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    メジャー系スケール入門|ペンタトニック/イオニアン/リディアン/ミクソリディアン【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】第46回

    • Text:Makoto Kawabe

    この連載では、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。今回のテーマは、“メジャー系スケール”です。

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    はじめに

    ベースを弾くようになると、興味があるなしに関わらず“スケール”という文字列を見る機会が増えるかと思います。なにやら音楽理論系の用語で、演奏に不可欠な情報らしいということは理解しつつも、せっかく趣味で始めたベースなのに“お勉強”はしたくない!という拒絶反応を示すビギナーも多いように感じます。

    もちろん、ベースを弾く上でスケールはとても役に立つ知識です。ただ初期段階では“どう使うか”まで難しく考えなくても大丈夫。まずは“練習素材のひとつ”くらいの感覚で触れていけばOKです。何はともあれ覚えておきましょう!

    ということで、どうしてもスケールが覚えられないビギナーさんに向けて、ちょっとしたネタや覚えるためのヒントを散りばめつつ、今回はメジャー系のスケールを紹介しておきます!

    スケールとは?

    “スケール(音階)”については当連載「第12回:スケールって何? どう使う? 〜スケール基本篇〜」を読んでいただきたいところですが、今回はむしろそういった詳細なテキストを読むのが苦手な方に向けて書いてる面もあるので、今回はざっくりと(笑)。

    とりあえずスケールは“音”を低い音程、もしくは高い音程から1オクターヴの範囲で並べたもので、並べ方の違いでスケールの呼び名が変わると覚えておいてください。あ、いまかなり大事なこと書きました。そう、並べ方を変えると違う名前のスケールになるんです。

    音は1オクターヴで12音あるので、その並べ方(いくつ並べるか、どう並べるか)は何百通りも考えられますが、筆者的にはポップスやロックを演奏する上では主要な20種類ほどのスケールを覚えていれば充分かなと思います。それでも20種類かー、と思うことなかれ。スケールはいくつかのグループに分類できますし、グループ内のちょっとした違いや特徴を見出せると覚えやすいのです。

    メジャー・スケール

    スケールの一丁目一番地はメジャー・スケールです。基準となる音(主音)から高い方へ全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音(全全半全全全半)というインターバルで並べた7音で構成されるスケールで、最初の基準の音を“ド”として相対的に各音をドレミファソラシと割り当てるのが日本で一般的に使われている階名ですね。

    メジャー・スケール

    何度も書いている “ドレミファソラシ”は日本では音名でも階名でも用いられるのがややこしいところですが、ベースはコードに対するアプローチが多い楽器でもあるので、ベースを弾く上では音名はアルファベット、階名はドレミファソラシドと使い分けるのが実用的かと思います。

    Cの音からドレミファソラシ(つまりC,D,E,F,G、A,B)と並べるとCメジャー・スケール、Dの音からドレミファソラシド(つまりD,E,F#,G、A,B、C#)と並べるとDメジャー・スケールです。ピアノの鍵盤は白と黒に塗り分けられていますが、Cの音から白い鍵盤だけを弾くと自動的にドレミファソラシドとなりますね。つまり、ピアノはCメジャー・スケール、言い換えるとキーがCメジャー(ハ長調)の楽曲が簡単に弾けるようにできている楽器ともいえますね。

    メジャー・スケールを覚える

    というわけで、メジャー・スケール。目と耳で覚えましょう。そのためにもまずは各弦のチューニングをしっかりと合わせて耳から入る情報を統一しましょう。

    最初にメジャー・スケールの概念を同一弦上で確認してみましょう。ロー・ポジションの任意の音を選び、そこから同じ弦上で2フレット上,2フレット上,1フレット上,2フレット上,2フレット上,2フレット上,1フレット上へと順番に各音を弾いてみてください。3弦3フレット(C音)から弾くなら3,5,7,8,10,12,14,15フレットです。ドレミファソラシドと音が並びますね。もちろん、C以外の音から同様の間隔で順番に弾けばC以外のメジャー・スケールになります。

    メジャー・スケールの各音の間隔(インターバル)

    次に当連載「第10回:指板上の音を覚えよう」で活用したベースの指板上におけるドレミファソラシドのブロック形状を頭に叩き込んでください。筆者はメジャー・スケールのブロック形状を“左向きのウシ”と覚えています。ウシに見えるでしょ?

    メジャー・スケールの覚えかた

    そしてメジャー・スケールを下から上がったり上から下がったり、ゆっくりでいいので丁寧に弾いて耳でドレミファソラシドの感覚を掴んでください。運指が雑で各音がビビったり、スピードが速すぎてすると音程が不明瞭になりがちです。ロー・ポジションでは4指3フレット、ハイ・ポジションでは4指4フレットのフィンガリング方法(参考:「第4回:ベースの演奏フォーム」)を実践して、各音を確実に弾くことが重要です。

    メジャー・スケールの練習はCメジャー・スケール以外でも良いのですが、基準となる最初の音(主音)をしっかりと把握しておくことが肝心です。強いて挙げれば開放弦が使えるメジャー・スケールが弾きやすいですが、ベースはピアノほどキーの違いによる演奏の難易度が変わらない楽器ともいえるかと思います。

    過去回(「第27回:毎日やりたいフィンガリングの基礎練習」)で既出のアイディアなのですが、ウシの形がしっかりと頭に入った人は、以下のようにラの音を移動して弾いてみましょう。“ドレミファ”と“ソラシド”はどちらも各音が全音、全音、半音(全全半)の間隔なので、指板上も同じ形状の配置になりますね。こちらのブロック形状のほうが覚えやすい面もありますし、フレーズや楽曲によっては弾きやすいこともあるので、ぜひ活用してください。

    メジャー・スケール(ラの音を移動)

    メジャー・ペンタトニック・スケ―ル

    メジャー・ペンタトニック・スケールはメジャー・スケールから“ファ”と“シ”を抜いた “ドレミソラ”の5音で構成されるスケールです(参考:「第12回:スケールって何? どう使う? 〜スケール基本篇〜」。指板上はウシの中身を抜いたブロック形状ですね。つまりメジャー・スケールが頭に入っていれば絶対に覚えられるスケールです。

    メジャー・スケール(“ファ”と“シ”を抜いた)

    ちなみにメジャー・ペンタトニック・スケールをベースで実演する際は、“ミ”と“ラ”のポジションを移動して下図のようなブロック形状で覚えておいたほうがポジションを把握しやすく使い勝手が良いかと思います。

    メジャー・スケール(“ミ”と“ラ”のポジションを移動)

    ダイアトニック・スケールについて

    メジャー・スケールは“ドレミファソラシ”ですが、基準となる音を変えて“レミファソラシド”、“ミファソラシドレ”などと並べ直すとメジャー・スケールとは異なる6個のスケールができ上がります。つまりメジャー・スケールは7種類の基準音が異なるスケールを内包しているわけで、これら7種類をダイアトニック・スケールと言い、それぞれに個別の名称がついています。

    Ⅰ “ドレミファソラシ” ……イオニアン(アイオニアン)・スケール

    Ⅱ “レミファソラシド”  ……ドリアン・スケール

    Ⅲ “ミファソラシドレ”  ……フリジアン・スケール

    Ⅳ “ファソラシドレミ”  ……リディアン・スケール

    Ⅴ “ソラシドレミファ”  ……ミクソリディアン・スケール

    Ⅵ “ラシドレミファソ”  ……エオリアン・スケール

    Ⅶ “シドレミファソラ”  ……ロクリアン・スケール

    それにしても“アンアン”似たような名前が並んで覚えにくいですよね。Ⅶなのに“ロク”リアンだし(笑)。筆者もスケールの意味はわかっても最後まで名前が覚えられなくて、 “Ⅳのスケール”とかで覚えていましたが、やっぱり早い段階で名前を覚えたほうが良いと今は思います。

    ということでダイアトニック・スケールは“Ⅴはミクソ!” という感じで、ローマ数字と名称を紐づけて覚えておくと後々何かと便利なはずです。頭文字を取って“イドフリミエロ”という謎の呪文で覚えるのが定説です。何かのパスワードにでもしておきましょう(笑)。

    というわけで、今回はダイアトニック・スケールのうち、メジャー・コードにアプローチできるスケール、すなわちイオニアンリディアンミクソリディアンの各スケールについて解説しておきます。

    イオニアン・スケール

    Ⅰのイオニアン・スケール、“ドレミファソラシ”の各音の間隔は先述の通り全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音(全全半全全全半)でメジャー・スケールと中身がまったく同じですが、ダイアトニック・スケールを意味する場合はイオニアン・スケールという名称を使います。

    イオニアン・スケールをひとつ置きに並べると“ドミソシ”となり、メジャー・セブンスのコード構成音になります。逆に言うと、コードがメジャー・セブンスのときに使えるスケールのうちのひとつということです。

    イオニアン・スケール

    リディアン・スケール

    Ⅳのリディアン・スケール、“ファソラシドレミ”の各音の間隔は全音、全音、全音、半音、全音、全音、半音(全全全半全全全半)であり、イオニアン・スケールとの違いは4個目の音が半音上がっているだけです。

    言い方を変えると、イオニアン・スケールの4個目の音がP4th(完全四度)なのに対してリディアン・スケールの4個目の音はaug4th(増四度)になっているわけです。

    リディアン・スケール

    リディアン・スケールをひとつ置きに並べると“ファラドミ”となり、イオニアン・スケールと同じメジャー・セブンスのコード構成音になります。

    一般的なポップスでメジャー・セブンスのコードに対してアプローチできるスケールは、イオニアン・スケールとリディアン・スケールのふたつだけと言ってよいかと思います。

    特にメジャー・セブンス・コードに♯11thのテンションが加えられていればアプローチできるスケールはリディアン・スケールに絞られます。

    基準音(ルート)を中心にリディアン・スケールの各音を弾いてみましょう。イオニアン・スケールのような安定感はなく、明るさがありながらもどこかフワッとした浮遊感がありますよね。もちろん感覚は人それぞれかと思いますので、リディアン・スケールに対する自分なりのイメージを持っておくと何かと役に立つかと思います。

    ミクソリディアン・スケール

    Ⅴ番目のミクソリディアン・スケールの“ソラシドレミファ”の間隔は全音、全音、半音、全音、全音、半音、全音(全全半全全半全)であり、イオニアン・スケールとの違いは7個目の音が半音下がっているだけです。言い方を変えると、イオニアン・スケールの7個目の音がM7th(長七度)なのに対してミクソリディアン・スケールの7個目の音がm7th(短七度)になっているわけです。

    ミクソリディアン・スケール

    ミクソリディアン・スケールをひとつ置きに並べると“ソシレファ”となり、セブンス・コードのコード構成音になります。セブンス・コードにアプローチできるスケールはたくさんあるのですが、そのなかでも筆頭に挙げられるのがミクソリディアン・スケールです。

    特にブルース進行の楽曲や、セブンス・コード一発のファンク系、ロック系の楽曲で多用されます。むしろロック系の楽曲ではイオニアン・スケール以上に活用頻度の高いスケールともいえるでしょう。

    ちょっと小難しい話を書いておくと、ミクソリディアン・スケールは内包する主要3和音がメジャー・コードであり、各構成音もイオニアン・スケ―ルに近いので、ここではメジャー系スケールとして紹介していますが、今後コード理論の知識を深めていくうえでは、コードとしての機能面でメジャー・コードでもマイナー・コードでもない第三の勢力、ドミナント・コードに対してアプローチできるドミナント系スケールの基本形であり、その筆頭スケールと分類したほうが解釈しやすいかと思います。

    まとめ

    ということで、今回はダイアトニック・スケールのうちイオニアン、リディアン、ミクソリディアン・スケールの3種類にメジャー・ペンタトニック・スケールを合わせたメジャー系スケール4種類を紹介しました。

    メジャー・ペンタトニック・スケール、イオニアン・スケール、リディアン・スケール、ミクソリディアン・スケール

    各スケールの覚え方としては、まずウシの外形としてメジャー・ペンタトニック・スケールがあり、メジャー系スケールの基本形としてメジャー・スケールがあり、基本形から4度が上がるとリディアン、7度が下がるとミクソリディアンになる、ということです。4つのスケールを覚えるというよりもひとつのスケールのバリエーションという感覚で覚えられるのではないでしょうか?

    細かいことはさておき、メジャー・スケールは覚えましょう。1オクターヴに限定せず、2オクターヴ、3オクターヴと範囲を広げて、当連載「第27回:毎日やりたいフィンガリングの基礎練習」で紹介したように基礎練習に組み込んで指板上の様々なポジションで弾けるようにしましょう。スケールを弾く際は基準音を音名で把握することが重要ですが、それ以外の音は音名で捉えずインターバル(度数)で捉えると実践的に活用できるのでオススメです。

    やや消極的なスタンスですが、メジャー系スケールで迷ったらメジャー・ペンタトニック・スケールを弾いておけば間違いない!ともいえるかも。とはいえ演奏するのは“人の感覚”が絶対の“音楽”です。最終的には自分の感性を信じて演奏を楽しんでください。

    次回はマイナー系スケールを覚えましょう!

    ◎講師:河辺真 
    かわべ・まこと●1997年結成のロック・バンドSMORGASのベーシスト。ミクスチャー・シーンにいながらヴィンテージ・ジャズ・ベースを携えた異色の存在感で注目を集める。さまざまなアーティストのサポートを務めるほか、教則本を多数執筆。近年はNOAHミュージック・スクールや自身が主宰するAKARI MUSIC WORKSなどでインストラクターも務める。
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