡単なのに9割の人が使っていない練習ツール、リスト記入例
リストアップの例

そして、その紙をクリアファイルに入れます。練習中に、これを譜面や教則本やタブレットのうしろに差し込んで、リストが常に見えるように左側を出しておきます。

譜面や教則本のうしろに差し込む

これだけです。簡単ですよね?

つまり、“自分専用のチートシート”であり“To Do リスト”を作るわけです。

「なんだ、そんなことか、自分はやらなくていいや」と拍子抜けした人も多いと思います。実際、いろんな人にこれを勧めてきましたが、実践している人は少ないです。でも、上達が遅い人こそ、自分の記憶力とマルチタスク能力を過信しないほうがいいと思います。

また、「話はわかるけど、それはスマホのメモ・アプリを使えばいいだろう」と思った人もいるでしょう。スマホにメモを取るのは良いのですが、ただ、スマホで音源やメトロノームを鳴らしたり、録画したりしてると、操作をする度にメモの画面は消えますよね。

この裏技の肝は、“紙に書いて常に視界の端に常駐させておく”ことなんです。どの練習をしていても、常に「自分の課題の一覧」を思い出させてくれるので、自分の「サボり癖」や「忘れっぽさ」を矯正してくれる最強のパートナーになります。

本当に上達したいなら、この「紙1枚の裏技」、騙されたと思って今日から始めてください。練習の効率がグッと上がります。

ただ、ひとつ大事なポイントがあります。この裏技が有効になるのは、「何が課題か」「その課題に取り組む練習方法」「その練習で気をつけるべきポイント」といったことがわかっていることが大前提です。

そもそも何が課題かわからない、どう練習したらいいかわからない、という人は、良い先生を見つけて習ってください。お金はかかります。でも、お金は稼げば戻って来るけど、時間は戻って来ないです。タイパの良さを突き詰めるなら、良い先生から学ぶのが一番です。

そのうえで、先生が教えてくれた内容や自分で気がついたポイントを忘れないように、このチートシート兼 To Do リストに書き込んでください。毎日、練習するときに必ず何度も読み返して、「そうだった、これにも取り組まなきゃ!」「このポイントを忘れてた!」と思い出して、実際に取り組む。そういう習慣を身につければ、この1枚の紙が、いわば“先生の分身”として毎日自分を導いてくれます。

多くの人がやらないからこそ、この簡単な裏技で上達スピードを加速させて、さっさとレベルアップしていきましょう!

石村順でした!

▼ 今回の動画はこちら ▼

【石村順の低音よろず相談所】第160回

◎書籍版『石村順の低音よろず相談所』はこちらから!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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